※注意!!※
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
備考:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
~タロ・MH編ステータス~
武器:ヒドゥンスティンガー
頭:ギザミSヘルム
胴:ギザミSメイル
腕:ギザミSアーム
腰:ギザミSフォールド
脚:ギザミSグリーヴ
発動スキル
攻撃力UP【中】
砥石使用高速化
切れ味レベル+1
~オトモアイルー・カク~
初代旦那さん:タロ
オトモLV:18
攻撃力:306
防御力:155
なつき度:☆☆☆☆☆
毛並み:黒メラ
性格:武器一筋
攻撃系統:切断
攻撃傾向:武器のみ
オトモスキル
回復笛の術
真・回復笛の術
ぶんどり術
15
大闘技場内で湧いたリオレウス討伐の大歓声もしばらくすると、徐々にざわつきに変わって行く。
レウスの亡骸が闘技場から運ばれて行くと、観客も次のモンスターに意識が移ったようだった。
ざわつきがいよいよ大きくなっていく。
そろそろタロを食い殺すべく、第二の刺客が大闘技場に姿を現すようだった。
そんな観客のざわつきに、主賓室バルコニーからタロのレウス戦を見ていたガルダは舌打ちする。
先ほどのタロのレウス戦を見て、このクエストが始まる前から持っていた、説明のできない焦燥感にさらなる拍車がかかっていた。
あの戦い方…。レウスを完全に手玉に取るあのやり方は三年前にも見た。
閃光玉の使い方にある程度の熟練がないと出来ないあのやり方は…俺が初めてレウス討伐を生で観た戦い方。
そう、リオの戦い方だ。
いや…ヘタをすると三年前のリオより、先ほどの「タロ」という男の方が閃光玉の扱いは上手いかもしれない。
ガルダは先ほどのタロの戦い方の面影に、リオがいる事に気がついた。
やはりリオとこの男には「何か」があるのだろう。
そう思うとガルダは奥歯を噛み締め、怒りで顔を歪める。
この三年間、自分が一番欲していたものをこの男は持っているかもしれない。
そう思うだけでガルダは気が狂いそうになる。
先ほどからの得体のしれない「焦燥感」はまさにソレだ。
「愛する女がもしかしたらすでに他の男のモノかもしれない。」
この状況において冷静でいられない位には、ガルダもリオを愛していた。
この男とリオの関係を知りたい。
そんな意味でも、ガルダはタロのこのクエストから目が離せなかった。
そういえば…リオはティガ戦では独特の「動き」をしていた所があったな。
ガルダは三年前のリオの「モンスターハンター」を思い出した。
そこだ。「タロ」という男も、もしそんな「動き」をするのであれば…。
そんな「共通」のある戦い方をする者たちは、どのような関係であろうと「深い」事に変わりはない。
命をかける場所が「共通」するというのは、それほどの「共有した信頼」があるという事だ。
それが「師弟」の関係であろうと、「仲間」という関係であろうと。
ましてや「男女」の関係なんか。
もはや容赦はしない。
このクエスト終了後、あの男が生きているのであれば私が直接引導を渡すまでの事だ。
王族たる私の「所有物」に手を出して良い身分の者などいない。
そして、私ほどの身分の者が手に入らない「物」があってはならないのだ。
そんなガルダの狂気と決心がそこにあった。
ふとガルダが我に帰ると、いつの間にか大闘技場はざわつきも収まりつつある。
次のモンスターに観客全てが身構えている…そんな雰囲気だった。
大闘技場の入口、その上部にはモンスターが出番を待つ檻がある。
ガシャンッ。
その檻が、開いた。
16
闘技場内にいる全員が固唾を飲んで見守る中、檻が開かれる音を聞くと同時にタロは強走薬Gを飲んだ。
次のモンスターは轟竜ティガレックス。
少しでも油断すれば、すぐにそのスタミナを持って行くラッシュ力を持つモンスターだ。
レウス戦では多少の無理をしてでも「速攻」を仕掛けていったタロだったが、今回のティガ戦においてはかなり慎重に立ち回ろうと考えていた。
レウスの、G級の突進を受けた右腕がまだ鈍く痛む。
その痛みが、タロを慎重にさせていた。
タロからすれば、ティガレックスは苦手なモンスターではない。
だが、それ故にここはその自信が命取りになるという事をタロは知っている。
ティガレックスが闘技場に姿を現すと、闘技場内で大歓声が沸く。
タロの第二戦目が、いよいよ始まった。
タロは頭の中で残りの閃光玉の数を考慮すると、すぐに取り出せる位置にアイテムポーチ内を整理した。
そんな準備を整えると、まずは闘技場内でまだタロの姿を確認できていないティガに対して先制攻撃をかける。
それに呼応するように、オトモのカクもティガレックスに向かって駆け出して行った。
カクがティガの後ろ脚に切りかかり、タロが尻尾に向かって渾身の突きを入れる。
その二撃を受けて、ティガはやっと自分の敵がなんなのかはっきりしたようにタロに振り向いた。
タロとティガの視線が合う。
タロは盾を構えてティガを見続けると、ティガもまたタロから視線を外さずにタロを敵と「認識」したかのように、ゆっくりとその状態を起こした。
ティガレックスの「咆哮」だ。
主賓室のバルコニーでタロの動きを食い入るように見ていたガルダは、そんなティガの行動がなんなのか解ったようで、自然と手で耳を塞ぐ。
ガルダはタロの立ち位置を見て、至近距離であの「咆哮」を防ぐのは、いくらランスの盾を持ってしても完全には「防ぎきれない」事を知っていた。
はは!馬鹿なヤツだ。そうやってじわじわとなぶり殺されるが良い。
ガード能力に特化していないギザミS装備の男を見ながら、ガルダはそんなタロの立ち位置に鼻で笑う。
しかしタロはあろうことかこのティガの体制を見ると同時に、手に持っていたランスをティガの頭に向かって突きつける。
状態を起こし切ったティガに対して、攻撃態勢のタロは完全に盾を構える事ができなくなった。
そんなタロの行動にガルダはさらに顔がにやつく。
コイツ、馬鹿か!?ティガの咆哮を知らないのか!?
グォオオオオオオオオオオーーーーーー!!!!
ティガの咆哮が、大闘技場に響き渡る。
闘技場内の観客の悲鳴も合わさり、音の重圧で闘技場内が揺れた。
そんな音の重圧の中心にいるタロはひとたまりもない。
はずなのだ。
にやにやしながらタロの吹っ飛ばされる姿を想像していたガルダは、タロが何事も無いように咆哮後のティガの頭にランスを突きつけている姿に目を見開いた。
あの野郎…っ!!咆哮をステップで「避け」やがった…っ!!
あの中でなんともないタロの姿に、観客は思わず歓声を上げる。
もうすでに観客の中には、タロに「罵声」を浴びせる者はいない。完全にタロを応援する観客達と、その歓声の中心にいるタロの姿をガルダは呆然と見つめた。
そして…重なり合うタロとリオの面影。
ティガレックスの「咆哮」を攻撃後のステップで避ける姿を、ガルダは三年前にも見ていた。
三年前、闘技場の観客達は今日のタロと同じようにあの「動き」に歓声を送っていた。
ガルダ自身も三年前、そんなリオの「動き」に感動した。
三年前と全く同じ光景が、今そこにはあった。
17
咆哮を避けた後は、特に危ない立ち回りもすることなくタロはガード主体でティガの頭を狙い続けた。
攻撃後のステップでの「咆哮」回避というパフォーマンスをした後にしては、タロの動きは「堅実」そのものだ。
ティガの攻撃後の隙を突いて攻撃してステップで立ち位置を調節、さらにすぐにガード態勢、を何度も繰り返していた。
さっきは危なかった…。
ついいつもの「癖」で、あのタイミングで頭を狙いに行っちまった。回避こそ失敗しなかったから良かったものの…なんだ!?あの「咆哮」は…!?あんなもの「食らったら」本当にまずいだろ…!!
レウスの時と同様、ティガの「咆哮」の衝撃はタロの肝を冷やす。
「慎重に行く」と決めてティガに挑んだが、そんな決心なんかしなくても先ほどからのティガの攻撃を受け流すタロは慎重にならざるを得なかった。
ガードで起こる衝撃が、いつもと全然違う。
これが…G級かよ…!!
レウスの突進の時と合わせて、改めてG級の「恐怖」を痛感する。
タロの額には汗がびっしりと浮かび上がっていた。
先ほどからティガの攻撃をしのぐタロには、全く「余裕」が無い。
それほどまでに、目の前にいるティガは「強かった」。
タロの盾を構える右手に、心なしか力が入る。
タロは中々そのガードを外す事ができなかった。
この戦いも長期戦の色合いを見せ始めると、オトモのカクはそんな「余裕」のないタロを見て、懸命にティガの気を自分に引こうと一生懸命だった。
いや、それ以上にカク自身ががんばらなければならないと思う事が先ほど起こってしまったのだ。
ティガがカクに気を取られている内に、タロはガードをしていた右腕に残る痛みを和らげようとガードを解いて、右腕を休ませる。
本当は閃光玉を使い、なるべくティガの猛攻を抑えつつ戦うつもりだったが、今日のカクが思いのほかティガの気を引こうとがんばったのが災いして、先ほど数発外してしまったのだ。
その事に負い目を感じてしまったカクは、閃光玉を抑えるタロの意図を今度はキチンと読み、さらにティガの気を引こうとがんばっていた。
タロは頭の中で計算すると、これ以上は閃光玉を使うと後に響くと思い、閃光玉の使用を抑えることにした。
そんなカクとタロの連携ミスもあったが、それは仕方がない。
過ぎたことを後悔していられるほど今のタロには余裕が無かった。
それにずっと一人では、正直このティガの猛攻は防ぎきれない。
今のタロには閃光玉の事を差し引いてもカクの存在がとてもありがたかった。
カクのおかげでなんとかティガの怒り時の猛攻もやり過ごしてきたが、そんな状態はやはり長くは持たなかった。
カクにも限界が来たようで、
「旦那さん!!ちょっと…もうダメにゃ…!!すまんにゃ!!」
そう言って、カクは地面の中に潜り込んだ。
タロはこの状態が長く続かない事は解っていたので、
「すまん、カクありがとう!!」
と、叫ぶと、アイテムポーチの中に手を入れる。
自然とタロの額からいくつもの汗が流れ落ちた。
やはり…ダメだ。
「本当は…次のナルガまでとっておきたかったが…な。」
そんな呟きとともに、タロはアイテムポーチの中から閃光玉を取り出す。
そして、ティガのターゲットが自分に移ったのを確認すると、ティガの目の前に閃光玉を投げつけた。
このクエスト、タロは心底痛感した。
どのモンスターにも…この装備で長期戦は『死を招く』だけだと。
今持てる最大の最善策で挑まないと…俺は死ぬ。
タロは頭の中でそんな覚悟をすると、閃光で目を眩ましたティガにその槍を突きつけた。
今ここで死んでしまったら元も子もない。
今目の前にある敵を全力を持って突き倒す。
それしか俺の生き残る術はない。
それしかないんだ。
18
オトモのカクが長い潜りこみとともに閃光玉を使いだしたタロを見ていたガルダは、数発の閃光の光とともにあることに気がついた。
それはレウスの時に使った閃光玉の数と今ティガに使っている閃光玉の数を数えて、先ほどの閃光玉で丁度15個使用した事だった。
今回のティガ戦、レウスの時とうって変わり、タロは何回かその閃光を外している。
ここにきて貴重な閃光玉を使って一気に「仕留め」に行っている所を見ると、闘技場で戦っているタロに余裕がない事はガルダにも解った。
自然とガルダの顔がほころび始める。
次にくるモンスターを想像して、ガルダはにやりと笑うと、
「これは…このティガを乗り切った所で、次のナルガ戦が楽しみだな…。」
と、呟いた。
あの「動き」を見せられた以上、こいつには死んでもらわなければならない。
これは確定事項だ。
私が手を下すまでもなく、その身を散らしてくれるのならそれに越したことはない…。
ティガこそ越えるようだが、そこまで…だな。
ガルダはあくまでも冷静に、しかしその目には凶気の色を濁して、闘技場内で戦うタロを見つめる。
いつの間にか、先ほどまでガルダが持っていた「焦燥感」は、いずこかに消えていた。
この戦いで閃光を使いきってしまった事は観客の方も気づいていたようで、
「おい、今ので閃光玉が終わったが…大丈夫なのか…?」
タロの戦いを見ていた観客の一人が、心配そうに呟く。
「ガード特化も回避特化にも精通していないギザミSだと…ティガ以上に閃光玉が必要だろう…ナルガは…。」
観客の中から次に出てくるナルガクルガと今のスキル編成で挑んでいるタロを見て、そんな不安が漏れていた。
一気に仕留めに行ったタロの閃光が最後の一花を咲かせると、ティガが本日4回目の怒り状態に入る。
闘技場内でのティガが瀕死なのは目に見えて明らかで、観客の中ではすでに次の「ナルガクルガ戦」に対して予想をめぐらす観客が議論をしている。
そんな議論が隣から隣へと移り、いつの間にか闘技場全体がその事でざわつき始めた。
そんなざわつきの中。
目を眩ましながらも暴れていたティガが、ついにその大きな巨体をのけ反らした。
そしてそののけ反りとともに最後の咆哮を上げる。
闘技場全体が、ティガの咆哮に目を向けた。
何が起こったのか、大闘技場全体の関心がティガに集まる。
次の瞬間、ティガはその咆哮とともに地面に崩れ落ちた。
またしても闘技場全体がシンッと静まり返る。
ティガレックスが完全に動かなくなるのを闘技場全員が確認した。
一瞬の静寂が闘技場全体を包み込むと、そこにいた全ての者達が呼吸を合わせるように叫び出した。
うをおおおおおおおーーーーー!!
またしても闘技場全体が轟く程の「大歓声」が巻き起こる。
閃光玉の件はさておき、とにかく今の観客達は「上位装備」で、タロが二戦目のティガを越えたことに大喜びだ。
この観客達からすれば「モンスターハンター」という最難関クエストに「上位装備」で二戦目を突破するタロの姿は、ここ最近の「余興」では見られない最高のエンターテイメントだった。
いやがおうにも、闘技場内のボルテージは高まる。
すでに観客達は、初戦のレウス戦の時とは違う「ハンター」という尊敬の眼差しでタロを見ていた。
そんな大歓声の中、タロもとにかくこのティガを越える事が出来たことにホッと胸を撫で下ろした。
とにかく…今は素直に喜ぼう。
なんとか折り返しまでは来る事ができた。
レウス、ティガと今までにない緊張に身を固くしていたタロも、ここでようやく一息つけたようだった。
ティガ戦でもでなかった「疼き」が、今は本当にありがたい。
出来る事なら、このまま「疼く」事無く終わってもらいたいものだ。
そう願うタロは、改めてこの観客の大歓声に耳を傾けた。
「調子良い奴らだな…。」
出だしの野次を思い出して、タロは呆れたように笑った。
そんな歓声にしばらく耳を傾けていたが、一つの叫びがタロの耳に入る。
「次は閃光無しだぞー!!大丈夫なのかー!?」
安堵に胸を撫で下ろしていたタロはそこで改めて、ハッと何かを思い出すように顔を上げた。
~閃光玉を使いきってしまった~
その事実が、タロをまたしても「緊張」させる。
不安と恐怖が、改めてタロを襲い始めた。
樹海で戦ったあの黒いモンスターを思い出して、タロはこの大歓声の中でも素直に喜べない自分がいる事に気がつく。
先ほどまで必死に盾を構えていた右手に震えを感じていたが、これは決して先ほどのティガの攻撃の名残りばかりだけではないと確信した。
あの迅竜の攻撃をどう対処するべきか。
フッと次のナルガがこの闘技場に出てくる事を頭に思い浮かべたが、タロはすぐに考えるのを止めた。
せっかく「疼き」が出てないのに、自ら呼び起こす事はない。
出てきてから考えればいいさ。
そんな風に強がるタロだったが、自然と体が震えてくるのが解る。
闘技場内の、ティガの亡骸を急いで運ぼうと作業している兵士を見て、
「…もう少し、ゆっくり運んでくれないか…。」
と、タロは溜息交じりで呟いた。
MH編6に続く
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
備考:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
~タロ・MH編ステータス~
武器:ヒドゥンスティンガー
頭:ギザミSヘルム
胴:ギザミSメイル
腕:ギザミSアーム
腰:ギザミSフォールド
脚:ギザミSグリーヴ
発動スキル
攻撃力UP【中】
砥石使用高速化
切れ味レベル+1
~オトモアイルー・カク~
初代旦那さん:タロ
オトモLV:18
攻撃力:306
防御力:155
なつき度:☆☆☆☆☆
毛並み:黒メラ
性格:武器一筋
攻撃系統:切断
攻撃傾向:武器のみ
オトモスキル
回復笛の術
真・回復笛の術
ぶんどり術
15
大闘技場内で湧いたリオレウス討伐の大歓声もしばらくすると、徐々にざわつきに変わって行く。
レウスの亡骸が闘技場から運ばれて行くと、観客も次のモンスターに意識が移ったようだった。
ざわつきがいよいよ大きくなっていく。
そろそろタロを食い殺すべく、第二の刺客が大闘技場に姿を現すようだった。
そんな観客のざわつきに、主賓室バルコニーからタロのレウス戦を見ていたガルダは舌打ちする。
先ほどのタロのレウス戦を見て、このクエストが始まる前から持っていた、説明のできない焦燥感にさらなる拍車がかかっていた。
あの戦い方…。レウスを完全に手玉に取るあのやり方は三年前にも見た。
閃光玉の使い方にある程度の熟練がないと出来ないあのやり方は…俺が初めてレウス討伐を生で観た戦い方。
そう、リオの戦い方だ。
いや…ヘタをすると三年前のリオより、先ほどの「タロ」という男の方が閃光玉の扱いは上手いかもしれない。
ガルダは先ほどのタロの戦い方の面影に、リオがいる事に気がついた。
やはりリオとこの男には「何か」があるのだろう。
そう思うとガルダは奥歯を噛み締め、怒りで顔を歪める。
この三年間、自分が一番欲していたものをこの男は持っているかもしれない。
そう思うだけでガルダは気が狂いそうになる。
先ほどからの得体のしれない「焦燥感」はまさにソレだ。
「愛する女がもしかしたらすでに他の男のモノかもしれない。」
この状況において冷静でいられない位には、ガルダもリオを愛していた。
この男とリオの関係を知りたい。
そんな意味でも、ガルダはタロのこのクエストから目が離せなかった。
そういえば…リオはティガ戦では独特の「動き」をしていた所があったな。
ガルダは三年前のリオの「モンスターハンター」を思い出した。
そこだ。「タロ」という男も、もしそんな「動き」をするのであれば…。
そんな「共通」のある戦い方をする者たちは、どのような関係であろうと「深い」事に変わりはない。
命をかける場所が「共通」するというのは、それほどの「共有した信頼」があるという事だ。
それが「師弟」の関係であろうと、「仲間」という関係であろうと。
ましてや「男女」の関係なんか。
もはや容赦はしない。
このクエスト終了後、あの男が生きているのであれば私が直接引導を渡すまでの事だ。
王族たる私の「所有物」に手を出して良い身分の者などいない。
そして、私ほどの身分の者が手に入らない「物」があってはならないのだ。
そんなガルダの狂気と決心がそこにあった。
ふとガルダが我に帰ると、いつの間にか大闘技場はざわつきも収まりつつある。
次のモンスターに観客全てが身構えている…そんな雰囲気だった。
大闘技場の入口、その上部にはモンスターが出番を待つ檻がある。
ガシャンッ。
その檻が、開いた。
16
闘技場内にいる全員が固唾を飲んで見守る中、檻が開かれる音を聞くと同時にタロは強走薬Gを飲んだ。
次のモンスターは轟竜ティガレックス。
少しでも油断すれば、すぐにそのスタミナを持って行くラッシュ力を持つモンスターだ。
レウス戦では多少の無理をしてでも「速攻」を仕掛けていったタロだったが、今回のティガ戦においてはかなり慎重に立ち回ろうと考えていた。
レウスの、G級の突進を受けた右腕がまだ鈍く痛む。
その痛みが、タロを慎重にさせていた。
タロからすれば、ティガレックスは苦手なモンスターではない。
だが、それ故にここはその自信が命取りになるという事をタロは知っている。
ティガレックスが闘技場に姿を現すと、闘技場内で大歓声が沸く。
タロの第二戦目が、いよいよ始まった。
タロは頭の中で残りの閃光玉の数を考慮すると、すぐに取り出せる位置にアイテムポーチ内を整理した。
そんな準備を整えると、まずは闘技場内でまだタロの姿を確認できていないティガに対して先制攻撃をかける。
それに呼応するように、オトモのカクもティガレックスに向かって駆け出して行った。
カクがティガの後ろ脚に切りかかり、タロが尻尾に向かって渾身の突きを入れる。
その二撃を受けて、ティガはやっと自分の敵がなんなのかはっきりしたようにタロに振り向いた。
タロとティガの視線が合う。
タロは盾を構えてティガを見続けると、ティガもまたタロから視線を外さずにタロを敵と「認識」したかのように、ゆっくりとその状態を起こした。
ティガレックスの「咆哮」だ。
主賓室のバルコニーでタロの動きを食い入るように見ていたガルダは、そんなティガの行動がなんなのか解ったようで、自然と手で耳を塞ぐ。
ガルダはタロの立ち位置を見て、至近距離であの「咆哮」を防ぐのは、いくらランスの盾を持ってしても完全には「防ぎきれない」事を知っていた。
はは!馬鹿なヤツだ。そうやってじわじわとなぶり殺されるが良い。
ガード能力に特化していないギザミS装備の男を見ながら、ガルダはそんなタロの立ち位置に鼻で笑う。
しかしタロはあろうことかこのティガの体制を見ると同時に、手に持っていたランスをティガの頭に向かって突きつける。
状態を起こし切ったティガに対して、攻撃態勢のタロは完全に盾を構える事ができなくなった。
そんなタロの行動にガルダはさらに顔がにやつく。
コイツ、馬鹿か!?ティガの咆哮を知らないのか!?
グォオオオオオオオオオオーーーーーー!!!!
ティガの咆哮が、大闘技場に響き渡る。
闘技場内の観客の悲鳴も合わさり、音の重圧で闘技場内が揺れた。
そんな音の重圧の中心にいるタロはひとたまりもない。
はずなのだ。
にやにやしながらタロの吹っ飛ばされる姿を想像していたガルダは、タロが何事も無いように咆哮後のティガの頭にランスを突きつけている姿に目を見開いた。
あの野郎…っ!!咆哮をステップで「避け」やがった…っ!!
あの中でなんともないタロの姿に、観客は思わず歓声を上げる。
もうすでに観客の中には、タロに「罵声」を浴びせる者はいない。完全にタロを応援する観客達と、その歓声の中心にいるタロの姿をガルダは呆然と見つめた。
そして…重なり合うタロとリオの面影。
ティガレックスの「咆哮」を攻撃後のステップで避ける姿を、ガルダは三年前にも見ていた。
三年前、闘技場の観客達は今日のタロと同じようにあの「動き」に歓声を送っていた。
ガルダ自身も三年前、そんなリオの「動き」に感動した。
三年前と全く同じ光景が、今そこにはあった。
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咆哮を避けた後は、特に危ない立ち回りもすることなくタロはガード主体でティガの頭を狙い続けた。
攻撃後のステップでの「咆哮」回避というパフォーマンスをした後にしては、タロの動きは「堅実」そのものだ。
ティガの攻撃後の隙を突いて攻撃してステップで立ち位置を調節、さらにすぐにガード態勢、を何度も繰り返していた。
さっきは危なかった…。
ついいつもの「癖」で、あのタイミングで頭を狙いに行っちまった。回避こそ失敗しなかったから良かったものの…なんだ!?あの「咆哮」は…!?あんなもの「食らったら」本当にまずいだろ…!!
レウスの時と同様、ティガの「咆哮」の衝撃はタロの肝を冷やす。
「慎重に行く」と決めてティガに挑んだが、そんな決心なんかしなくても先ほどからのティガの攻撃を受け流すタロは慎重にならざるを得なかった。
ガードで起こる衝撃が、いつもと全然違う。
これが…G級かよ…!!
レウスの突進の時と合わせて、改めてG級の「恐怖」を痛感する。
タロの額には汗がびっしりと浮かび上がっていた。
先ほどからティガの攻撃をしのぐタロには、全く「余裕」が無い。
それほどまでに、目の前にいるティガは「強かった」。
タロの盾を構える右手に、心なしか力が入る。
タロは中々そのガードを外す事ができなかった。
この戦いも長期戦の色合いを見せ始めると、オトモのカクはそんな「余裕」のないタロを見て、懸命にティガの気を自分に引こうと一生懸命だった。
いや、それ以上にカク自身ががんばらなければならないと思う事が先ほど起こってしまったのだ。
ティガがカクに気を取られている内に、タロはガードをしていた右腕に残る痛みを和らげようとガードを解いて、右腕を休ませる。
本当は閃光玉を使い、なるべくティガの猛攻を抑えつつ戦うつもりだったが、今日のカクが思いのほかティガの気を引こうとがんばったのが災いして、先ほど数発外してしまったのだ。
その事に負い目を感じてしまったカクは、閃光玉を抑えるタロの意図を今度はキチンと読み、さらにティガの気を引こうとがんばっていた。
タロは頭の中で計算すると、これ以上は閃光玉を使うと後に響くと思い、閃光玉の使用を抑えることにした。
そんなカクとタロの連携ミスもあったが、それは仕方がない。
過ぎたことを後悔していられるほど今のタロには余裕が無かった。
それにずっと一人では、正直このティガの猛攻は防ぎきれない。
今のタロには閃光玉の事を差し引いてもカクの存在がとてもありがたかった。
カクのおかげでなんとかティガの怒り時の猛攻もやり過ごしてきたが、そんな状態はやはり長くは持たなかった。
カクにも限界が来たようで、
「旦那さん!!ちょっと…もうダメにゃ…!!すまんにゃ!!」
そう言って、カクは地面の中に潜り込んだ。
タロはこの状態が長く続かない事は解っていたので、
「すまん、カクありがとう!!」
と、叫ぶと、アイテムポーチの中に手を入れる。
自然とタロの額からいくつもの汗が流れ落ちた。
やはり…ダメだ。
「本当は…次のナルガまでとっておきたかったが…な。」
そんな呟きとともに、タロはアイテムポーチの中から閃光玉を取り出す。
そして、ティガのターゲットが自分に移ったのを確認すると、ティガの目の前に閃光玉を投げつけた。
このクエスト、タロは心底痛感した。
どのモンスターにも…この装備で長期戦は『死を招く』だけだと。
今持てる最大の最善策で挑まないと…俺は死ぬ。
タロは頭の中でそんな覚悟をすると、閃光で目を眩ましたティガにその槍を突きつけた。
今ここで死んでしまったら元も子もない。
今目の前にある敵を全力を持って突き倒す。
それしか俺の生き残る術はない。
それしかないんだ。
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オトモのカクが長い潜りこみとともに閃光玉を使いだしたタロを見ていたガルダは、数発の閃光の光とともにあることに気がついた。
それはレウスの時に使った閃光玉の数と今ティガに使っている閃光玉の数を数えて、先ほどの閃光玉で丁度15個使用した事だった。
今回のティガ戦、レウスの時とうって変わり、タロは何回かその閃光を外している。
ここにきて貴重な閃光玉を使って一気に「仕留め」に行っている所を見ると、闘技場で戦っているタロに余裕がない事はガルダにも解った。
自然とガルダの顔がほころび始める。
次にくるモンスターを想像して、ガルダはにやりと笑うと、
「これは…このティガを乗り切った所で、次のナルガ戦が楽しみだな…。」
と、呟いた。
あの「動き」を見せられた以上、こいつには死んでもらわなければならない。
これは確定事項だ。
私が手を下すまでもなく、その身を散らしてくれるのならそれに越したことはない…。
ティガこそ越えるようだが、そこまで…だな。
ガルダはあくまでも冷静に、しかしその目には凶気の色を濁して、闘技場内で戦うタロを見つめる。
いつの間にか、先ほどまでガルダが持っていた「焦燥感」は、いずこかに消えていた。
この戦いで閃光を使いきってしまった事は観客の方も気づいていたようで、
「おい、今ので閃光玉が終わったが…大丈夫なのか…?」
タロの戦いを見ていた観客の一人が、心配そうに呟く。
「ガード特化も回避特化にも精通していないギザミSだと…ティガ以上に閃光玉が必要だろう…ナルガは…。」
観客の中から次に出てくるナルガクルガと今のスキル編成で挑んでいるタロを見て、そんな不安が漏れていた。
一気に仕留めに行ったタロの閃光が最後の一花を咲かせると、ティガが本日4回目の怒り状態に入る。
闘技場内でのティガが瀕死なのは目に見えて明らかで、観客の中ではすでに次の「ナルガクルガ戦」に対して予想をめぐらす観客が議論をしている。
そんな議論が隣から隣へと移り、いつの間にか闘技場全体がその事でざわつき始めた。
そんなざわつきの中。
目を眩ましながらも暴れていたティガが、ついにその大きな巨体をのけ反らした。
そしてそののけ反りとともに最後の咆哮を上げる。
闘技場全体が、ティガの咆哮に目を向けた。
何が起こったのか、大闘技場全体の関心がティガに集まる。
次の瞬間、ティガはその咆哮とともに地面に崩れ落ちた。
またしても闘技場全体がシンッと静まり返る。
ティガレックスが完全に動かなくなるのを闘技場全員が確認した。
一瞬の静寂が闘技場全体を包み込むと、そこにいた全ての者達が呼吸を合わせるように叫び出した。
うをおおおおおおおーーーーー!!
またしても闘技場全体が轟く程の「大歓声」が巻き起こる。
閃光玉の件はさておき、とにかく今の観客達は「上位装備」で、タロが二戦目のティガを越えたことに大喜びだ。
この観客達からすれば「モンスターハンター」という最難関クエストに「上位装備」で二戦目を突破するタロの姿は、ここ最近の「余興」では見られない最高のエンターテイメントだった。
いやがおうにも、闘技場内のボルテージは高まる。
すでに観客達は、初戦のレウス戦の時とは違う「ハンター」という尊敬の眼差しでタロを見ていた。
そんな大歓声の中、タロもとにかくこのティガを越える事が出来たことにホッと胸を撫で下ろした。
とにかく…今は素直に喜ぼう。
なんとか折り返しまでは来る事ができた。
レウス、ティガと今までにない緊張に身を固くしていたタロも、ここでようやく一息つけたようだった。
ティガ戦でもでなかった「疼き」が、今は本当にありがたい。
出来る事なら、このまま「疼く」事無く終わってもらいたいものだ。
そう願うタロは、改めてこの観客の大歓声に耳を傾けた。
「調子良い奴らだな…。」
出だしの野次を思い出して、タロは呆れたように笑った。
そんな歓声にしばらく耳を傾けていたが、一つの叫びがタロの耳に入る。
「次は閃光無しだぞー!!大丈夫なのかー!?」
安堵に胸を撫で下ろしていたタロはそこで改めて、ハッと何かを思い出すように顔を上げた。
~閃光玉を使いきってしまった~
その事実が、タロをまたしても「緊張」させる。
不安と恐怖が、改めてタロを襲い始めた。
樹海で戦ったあの黒いモンスターを思い出して、タロはこの大歓声の中でも素直に喜べない自分がいる事に気がつく。
先ほどまで必死に盾を構えていた右手に震えを感じていたが、これは決して先ほどのティガの攻撃の名残りばかりだけではないと確信した。
あの迅竜の攻撃をどう対処するべきか。
フッと次のナルガがこの闘技場に出てくる事を頭に思い浮かべたが、タロはすぐに考えるのを止めた。
せっかく「疼き」が出てないのに、自ら呼び起こす事はない。
出てきてから考えればいいさ。
そんな風に強がるタロだったが、自然と体が震えてくるのが解る。
闘技場内の、ティガの亡骸を急いで運ぼうと作業している兵士を見て、
「…もう少し、ゆっくり運んでくれないか…。」
と、タロは溜息交じりで呟いた。
MH編6に続く