※注意!!※
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
備考:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
7
「なんだと!?それはどういう事だ!?なぜ私はこの部屋に入れないのか!?」
そんな怒声が扉の向こうから聞こえた。
タロが控え室で今日使うアイテムのチェックをしていると、扉の向こうで何人かの者が言い争いをしているようだった。
タロが様子を見に行こうかと立ち上がると、扉の前にいた兵士が声をかけてきた。
「あなたを今この扉の向こうに通す事はできないんだ。すまないがしばらくお待ち願いたい。」
そう言われる事にタロ自身覚えが無いので首を傾げると、扉の向こうから声が聞こえる。
「申し訳ありませんがこれは国王陛下の御命令でございます。いくらガルダ様といえど、ここを通す事はできません。」
「なんだと!?国王陛下のご命令…だと…!?」
そんな会話が聞こえてくる。
どうやら自分に面会を求める者がいるようだが、それを国王陛下が面会を禁じている…という事のようだった。
国王陛下…!?
タロは自分の耳を疑った。
なぜ国王陛下がこの扉の向こうにいる人物と俺の面会を禁じるのか。
いや…そもそも扉の向こうにいる人物は誰なのか。
タロには皆目見当もつかなかった。
しばらく扉の向こうで何やら言い争う声が聞こえていたが、それも程なくして静かになった。
タロはホッと一息つくと、改めて扉の前に居る兵士に声をかける。
「俺にはまるで見当がつかないんだが…さっき俺に会いにきた人は誰なんだい?」
そんなタロの問いに少しびっくりした顔をすると、その兵士はタロの問いに答える。
「誰って…現国王陛下の弟君であらせられるミスト様のご子息、ガルダ様だが…。貴殿、心当たりがないのか…?この面会を国王陛下自らが禁止するご命令まで受けているというのに。」
兵士の驚いた顔もそのままに、さらにその兵士が口を開いてきた。
「貴殿…本当に一体何者なのだ…?先ほどから国王陛下直々の命令を受けたり、ガルダ様ご自身が面会にお越しになったり…。こんな『ハンター様』は初めてだぞ?」
「いやあ…俺にも何が何やら…。俺はただ、ここにクエストを受けにきただけなんだがなあ…。」
そう言ってタロは兵士の驚いた顔に、首を傾げる。
自分の周りで一体何が起きているのか、タロ自身もまるで理解できていなかった。
王族の身分の者の面会、国王陛下自らの面会禁止の命令…。
何がどのように現実が動いているのかまるで想像できないタロは、ただただ我が身を案ずるしかなかった。
まさか…三年前の自分は国を脅かすような犯罪者で…大闘技場に出たらそこには絞首台がある…とか、実は「公開処刑」とかそんなんじゃないだろうな…。
タロがそんな事を考える。
実際の所、この兵士を始め周りから見ている分にはあながち間違いでは無い考えなのだが。
「まあ…もうすぐ貴殿の出番が来る。残りの時間…悔いの無いように有意義にすごせよ。」
扉の前にいた兵士はタロの今後の身を案じるようにそう言った。
そんな兵士の台詞に一瞬ぎょっとするも、タロは軽く手を挙げて応えると、またアイテムのチェックに戻った。
そろそろ…か。
無事に…このクエストをこなせるのか…また俺はあのポッケ村に帰れるのか…。
そう思うとタロはここに出てくる前に言われたリオの一言を思い出した。
~三年前のように…また『帰ってこなかったら』…ただじゃおかないからね。~
やはり三年前、俺はリオと何かがあったんだろうな。いや、こんな一言、どうとでも取れるんだけど。
何気ない一言だったのかもしれない。
でも…そんな風には感じられない、リオの精一杯の「特別な一言」にも感じた。
タロはリオの事を思い出せない自分がもどかしかった。
「今の自分」の感情では…リオの存在はただ「可愛い女性」でしかない。
「村の英雄」と言われてもそこには敬意しかない。
でも…過去に「何か」があったと周りから言われると、気になって仕方がない。
集会所で飲んだその日の夜、彼女は確かに俺に抱かれようとしていた。その事は覚えてる。
そして、特に何の警戒もないままに同居を許している。
いや、実際の所ネコートさんと村長なら家の一軒もすぐ用意できるだろう。
わざわざこんな回りくどい事をしてくる辺り、まあ彼女と俺は…そんな関係だったんだろう、早く記憶を取り戻せよ…って事なんだろうな。
そうなんだ。早く取り戻さなければ。
リオも、ネコートさんも村長も。俺に求めているものは「過去の自分」だ。
「今の自分」じゃない。
「ハンター」としての腕も、リオの求める「人」も。
そう思うと、タロはギリッと奥歯を噛み締めた。
このまま…俺が記憶を取り戻せなかったら…皆、どう思うんだろう。
俺から離れて行くのだろうか。
期待に応えられなかったら…。
皆…。
そこまで考えて、タロは慌てて首を横に振る。
ダメだダメだダメだ!!
とにかく今は…このクエストをこなすだけだ…!
目の前に現れるモンスターを「いつものように」討伐すれば良い。
それだけだ。
そこまで考えた所で、タロの控え室の扉が開いた。
「タロ・ライド。出番だ。」
ガーディアンスーツに身を固めた兵士が入ってくると、タロに向かってそう言った。
久しぶりにフルネームで呼ばれたな…。
そんな事を思いながら、タロは立ち上がった。
8
「そろそろ始まる頃だな。」
大闘技場の門番をしているグスタは、後ろでざわつき始めている闘技場の方を向くとそう呟いた。
「ああ…。せめて『タロ』という男、ハンターとして悔いのないようにやってもらいたいものだな…。」
そんなグスタの呟きにアズが答えた。
「…それなんだがな、アズ。少し思い出した事があるんだ。」
グスタが闘技場から目を離す事なくそう口を開く。
「なんだ?」
アズもまた、闘技場から目を離さないまま聞く。
二人ともいつ始まるか、待っていた。大歓声が聞こえた時、それはタロの「公開処刑」が始まる時だ。
タロの戦う姿を見ることはできないが、せめてその身だけでも案じてやろうと、二人とも思っていた。
「その『タロ』なんだがな…。俺は過去にアイツを見たことがあるんだ。」
「へえ、闘技場訓練でもしにきたのを覚えてるとかかい?」
特にグスタの言葉に興味を持たなかったアズはそう聞き流す。
「いや…アイツ、おそらく三年前にもこの『儀式』を受けてる…。」
グスタのそんな一言にアズはグスタの方に向いた。
「受けている…って、どういう事だ…?」
アズはグスタの言葉に聞き返す。
「いや…人違いかもしれん…でも、確かにあの時のあの男は…アイツだったと思う。」
自分の記憶を確かめるようにグスタは語り始めた。
三年前、俺は二度目の『儀式』の門番をしていた。そう、リオがこの「モンスターハンター」を受けた時だ。
リオが見事その『儀式』をこなし、闘技場から来賓も出て行った後。
俺もこれで帰れるかって思ってたんだが、今日はもう一つクエストがあると聞かされてな。
待機させられたんだ。
夕方、日も沈みかけたそんな時、アイツが来た。
装備は今日みたいな上位装備なんかじゃなく、キチンとG級装備でHRも9と書かれたギルドカードだったんだけどな…。
名前には「タロ」と書かれていた。
そして見せられた依頼書のクエスト名は「モンスターハンター」だった。
来賓の者たちは全て帰ったはずなのに。
俺もそんな依頼書にびっくりしたのを覚えているよ。
只ですら滅多に行われないこのクエストを一日に二回。
さらにはこの二回目は観客も、来賓もいない。
何か…何かが秘密裏に行われている…そんな雰囲気の中、アイツはそのまま闘技場の中に入っていった。
その後、アイツがどうなったのかは知らない。
アイツが出てくる前に門の警護を交代したから、どうなったのか解らなかった。
今、こうして思い出せば思い出すほど、あの時のアイツは今日の「タロ」と同一人物なんじゃないかと思うんだよな…。
そこまで語ると、グスタはまた闘技場を見る。闘技場は相変わらずまだざわついているままだ。
「それが本当に『タロ』本人だとすると…訳が解らないぜ…?なんでまた…。」
アズがそこまで言いかけて言葉を止める。
結局の所、グスタも解らない事だらけだという事はアズにも解る。聞いた所で答えが返ってくる事はない。
「まあなんにしても…これはもしかしたら『公開処刑』なんかじゃないかもしれないんだよな…。」
グスタはそう呟く。
「今はただ…そうであってもらいたいものだな…。」
アズもまた、そんなグスタの期待に同調した。
大闘技場のざわつきはまだ、大歓声には変わらない。
9
特別控え室にいるガルダは妙にそわそわしていた。
備え付けのベッドに腰を下ろし、片足を小刻みに上下させながら何か考え事をしているようだった。
同居…同居とはどういう事だ…?一緒に住んでいるということだが、この「タロ」という男…リオとどういう関係だというのか。
あの崩竜の件より三年、特にリオにはそんな「男の噂」などなかったのに。
なぜ突然こんな話になっている!?
男と同居だと…?この「タロ」と言う男、一体なんだというのだ…!!
さらには今日、私の『勇者』になるべく行う『儀式』になぜコイツが割り込んでくる…!?
コイツは私の『前座』で、私のクエストの前の『盛り上げ役』では無いのか!?
契約受諾者がネコート…リオと同居…これはどう考えても『前座』ではない。
では本当に…本気で上位装備でこのクエストをこなそうというのだろうか…?
そんな前人未到な事をやってのける男だとでも言うのか…?
ガルダは先ほどの自分の「浅はかさ」に気がついた。
そんな自分に今更ながら苛立ちを感じる。
待て待て…。
そんな事されたら…私の『儀式』はどうなる…?
私が『勇者』として次の『災い』に挑めなくなるではないか…。
また…リオが遠く去って行くではないか…。
私はまた…あの背中を眺めるしかないというのか…?
今回、せっかく『儀式』のクエストを「モンスターハンター」から「誇りをかけた試練」に切り替える所まで持って行ったというのに。
「モンスターハンター」ではPTは厳禁だからな…。どうしても誤魔化し切れん。
しかし…「誇りをかけた試練」ならどうとでもなったのだ…!!
私でも「生命の粉塵」が「39個」もあれば…「一人」でもどうとでもなったのだ。
「一人」でもどうとでもな…。
「くそっ…!!」
ガルダはそう叫ぶとベッドに拳を叩きつける。
いや…まだ決まった訳ではない。ヤツが失敗すれば良いだけの事だ。
「確実」に失敗してもらう事もできるが…いや。今日はまずいな。
国王陛下もご覧になられている。
今日動くのはまずい。
もし…ヤツが成功した時は…近く「不慮の事故」にでも遭ってもらえば良いか。
今日の『勇者』は最悪…くれてやる。
最後に…次の『災い』に私が選ばれれば良しとする…か…。
そこまで考えてガルダは一息つく。
「まあ…とてもあのクエストを上位装備などでクリアできるとも…思えんがな…。」
そんな独り言を呟くと、ガルダはハッと鼻で笑った。
「そろそろ…か。」
ガルダはベッドから立ち上がり特別控え室から大闘技場へ向かう。
大闘技場のざわつきはまだ、大歓声には変わらない。
10
タロは今、大闘技場の間隣にあるベースキャンプで待機していた。
兵士に呼ばれ、ここまで案内されるとモンスターの檻が開くまでここで待っているように言われた。
モンスターの檻とベースキャンプの入口の檻が連動しているため、モンスターの檻が開くまでタロは大闘技場に入ることはできない。
愛用のギザミS装備に身を包んだタロは入口の前で静かに檻が開くのを待っていた。
隣の大闘技場からは観客のざわつきが聞こえてくる。
そんなざわつきに、タロの鼓動はいつしか高くなっていった。
タロの隣にはオトモアイルーのカクが、武器をぎゅっと握りしめてずっと檻の方を見つめている。
「カク、どうした?今日はいつもより言葉少なめじゃないか。」
タロがいつになくおとなしいカクに声をかけた。
「旦那さん…なんか今日のこのフンイキ、いつもと違うニャ!!なんか人間がいっぱいいて緊張するニャ…。」
カクはそう言うとタロを見上げる。
タロを見上げるカクの顔は、どことなく不安そうな顔をしている。
そんないつもは見せないカクの顔を見て、タロは思わず笑った。
「はははっお前にも緊張する事なんてあったんだな。アカムトルム討伐の時でもお前は我先にと突っ込んでいったというのに。」
そうタロが言うと、
「アレはボクと旦那さんしかいなかったから、別になんにも思わなかったニャ!でも今日は色んな人に見られてるニャ!!なんか…恥ずかしいニャ!!」
カクがそう言って頭をかく動作をする。
そんなカクを見てさらにタロは可笑しくなる。
「ハハハッ。お前は本当に面白いヤツだな。」
さらに笑うタロにカクは、
「もう!!旦那さん、笑っちゃダメにゃ!!」
そう言って恥ずかしそうにしている。
自分が笑われたことに恥じらいを感じたようだ。
「すまん、すまん。何、いつものようにやれば良いさ。俺はお前を信じているよ。」
タロはそう言うとカクの頭を撫でた。
カクは少し、仏頂面だ。
そうだ。いつものようにやれば良い。
それだけだ。
今は無理に周りからの「期待」を背負う事なんて無い。
なんと言ったって「覚えてない」のだから。
タロは目を閉じて意識を集中する。
大闘技場のざわつきが聞こえる。
隣のカクの息遣いが聞こえる。
自分の心臓の音が聞こえる。
「ガシャンッ」
檻が開く音が、目の前から聞こえてくる。
大闘技場のざわつきが、大歓声へと変わった。
MH編4に続く
・これは完全なる俺の自己満足作品です。本当に暇で暇で仕方がなく読んでやっても良いんだぜ?と思う方だけ読んでいただければーーーーーああ。
・設定に多数の厨二設定が含まれております。
・モンスターハンターの公式設定をかなり無視しております。
~~~~~~~~~~~~~~~
登場人物紹介
NAME:タロ
HR:2
主な使用武器:ランス、ガンス
備考:三年前以前の記憶が無い。これから村クエ最終の「モンスターハンター」に挑もうとしている。
7
「なんだと!?それはどういう事だ!?なぜ私はこの部屋に入れないのか!?」
そんな怒声が扉の向こうから聞こえた。
タロが控え室で今日使うアイテムのチェックをしていると、扉の向こうで何人かの者が言い争いをしているようだった。
タロが様子を見に行こうかと立ち上がると、扉の前にいた兵士が声をかけてきた。
「あなたを今この扉の向こうに通す事はできないんだ。すまないがしばらくお待ち願いたい。」
そう言われる事にタロ自身覚えが無いので首を傾げると、扉の向こうから声が聞こえる。
「申し訳ありませんがこれは国王陛下の御命令でございます。いくらガルダ様といえど、ここを通す事はできません。」
「なんだと!?国王陛下のご命令…だと…!?」
そんな会話が聞こえてくる。
どうやら自分に面会を求める者がいるようだが、それを国王陛下が面会を禁じている…という事のようだった。
国王陛下…!?
タロは自分の耳を疑った。
なぜ国王陛下がこの扉の向こうにいる人物と俺の面会を禁じるのか。
いや…そもそも扉の向こうにいる人物は誰なのか。
タロには皆目見当もつかなかった。
しばらく扉の向こうで何やら言い争う声が聞こえていたが、それも程なくして静かになった。
タロはホッと一息つくと、改めて扉の前に居る兵士に声をかける。
「俺にはまるで見当がつかないんだが…さっき俺に会いにきた人は誰なんだい?」
そんなタロの問いに少しびっくりした顔をすると、その兵士はタロの問いに答える。
「誰って…現国王陛下の弟君であらせられるミスト様のご子息、ガルダ様だが…。貴殿、心当たりがないのか…?この面会を国王陛下自らが禁止するご命令まで受けているというのに。」
兵士の驚いた顔もそのままに、さらにその兵士が口を開いてきた。
「貴殿…本当に一体何者なのだ…?先ほどから国王陛下直々の命令を受けたり、ガルダ様ご自身が面会にお越しになったり…。こんな『ハンター様』は初めてだぞ?」
「いやあ…俺にも何が何やら…。俺はただ、ここにクエストを受けにきただけなんだがなあ…。」
そう言ってタロは兵士の驚いた顔に、首を傾げる。
自分の周りで一体何が起きているのか、タロ自身もまるで理解できていなかった。
王族の身分の者の面会、国王陛下自らの面会禁止の命令…。
何がどのように現実が動いているのかまるで想像できないタロは、ただただ我が身を案ずるしかなかった。
まさか…三年前の自分は国を脅かすような犯罪者で…大闘技場に出たらそこには絞首台がある…とか、実は「公開処刑」とかそんなんじゃないだろうな…。
タロがそんな事を考える。
実際の所、この兵士を始め周りから見ている分にはあながち間違いでは無い考えなのだが。
「まあ…もうすぐ貴殿の出番が来る。残りの時間…悔いの無いように有意義にすごせよ。」
扉の前にいた兵士はタロの今後の身を案じるようにそう言った。
そんな兵士の台詞に一瞬ぎょっとするも、タロは軽く手を挙げて応えると、またアイテムのチェックに戻った。
そろそろ…か。
無事に…このクエストをこなせるのか…また俺はあのポッケ村に帰れるのか…。
そう思うとタロはここに出てくる前に言われたリオの一言を思い出した。
~三年前のように…また『帰ってこなかったら』…ただじゃおかないからね。~
やはり三年前、俺はリオと何かがあったんだろうな。いや、こんな一言、どうとでも取れるんだけど。
何気ない一言だったのかもしれない。
でも…そんな風には感じられない、リオの精一杯の「特別な一言」にも感じた。
タロはリオの事を思い出せない自分がもどかしかった。
「今の自分」の感情では…リオの存在はただ「可愛い女性」でしかない。
「村の英雄」と言われてもそこには敬意しかない。
でも…過去に「何か」があったと周りから言われると、気になって仕方がない。
集会所で飲んだその日の夜、彼女は確かに俺に抱かれようとしていた。その事は覚えてる。
そして、特に何の警戒もないままに同居を許している。
いや、実際の所ネコートさんと村長なら家の一軒もすぐ用意できるだろう。
わざわざこんな回りくどい事をしてくる辺り、まあ彼女と俺は…そんな関係だったんだろう、早く記憶を取り戻せよ…って事なんだろうな。
そうなんだ。早く取り戻さなければ。
リオも、ネコートさんも村長も。俺に求めているものは「過去の自分」だ。
「今の自分」じゃない。
「ハンター」としての腕も、リオの求める「人」も。
そう思うと、タロはギリッと奥歯を噛み締めた。
このまま…俺が記憶を取り戻せなかったら…皆、どう思うんだろう。
俺から離れて行くのだろうか。
期待に応えられなかったら…。
皆…。
そこまで考えて、タロは慌てて首を横に振る。
ダメだダメだダメだ!!
とにかく今は…このクエストをこなすだけだ…!
目の前に現れるモンスターを「いつものように」討伐すれば良い。
それだけだ。
そこまで考えた所で、タロの控え室の扉が開いた。
「タロ・ライド。出番だ。」
ガーディアンスーツに身を固めた兵士が入ってくると、タロに向かってそう言った。
久しぶりにフルネームで呼ばれたな…。
そんな事を思いながら、タロは立ち上がった。
8
「そろそろ始まる頃だな。」
大闘技場の門番をしているグスタは、後ろでざわつき始めている闘技場の方を向くとそう呟いた。
「ああ…。せめて『タロ』という男、ハンターとして悔いのないようにやってもらいたいものだな…。」
そんなグスタの呟きにアズが答えた。
「…それなんだがな、アズ。少し思い出した事があるんだ。」
グスタが闘技場から目を離す事なくそう口を開く。
「なんだ?」
アズもまた、闘技場から目を離さないまま聞く。
二人ともいつ始まるか、待っていた。大歓声が聞こえた時、それはタロの「公開処刑」が始まる時だ。
タロの戦う姿を見ることはできないが、せめてその身だけでも案じてやろうと、二人とも思っていた。
「その『タロ』なんだがな…。俺は過去にアイツを見たことがあるんだ。」
「へえ、闘技場訓練でもしにきたのを覚えてるとかかい?」
特にグスタの言葉に興味を持たなかったアズはそう聞き流す。
「いや…アイツ、おそらく三年前にもこの『儀式』を受けてる…。」
グスタのそんな一言にアズはグスタの方に向いた。
「受けている…って、どういう事だ…?」
アズはグスタの言葉に聞き返す。
「いや…人違いかもしれん…でも、確かにあの時のあの男は…アイツだったと思う。」
自分の記憶を確かめるようにグスタは語り始めた。
三年前、俺は二度目の『儀式』の門番をしていた。そう、リオがこの「モンスターハンター」を受けた時だ。
リオが見事その『儀式』をこなし、闘技場から来賓も出て行った後。
俺もこれで帰れるかって思ってたんだが、今日はもう一つクエストがあると聞かされてな。
待機させられたんだ。
夕方、日も沈みかけたそんな時、アイツが来た。
装備は今日みたいな上位装備なんかじゃなく、キチンとG級装備でHRも9と書かれたギルドカードだったんだけどな…。
名前には「タロ」と書かれていた。
そして見せられた依頼書のクエスト名は「モンスターハンター」だった。
来賓の者たちは全て帰ったはずなのに。
俺もそんな依頼書にびっくりしたのを覚えているよ。
只ですら滅多に行われないこのクエストを一日に二回。
さらにはこの二回目は観客も、来賓もいない。
何か…何かが秘密裏に行われている…そんな雰囲気の中、アイツはそのまま闘技場の中に入っていった。
その後、アイツがどうなったのかは知らない。
アイツが出てくる前に門の警護を交代したから、どうなったのか解らなかった。
今、こうして思い出せば思い出すほど、あの時のアイツは今日の「タロ」と同一人物なんじゃないかと思うんだよな…。
そこまで語ると、グスタはまた闘技場を見る。闘技場は相変わらずまだざわついているままだ。
「それが本当に『タロ』本人だとすると…訳が解らないぜ…?なんでまた…。」
アズがそこまで言いかけて言葉を止める。
結局の所、グスタも解らない事だらけだという事はアズにも解る。聞いた所で答えが返ってくる事はない。
「まあなんにしても…これはもしかしたら『公開処刑』なんかじゃないかもしれないんだよな…。」
グスタはそう呟く。
「今はただ…そうであってもらいたいものだな…。」
アズもまた、そんなグスタの期待に同調した。
大闘技場のざわつきはまだ、大歓声には変わらない。
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特別控え室にいるガルダは妙にそわそわしていた。
備え付けのベッドに腰を下ろし、片足を小刻みに上下させながら何か考え事をしているようだった。
同居…同居とはどういう事だ…?一緒に住んでいるということだが、この「タロ」という男…リオとどういう関係だというのか。
あの崩竜の件より三年、特にリオにはそんな「男の噂」などなかったのに。
なぜ突然こんな話になっている!?
男と同居だと…?この「タロ」と言う男、一体なんだというのだ…!!
さらには今日、私の『勇者』になるべく行う『儀式』になぜコイツが割り込んでくる…!?
コイツは私の『前座』で、私のクエストの前の『盛り上げ役』では無いのか!?
契約受諾者がネコート…リオと同居…これはどう考えても『前座』ではない。
では本当に…本気で上位装備でこのクエストをこなそうというのだろうか…?
そんな前人未到な事をやってのける男だとでも言うのか…?
ガルダは先ほどの自分の「浅はかさ」に気がついた。
そんな自分に今更ながら苛立ちを感じる。
待て待て…。
そんな事されたら…私の『儀式』はどうなる…?
私が『勇者』として次の『災い』に挑めなくなるではないか…。
また…リオが遠く去って行くではないか…。
私はまた…あの背中を眺めるしかないというのか…?
今回、せっかく『儀式』のクエストを「モンスターハンター」から「誇りをかけた試練」に切り替える所まで持って行ったというのに。
「モンスターハンター」ではPTは厳禁だからな…。どうしても誤魔化し切れん。
しかし…「誇りをかけた試練」ならどうとでもなったのだ…!!
私でも「生命の粉塵」が「39個」もあれば…「一人」でもどうとでもなったのだ。
「一人」でもどうとでもな…。
「くそっ…!!」
ガルダはそう叫ぶとベッドに拳を叩きつける。
いや…まだ決まった訳ではない。ヤツが失敗すれば良いだけの事だ。
「確実」に失敗してもらう事もできるが…いや。今日はまずいな。
国王陛下もご覧になられている。
今日動くのはまずい。
もし…ヤツが成功した時は…近く「不慮の事故」にでも遭ってもらえば良いか。
今日の『勇者』は最悪…くれてやる。
最後に…次の『災い』に私が選ばれれば良しとする…か…。
そこまで考えてガルダは一息つく。
「まあ…とてもあのクエストを上位装備などでクリアできるとも…思えんがな…。」
そんな独り言を呟くと、ガルダはハッと鼻で笑った。
「そろそろ…か。」
ガルダはベッドから立ち上がり特別控え室から大闘技場へ向かう。
大闘技場のざわつきはまだ、大歓声には変わらない。
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タロは今、大闘技場の間隣にあるベースキャンプで待機していた。
兵士に呼ばれ、ここまで案内されるとモンスターの檻が開くまでここで待っているように言われた。
モンスターの檻とベースキャンプの入口の檻が連動しているため、モンスターの檻が開くまでタロは大闘技場に入ることはできない。
愛用のギザミS装備に身を包んだタロは入口の前で静かに檻が開くのを待っていた。
隣の大闘技場からは観客のざわつきが聞こえてくる。
そんなざわつきに、タロの鼓動はいつしか高くなっていった。
タロの隣にはオトモアイルーのカクが、武器をぎゅっと握りしめてずっと檻の方を見つめている。
「カク、どうした?今日はいつもより言葉少なめじゃないか。」
タロがいつになくおとなしいカクに声をかけた。
「旦那さん…なんか今日のこのフンイキ、いつもと違うニャ!!なんか人間がいっぱいいて緊張するニャ…。」
カクはそう言うとタロを見上げる。
タロを見上げるカクの顔は、どことなく不安そうな顔をしている。
そんないつもは見せないカクの顔を見て、タロは思わず笑った。
「はははっお前にも緊張する事なんてあったんだな。アカムトルム討伐の時でもお前は我先にと突っ込んでいったというのに。」
そうタロが言うと、
「アレはボクと旦那さんしかいなかったから、別になんにも思わなかったニャ!でも今日は色んな人に見られてるニャ!!なんか…恥ずかしいニャ!!」
カクがそう言って頭をかく動作をする。
そんなカクを見てさらにタロは可笑しくなる。
「ハハハッ。お前は本当に面白いヤツだな。」
さらに笑うタロにカクは、
「もう!!旦那さん、笑っちゃダメにゃ!!」
そう言って恥ずかしそうにしている。
自分が笑われたことに恥じらいを感じたようだ。
「すまん、すまん。何、いつものようにやれば良いさ。俺はお前を信じているよ。」
タロはそう言うとカクの頭を撫でた。
カクは少し、仏頂面だ。
そうだ。いつものようにやれば良い。
それだけだ。
今は無理に周りからの「期待」を背負う事なんて無い。
なんと言ったって「覚えてない」のだから。
タロは目を閉じて意識を集中する。
大闘技場のざわつきが聞こえる。
隣のカクの息遣いが聞こえる。
自分の心臓の音が聞こえる。
「ガシャンッ」
檻が開く音が、目の前から聞こえてくる。
大闘技場のざわつきが、大歓声へと変わった。
MH編4に続く