※注意!!※
くそ長い、あまり面白くない小説風味のセカンドキャラの物語です。
その辺をご了承下さい。

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大丈夫だ。
死ぬものか。
せっかくお前をモノにできたのだからな。
俺は死なない。
お前と…これからも生きていくために。

そう言い残して旅立った「彼」は、3年経った今もここには帰ってきてはいない。
「彼」の帰ってくる場所はここ。
「私」の所。
そんな日が来る事を、「私」は今も想い続けている。

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人間は生きるために何かをしなければならない。

何もせずに生きることはできない。

だから俺は狩りをしているのだ。
生きるために。

ただ、それだけなんだ。
それだけの理由。

それで十分だろ。
狩る理由が思い出せないなら、思い出さなくたっていいさ。


命をかける理由なんてそれだけあれば良い。






頭が痛い。それもかなり。
この痛みは久しく味わっていなかった痛みだ。
夢の中から戻ってきてまず気がついたのは重く鈍い、ひどい頭の痛みだった。
「あぁ…昨日は…飲み過ぎたな…。」
少し声に出して後悔してみた。

思考が止まっている。
今の状況を把握しようと目を開けてみると、そこは見慣れた天井だった。
自分の部屋。それは理解できた。
でもまだ頭は働かない。痛みにその働きを遮られている。

自ら発した昨日という言葉を手掛かりに、男は昨日のことを思い出そうとした。

昨日…。
確か村の集会所でしこたま飲んだんだっけ。
あぁー確か。
集会所であった女と意気投合して飲みまくったんだ…。


意気投合…なんでだっけ…。ああ、そうか。
俺と同じランス使いだからってんで色々とランスの話をしたんだ。
確かその女はG級、HR9で…けっこう可愛かったなー…。
可愛かった…。


あれ。

可愛かったって事は覚えてるのに、顔が出てこないな。
たしか黒い髪を後ろにまとめてて…。


!!

急にその女の、半裸の場面が脳裏をよぎる。

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そして次に思い出すのはその女を抱きしめた温もり。

そこで男はガバッと起き上がった。

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二日酔いでの頭の痛みで顔をしかめるが、すぐにきょろきょろと辺りを見回す。
そこに人の気配は特に無い。

「あれ…。夢だったのか…な…。」
思い出した記憶はその女の温もり、下着姿の女性。
しかしそれ以上思い出すものは無かった。




頭の痛みを我慢しながら男は隣の部屋に行く。
そこにはキッチン猫が5匹、思い想いの事をしていた。
近くにいたアイルーに
「スマンが水を一杯くれないか」
と、声をかける。
「ご主人、おはようだニャ。昨日はべろんべろんに酔ってたニャ。珍しいニャ。」

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そう声をかけながらキッチンアイルーのシラタキは水を持ってきた。
「ああ…ちょっと昨日は飲み過ぎた…。」
そう言って男は水をグビグビと飲む。
鈍い痛みを持つ頭に、冷たい水はよく染みた。

「所でご主人、いつの間にご主人は彼女を作ったニャ!!水臭いニャ!!」
シラタキが男の水を飲み干すのを見ながらそう話しかけた。
「!?」
男は記憶の断片にある半裸の女性の映像を思い出しながらシラタキの方に振り向く。
「彼女って…どういう事だ…?」
そうか。こいつらなら知ってるかも。昨日、俺はその女とどうなったか。
「昨日、ご主人が連れて来た女の人ニャ!」
「俺が…連れて来た…。…どんな人だった…?」
男はここにその女を連れて来た事を思い出そうとしたが、全然出てこなかった。
「可愛い人だったニャ!そして優しい人だったニャ!ボク達にちゃんと挨拶してくれたニャ!人間はあまりボク達に挨拶なんてしてくれないからとても良い感じだったニャ!」
シラタキは嬉しそうにそう話しているが、男はまったく思い出せなかった。
「その…彼女はいつ帰ったかわかるか…?」
男がシラタキに聞く。
「今朝、日が昇る前に帰ったニャ。ちゃんと帰る時もボク達に声をかけて行ってくれたニャ!」
今朝…か…。なんで覚えてないんだ…。久しぶりだったかもしれないと言うのに。
そんな事を思い、男は頭の痛みも合わせて後悔に打ちひしがれた。

なんでこんなに飲んだんだろ。
今まで酒で記憶を飛ばすなんて無かったのに…。
最近は自分の酒への姿勢が結構しっかりしていただけに自らの行動に本気で考えこむ。

まあ悩んでも仕方ないか。集会所で飲んだという事は、あそこにいる連中ならその女性が誰だかも解るだろう。
とりあえず男はアイルー達に軽めの飯を頼んだ。
飯を食べたらまずは集会所に顔を出して話を聞いてみよう。

後ろから聞こえる軽快な包丁の音を聞きながら、男はまた昨日の事を思い出そうとがんばってみたが、思いだすよりも前にアイルー達の作ったご飯が目の前に出てきた。




集会所に入ると、まず声をかけてきたのはギルドマネージャーだった。
「タロちゃん!二日連続で顔出すなんて…珍しい!!もしかしてG級を目指す気になったの!?」
男の顔を見るなり、ギルドマネージャーがしゃべりながら近づいてきた。

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タロと呼ばれた男はズカズカ近づいてくるギルドマネージャーに後ずさりながら返事をする。
「はは…どうも。実はちょっと昨日のことで聞きたい事があって…。」
そう言いながら必要以上に近づいてくるギルドマネージャーを両手で制す。
どうにもこの人はなぜか話す時は耳元まで顔を近づけてくる。
「昨日のこと?昨日は私ここにいなかったから…。何かあったの?」
そう言ってタロの顔を覗き込む。
タロは事情の知らない人に昨日のことを聞く訳にもいかないので
「いや、俺も聞きたい方の立場なので…はは。」
と、ギルドマネージャーから顔をそらした。

昨日ここにはギルドマネージャーの後ろにいる受付の子達がいたはずなので、とりあえずはその子達から話を聞きたい。
タロはそう思うとギルドマネージャーの脇を愛想笑いしながら抜けて、下位担当の子に話しかけた。


「こんにちは。」
タロが話しかけると、その受付の子はニヤニヤしながら返事をする。
「こんにちはタロさん。昨日はどうでした?」
タロはなぜか「昨日」という言葉にドキッとした。
「その昨日なんだけど…昨日、俺、どんな感じだった?」
タロの質問に受付の子は首を傾げる。
そんな受付の子の態度でタロは自分が素っ頓狂な質問をしたのだと悟り、昨日の記憶がない事を説明した。

あらかた説明すると、その受付の子はかなり愕然とした様子で、
「昨日のこと…本当に覚えてないんですか…!?」
と、信じられないといった顔で聞いてきた。
そんなに俺はなんかしたのだろうか…。酔っていたとはいえ、今まで酒で失敗した事なんてないのにな…。
記憶が無いとは、本当に恐ろしい…。
そう思いながら、タロの額にはうっすらと嫌な汗が出てくる。
受付の子の愕然とした様子を見て、タロは昨日の事を聞くのが怖くなった。




受付の子から昨日の話を聞いて、今度はタロの方が愕然とした顔になっていた。
「それは…マジな話…?」
恐る恐る聞き返す。
「なんで私がここで嘘つかないといけないんですか。」
呆れた顔して、受付の子が言葉を返す。
「昨日、タロさんと一緒に飲んだ人、かの有名な伝説のハンターさんですよ!知らないで飲んでたんですか!?」
「知らなかった…。いや多分それは記憶どうこうではなく伝説の人とは知らずに飲んでたかも…。」
どうやら昨日一緒に飲んだ女はここらでは有名なハンターらしい。
名前を聞いて、タロ自身も何度か村の人からその名前を聞いた事があった。

確かこの村唯一のG級ハンターで、なんでも一人でアカムトルムやウカムルバスを倒したとかなんとか…。
一度、村がウカムルバスに襲われたことがあったのだが、その時そのウカムルバスを討伐したのが彼女だという。
言わば村の英雄。
今はその腕を買われて町の方に遠征に行っていたのだが、昨日久しぶりにここに顔を出したそうだ。
そこで丁度ここで飲んでた俺と意気投合、そのまま俺の家で飲み直すと言ってここを出たらしい。

まるで覚えてない…。
タロは頭を抱えた。
そんな英雄と飲めたことも然ることながら、もしかしたら俺はその人と…。
「ああああああああああああ~ああ~ああー…。」
情けない悲鳴にも似た言葉を上げながら、タロは頭を抱えてうずくまった。

「でも変ですね…。リオさん、なんかタロさんの事知ってる感じでしたけど…。タロさんはリオさんの事、全然知らないんですか?」
昨日のことを思い出しながら、受付の子がタロに聞いた。
昨日の事をまるで覚えていないタロからすると、またしても驚く事態だった。
「俺の事を…知っている感じ…。」
そう呟いて、タロは考えるのを止めた。
また…俺の知らない過去ってヤツかよ…。
「タロちゃんの、思いだせない過去の中に…リオちゃんがいたのかもね。」
隣で話を聞いていたギルドマネージャーが不意に話しかけてきた。
「タロさんの思いだせない過去って…昨日だけじゃないんですか?」
受付の子がギルドマネージャーに聞く。
話して良いものかと、ギルドマネージャーはタロに顔を向けた。
いや…そんな話を振っといて、今更ダメってのもなんだろうが。
そんな風に思いながらもタロが受付の子に口を開く。
「ああ。俺、三年前から以前の記憶が全くないんだわ…。」
そんな一言に、受付の子が目を見開いた。




俺の記憶は、三年前のあの見慣れた天井から始まった。

目を開けると、横には知らないおっさんが立ってて…まあデービスさんなんだけど、俺を雪山から拾ってきてくれた人だね。
命の恩人だよ。
どうやら俺は、ここに来る途中にティガレックスに襲われたらしい。

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雪山でティガの足跡の先の崖の下で倒れていたそうだ。
俺の記憶は、そこから始まる。
それが三年前。
それより以前の記憶が全くないんだ。
雪山から救出されてから二週間ずっと意識が無かったから、そのせいで記憶が無くなったのではないか…という事らしい。
どうにも俺はその「リオ」の後釜として村の専属ハンターとして呼ばれたようだ。
モンスターから村を守る用心棒として。
記憶がない今の俺にとって、この村に読んだその依頼主が誰だかはもう解らない。
過去の俺は誰と何をしていたのか、誰が親で、誰と友人で、誰が知り合いだったかも解らない。
未だにまるで思い出せない。
だが、これが良い事なのか悪い事なのか解らないが、今の俺にとってはその思い出せない事で不自由していることは何もない。
だから、ここに三年もいるのだろう。
それが当たり前のように。

俺の過去を知っているっぽい人物がこの村に二人…いや、正確に言うと一人と一匹いるが、俺は自分の過去に興味も無かったのでこの三年間、特に聞いてはいない。
しかし、こうして自分の過去が気になる事象が出てきてしまった。
本当に伝説のハンターと呼ばれた「リオ」と俺には何か関係があるのだろうか。
もし関係があったとして、だから彼女は俺の家に来たのだろうか。
だから…あんな映像が頭に残るような事を…したのだろうか。
いや…そもそも、「そんな事」をした事も覚えてはいない。
したかどうかも解らない。

そして何より…俺は未だに「リオ」の顔を思い出せない。

「があああーーー…。考えた所で何がある訳でもないだろうに…。なんでこの事ばかり考えちゃうんだろ…。」
タロはそう独り言を呟くと、手に持っていた黄金芋酒の入ったグラスを一気に空けた。
そしてテーブルに置いてあった残りの幻獣チーズを口に入れると、席を立った。
「ご主人、今日はもう良いのかニャ?」
キッチンで明日の料理の仕込みをしていたここの料理長のガルが聞いてくる。
ここはタロの家のアイルーキッチン。
集会所から帰って来たタロはそのままキッチンで晩酌をしていた。
しかし考えても特に進展などない現状に、もう今日は寝てしまおうと思った。
「ああ、やっぱり迎え酒は俺の性じゃないわ…。ありがとな。」
料理を用意してくれたガルに礼を言うと、タロは自室に向かった。

主人のタロがキッチンから出るのを見届けたガルが呟く。
「ご主人、昨日からなんか変ニャ。やっぱり昨日の女の人と何かあったのかニャ?」
キッチンで仕込みをしていたガルは、横でこんがり肉を焼いているアシガルに聞いた。

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「わかんないニャ。人間ってメンドくさい生き物ニャ。もっとこうボク達みたいに素直に生きればいいニャ。」
アシガルがクールに呟く。
「素直なのは良いけど、肉…焦げてるニャ。」
ガルがアシガルの回している肉を見て指摘する。
「ニャアアアアアーーー!!!またご主人に怒られるニャ!!」
アシガルは慌てて肉を火から離した。


2へ続く