台風10号に伴う記録的な大雨で、岩手県内では道路が寸断されるなどして、8つの市町村で合わせて一時、1600人が孤立しました。岩手県のまとめによりますと、道路などの復旧が進んだことから、13日午後4時の時点で、久慈市で残っていた4世帯6人の孤立が解消され、孤立地区にとどまる人は、岩泉町の5世帯9人だけになっています。岩泉町の孤立がすべて解消されるのは10月上旬になる見込みです。また、自宅が倒壊するなどして避難所での生活を強いられている人は、県内4つの市町村で424人に上っています。市町村別に見ますと、岩泉町で385人、田野畑村で28人、久慈市で9人、宮古市で2人となっていて、避難生活の長期化が懸念されています。台風10号による県内の死者は、岩泉町の高齢者グループホームで入所者9人が死亡するなど20人に上っていて、今も4人の行方が分からなくなっています。警察や消防は川の流域を中心に行方不明者の捜索を続けています。台風による被害から2週間となり、捜索態勢は縮小していますが、このうち、3人が行方不明になっている岩泉町では、13日も警察がおよそ30人態勢で捜索を行いました。捜索は、住宅が濁流に流されるなどの大きな被害を受けた安家地区で集中的に行われ、雨が降る中、安家川の流域などにたまっている流木やがれきなどを動かすため、建設用の大型の機械を使いながら手がかりが残っていないか念入りに確認していました。岩手県警察本部機動隊の佐藤寛高分隊長は、「台風の被害から復興していくために、行方不明者を1日も早く見つけて、ご家族にお返ししたい」と話していました。入所者9人が死亡したグループホーム「楽ん楽ん」の外には、建物から運び出された泥のついた家具や布団などが山積みになっています。職員たちは13日も午前8時ごろから片づけに訪れていました。そして、小雨が降る中、午前9時前、およそ30人が集まり、建物に向かって手を合わせて、黙とうを捧げていました。職員たちは建物で片づけができるようになってから毎日、黙とうをしているということです。また、今は、入所者の写真や遺品についた泥を洗い流すなどして、家族の元に返す準備をしているということです。このあと、取材に応じたグループホームを運営する法人の佐藤弘明常務理事は「片づけをしていると、亡くなった入所者とドライブに行った時などの思い出がよみがえってきて、時間が巻き戻せるのならば、9人を避難させることができる時間まで戻りたい。ご遺族には何度謝っても許されるものではないが、誠意を見せたい」と話していました。また、道路や河川の堤防などの被害額は、これまでに899億9604万円に上っていて、被害の調査がいまだ半分も進んでいないことから、被害額はさらに増える見通しです。台風10号の記録的な大雨で岩手県内では土石流などの土砂災害が102か所で起きていたことが国土交通省の調査でわかりました。国土交通省東北地方整備局と岩手県は、9月1日から7日にかけて、台風10号に伴う大雨による土砂災害の発生状況を調査しました。岩手県内では土石流や崖崩れなどの土砂災害が8つの市と町の102か所で起きていたことがわかりました。このうち、岩泉町では全体のおよそ70%にあたる69か所で土砂災害が発生し、そのほとんどが土石流でした。被害は小本川や安家川の上流に集中しているということです。このほか土砂災害が確認されたのは宮古市で16か所、久慈市で7か所、遠野市で5か所、軽米町で2か所でした。今回の調査では道路が寸断されたところが多かったため、小型無人機の「ドローン」が活用されたということです。国土交通省東北地方整備局は「広い範囲で土砂災害が発生していて復旧にはまだ時間がかかる。県や市町村には調査結果を防災対策にいかしてもらいたい」と話しています。