交通事故で損傷した物の評価額が問題になる場合、相手方損保会社は大抵、低めの額を提示してきます。
「あなたの車の時価額はこれだけです」といわれて、驚き、怒りを覚える方も少なくないでしょう。

しかしながら、物の評価額というものは、多くの場合絶対的に決まるわけではなく、幅があるものです。
減価償却の計算でさえ幾つか方法がありますし、車などの場合、実際の取引価格(中古車市場の相場)はそれよりもかなり高いケースがままあります。
取引価格でも、同程度の車両が例えば、40~60万円くらいで売買されているというように、幅があることは当然です。

ですから例えば、「減価償却の計算上、30万円です」と言われても、「中古車市場では60万円になることがある」という風に反論し、代案を示すことが多くの場合可能です。



ここでも、相手方損保の提示に唯々諾々と従う必要はないのです。検討、分析の結果、上がる余地がないことももちろんあり得ますが、まずは「それで良いのか?」と一考されることをお勧めします。
事故に遭われてからまだ2週間程度、むち打ちでまだまだ首も痛いのに、相手方の保険会社から「治療終了ですよね?」と言われてしまうケースも散見されます。
頚椎捻挫などの場合、最初に警察に出す診断書には、たいてい1、2週間の治療期間を書くのが通例となっているため、そのような対応をされてしまうのです。弁護士でも、交通事故の事案をよくご存じでないため、最初の診断書の治療期間だけをみて、「治療期間は2週間ですから、慰謝料は10万円くらいですね」と相談者に答えてしまわれる方もおられるようです。
本当は後遺症の等級が付くほどの怪我をしているのに、そのように済まされてしまっては、被害者の方は救われません。
実際のところ、「1週間」、「2週間」と最初の診断書に記載されていても、半年くらい通院して後遺障害等級がつくケースはざらにあります。そのような実情を知る者ならではのサポートができるものと、私は自負しております。



私の地元、大阪市天王寺区の区役所の脇に、このような碑文があります。昔の灌漑用の溜池の由来をしるしたものですが、純然たる漢文体です。

書き下せば、大体以下のようになるでしょう。

「毘沙門池は古(いにし)への天王寺一郷の灌漑用池、水利権は元の毘沙門池普通水利組合に属して元の大阪府東成郡天王寺村の共有たり。
明治三十年、大阪市域拡張に際し南区に編入せらる。明治四十二年、天王寺財産区を設置し之を管理す。大正十五年十二月、実測に就き、坪数五千百九十二坪の中、其の六百三十坪を財産区に帰せしめ、其の余を売却せり。
顧みるに、毘沙門池往古に在りしは則ち史蹟に係る。近世には則ち圃を耕すを潤ほすも、今池は埋められ屋建つ。景物一変し、斯の市街現る。乃(すなは)ち将来或ひは其の旧蹟を失はんことを恐るなり。是に於いて、区会の決議に仍(よ)り碑を建て、以て後世をして其の沿革する所を知らしめんと爾云ふ。」

建立は、昭和3年といいますから、今から90年余り前、亡父の生まれた翌年です。
現代ならば、もっと易しい言葉で書くのでしょうが、このような文体も非常に格調高く、読む人の心に響きます。
我々は今後も、この程度の内容は理解できるだけの素養を失いたくないものです。
最近、ご縁をいただいて「浄土三部経」(「無量寿経」、「観無量寿経」、「阿弥陀経」)を読ませていただいております。
「阿弥陀経」には様々な色の大きな蓮の花が、各々の色のとおりの光を発している様子が描かれています(青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光)。私はこの部分を読んでいますと、あらゆる衆生がその個性、特質をあるがままに活かして、浄土に生まれる可能性があることを表現しているのでは、と感じました。そうしたところ、平成15年に大ヒットした「世界に一つだけの花」の歌詞は、槇原敬之さんが「阿弥陀経」の「青色青光…」のくだり、そして釈尊の誕生偈「天上天下唯我独尊」にインスパイアされて作詞されたものであるということを知りました。
さらに別の観点から考えますと、「青色青光…」のくだりは、世界中の様々な人種、民族を表現しているのではとも思われます。阿弥陀信仰は北インドから中央アジアで盛んになったと考えられますが、かの地にては遥か昔から、様々な人種、民族が交わり、紛争と和平を繰り返してきました。
「個人の尊重」、「平等」、「国際主義」なども、わが国にては須く、かかる東洋の古典に根差したものであるべきであります。

読阿弥陀経 (阿弥陀経を読む)

西方清浄国 (西方清浄の国)
種種色光花 (種種の色光の花あり)
当思大悲願 (当に大悲願を思ひ)
娑婆作仏家 (娑婆を仏家と作すべし)
先日申し上げた所と重なりますが、我々は無数の祖先から、無限の良い資質を受け継いだ存在であるはずです。

思明徳 (明徳を思ふ)

学文窮理索其源 (文を学び 理を窮め 其の源を索む)
無数祖先鴻大恩 (無数の祖先 鴻大の恩)
麗質美才而所有 (麗質美才 而(なんぢ)の有する所)
勿聞凡俗世間論 (聞く勿れ 凡俗世間の論ずるを)