今は当たり前に思われていることも、その確立までには先人の様々な苦闘、工夫があったというものは決して少なくありません。
また、今は確定的なものであっても、近い将来、何らかの変化が起こる可能性の高い事柄も少なからず見られます。
例えば、わが国の損害賠償法において、家事従事者の休業損害・逸失利益の評価は原則として、女性全年齢平均賃金によるというのが確立した判例の規範ですが、最高裁で確定したのは昭和49年のことで、昭和40年代においてさえ、家事労働を経済的に評価せず、家事従事者の逸失利益を否定した裁判例が存在したのです。
家事労働を経済的に評価することが定着したのは、多くの先輩方の主張が裁判所の心を打ち、社会に波及していったことの成果といえるでしょう。
さらに、今後の議論としては、家事労働=女性という図式が当てはまらなくなった今日、「女性」全年齢平均で評価するのは相当か、ということがあります。
先人たちの精神を偲び、積極的に検討すべきでしょう。