この三連休,体温を超える猛暑が連続しており,7月としてはかなり記録的な暑さです。
これほど暑くなってくると,物を考えるのもしんどくなるという方が少なくないでしょう。
以前,他愛もない雑談でしたが,日本の夏の蒸し暑さは,その期間の思考力を低下させ,西欧と比較して文明や技術の発展を阻害したのではというような話をした人がいたように記憶しています。
また西欧諸国の文明が長足の進歩を遂げたのは,早くともルネサンス時代以降,日本を含む他地域を物質的に圧倒したのはこの200年ほどですから,それほどしっかりした議論ではありません。
また,歴史的に見ても,夏の暑さの厳しい地域で高度な文明が発達したことは数多くあります。いわゆる四大文明はいずれも,夏はかなり高温になる地域に発達したものですし,西欧文明の源流たるギリシア・ローマ文明やキリスト教も,夏の暑さの厳しい地域に発祥したことは周知のとおりです。
ですから,必ずしも夏の暑さが,人の思考力を妨げたり,文明の発達を阻害するわけでないことは,歴史的に証明されているといえましょう。ことに,インドで古代から哲学や数学の高度に発達していることは,その著しい例といえましょう。
ただ,思考方法や論理の運び方などは,その発祥地の気候風土にも相当影響されるものではないかと思います。ですから,日本と比較して冷涼で乾燥した西欧(英独仏など)に由来する法理論が,ただちにわが国に合致するとは言い切れないことには十分留意すべきでしょう。
わが国に適した様々な法理論の在り方を考えるにあたっては,このような観点も必要なのではないかと常々思うものです。