2023年2月のことであったが、福岡県の、とある老舗旅館の温泉の利用客が体調不良を訴えるという出来事があった。
で、福岡県が調査したところ、この旅館では清掃を十分に行っておらず、結果として基準値の数千倍のレジオネラ属菌が増殖していた、、、、ということで、刑事事件に発展し全国ニュースにもなったのでご記憶の方も多いと思う。
一時は廃業かとも思われたが、その後、代表者が変わり従業員の方々も研修を重ねる様子はNHKの特集番組にもなっていた。
慶応元年(1865年)創業の大丸別荘、である。
ここ、実家のすぐ近くにあって、お祝い事で行ったことがあった(が、お料理がどんなだったかとかさっぱり記憶に残っていないのはおそらく、何かと手がかかる子ども二人連れて全く余裕がなかったからなんだろう)。
で、このGWに久しぶり(10年ぶり)に行こかっという話になり、
近場だし移動が比較的楽だし復活した大丸別荘を見たいというのもあり
やってきた。
フロントで受付の女性がおずおずと、
「昨年の当館の温泉についての報道はご存じでしょうか」
あ、、、、知ってますけどそれはもういいんですけど、と思っていると、お時間があるときに、と手渡されたのは是正計画と進捗報告書であった。
ちなみに温泉に行くと(昼食と温泉の日帰りプラン)大きなモニターに清掃の手順が常時流されていた。いや、もう心配してませんから~~!
手入れが行き届いた日本庭園や
調度品を楽しむ。
平安美人のステンドグラス
お手洗いの入り口にはお内裏様とお雛様
お部屋からの眺め
本日のお料理は、「基山」
お料理の命名とは、
これは一種の風流な遊びなのか、
そもそも読めないものやら、
どんな料理を指すのか想像力を試されるなと思うものやら・・・
真ん中に鎮座するのが氷室山桃(ひむろやまもも)。
ヤマモモを氷に見立てたゼラチンで固めたもの・・・?
その右下に、稚鮎白扇揚げ(ちあゆはくせんあげ)
※白扇揚げとは、水で溶いた片栗粉に泡立てた卵白を加えて作った衣をつけて、色がつかないようにふんわりと揚げた料理。
鮎の上にあるのが蕗筏蒲鉾(ふきいかだかまぼこ)
薄味の出汁で煮た蕗を筏に見立て、蒲鉾を覆っている。
しかし、最もツボにはまったのは「天豆蛙」
蛙ってカエルだよなあ。。。と思いつつググると、ありました、「テンマメカエル、別名ソラマメカエル」。
蝶に蛙。
吹き流しに筏。
春ですねえ。
白桃の白和え(・・・!)
笹巻寿し(連子鯛小袖、忍び柚子胡椒)
料理でいう小袖とは、普通の大きさより小さく切ったものに使われる言葉、つまりここでは小ぶりなお寿司
造里(つくり)
平目の昆布締め、金目鯛、鰹
椀物
玉子豆腐、花びらもち(大根、牛蒡、人参)、海老、叩きおくら
焼物
鰆若狭焼き、梅山葵
若狭焼とは、甘鯛などうろこの細かい魚をうろこがついたまま焼くこと。 また、その料理。 酒または酒にしょうゆを合わせたたれ(若狭地)を皮にかけながら、うろこが逆立たないようにこんがりと丁寧に焼き上げ、うろこごと食べる。
うろこより炙ったレモンに目が行っていた。
レモン、炙るんかーい。
小鍋
金星豚葱塩しゃぶ
新生姜ごはん、軸三葉、香の物
止椀(とめわん)あおさ相生仕立て
水物 西瓜
菓子 粽(ちまき、読めず・・・・汗)
せっかくのお料理をぼんやり食べて忘れてはもったいないし申し訳ないし、何でも知っていると楽しさ百倍(食べ終わって帰ってから調べてるけど)ということで、書いてみた。
大丸別荘が何で有名かってそれは、昭和二十四年に昭和天皇が御宿泊されたことであろう。
博多の奥座敷、二日市温泉においでの際は是非。