先日、上映終了間際の映画館に駆け込んで、「PERFECT DAYS」を観てきた。

アカデミー賞にノミネートされた日本作品は、「ゴジラ-1.0」と「君たちはどう生きるか」と、そして「PERFECT DAYS」と発表前にニュースで聞いて、全部観ようかなとかちょっと思って(実際はおそらく無理)。



とてもとても印象に残る映画だった。

 

役所広司演じる平山さんの日常が淡々と描かれる。

セリフも説明もほとんどない。

 

早朝、近所のお寺か神社かの、落ち葉を掃く音で目が覚める。

起き上がった平山さんは、何にもない畳の部屋に敷かれた青いシーツをかけた布団を畳んで部屋の隅に寄せる。

それから、挿し木した小さな苗木に霧吹きで水をかけて、歯磨きして髭を剃って、「TOKYO TOILET」のロゴが入った作業着を着て、古いアパートの玄関を出ると敷地内にある自動販売機でコーヒーを買って・・・・

 

というシーンが、3回繰り返される。

・・・のだけれども、カメラのアングルが少しずつ変わり、布団の脇にあるカセットテープだとか、平山さんが読んでいる本だとかが視界に入ってくる。

 

観る人は少しずつ少しずつ、平山さんという人物の背景を想像する。

 

平山さんは東京の公衆トイレの清掃を生業としていて、その仕事ぶりは職人技で、でも誰からも顧みられることはなくて、しかし平山さん自身はそういったことを気に病む風でもなく、黙々と仕事をし、公園の木々を見上げて木漏れ日に微笑む。

 

うらやましい、と言っては語弊がある。

けれども、シンプルで丁寧で宗教的ともいえる暮らしぶりは僧侶のそれのようでもある。

 

そんな生活の中で、いくつか、小さな、「想定外」の出来事が起こり、その断片を繋ぎ合わせて、観る人は平山さんの過去に思いを馳せる・・・・

 

という作品で、もう一回観たいなと思った。

 

役所広司

柄本時生

中野有紗

アオイヤマダ(「First Love初恋」に出演していたダンサー)

麻生祐未

石川さゆり(!)

田中泯(いつも印象的な役を演じている)

三浦友和

 

・・・のほかに、駅中にある居酒屋の店長に甲本雅裕、急遽補充として派遣された清掃員に安藤玉恵と、存在感のある俳優さんがほんの一瞬出演していて、贅沢~~~ってなった。