町に住んでいる医者弄井は

ある日から手を集め始めた

ご婦人たちにしゃぶられるように

そんなことして何になるのだろう

手に込められた男の充血と熱情は

誰にも理解されず

彼は町の人々に狂ったと

思われるようになった

彼は今度女装して町中を

歩くようになった

まったく意味を成さない行為だ

そして「神よ、私に嘘をつかないでください」

と祈る

「弄井よ、狂ったか」と

大学時代の親友が

彼の頬をひっぱたき正気に

戻そうとしたがその途端弄井は

胃の中のものを戻した

親友は精神科医を連れて来て

彼を診てもらった

精神科医は薬を処方し

さっさと帰ってしまった

町のご婦人たちは彼の手を

しゃぶろうと相談しやってきた

そこへ流れ者の流しが飄々と

やってきて歌を2、3曲やり

ご婦人に酒を頼むとご婦人は

芋焼酎を流しにあげた

芋焼酎を一杯やると流しは

熱情を込めてバラードを1曲唸った

弄井は目を丸くし「素晴らしい、しかし私は

一体何をしていたんだ」と

正気に戻った