予約されていた患者さん



10分ほど遅れる旨の連絡を頂いた後、



約1時間してもいらっしゃらない・・・



いつもは時間きっちりにいらっしゃるのに



何かあったのかな?と



不安が頭を過ります





そして不安が的中





ご近所のかたなので



徒歩で来院されたのですが



入るや否や、様子がおかしい



水が欲しいとおっしゃったので、差し上げると



むせて飲めない



どうしたのか尋ねると



動悸がひどいとのこと



実は、遅れる旨の電話をして、家を出ようとしたら動悸が始まったとのこと



いつもなら少し安静にしていれば、5分くらいで治まるのだが



今回はなかなか治まらない



脈を取るといわゆる『微欲絶』



面色もくすんで悪く



まさに心血オ阻の真っただ中



もともと、オ血の強い体質のかたで



これまでも、治療をしていながら



「何か持ってるんじゃないかな~」と



うすうす感じていて



そのたびに問診するも、特に何もないとおっしゃっていた







自力歩行もままならず、呼吸も苦しそうなので



救急車を呼ぶことに



玄関先で待っている間



内関~郄門を指圧ながら対応



若干脈が触れるようになってきたものの



いつもの脈と比べると非常に弱々しい







この状況にも関わらず



患者さんは病院の受診を拒み



鍼灸治療を希望された



施術者として、頼っていただけることは光栄なことであるが



施術者は患者さんに対して



状況に応じて適切な医療機関の受診を勧める、という責任もある



今回のケースは、直ちに患者さんの命に関わることもあり



まず、救急で病院を受診させること



これが患者さんにとって最善となる



いくら患者さんが医療機関の受診を拒否し、鍼灸を希望されても



必ず説得して受診させなければならない



現代医療のない時代なら



鍼灸や漢方で対応することになるが



現代において



即刻命に係わるケースにおいては



現代医療は第一選択となる



それだけの力があるからだ



自身の立ち位置をしっかり認識する



換言すれば限界を知ること



これが、患者さんを不幸にさせないようにする上で極めて重要である



と考える



患者さんの回復を切に願うばかりである




秋英堂治療院