「リスク・ホメオスタシス」という考え方 | masamasaのブログ

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「交通事故はなぜなくならないか」(ジェラルド・J・ワイルド著 芳賀繁訳 新曜社)という本を読みました。

「リスクは最小が最適だ」と、誰もが思うものだと考えていたのですが、実際はそうではないようです。ヒトは、常に「リスク」と「リターン」のバランスを取ろうとするのだそうです。


交通事故を減らそうとして、道路を拡幅して、クルマに安全装置を取り付けると、一定の距離あたりの事故は減っても、一定の時間あたりの事故は減らない。つまり安全な環境下ではヒトはさらにスピードを上げてより早く、より遠くに行こうとするので事故の確率は変わらないということです。例えば出会い頭の事故が多い交差点が改良されると出会い頭の事故は無くなっても、スピードオーバーなどの別の要因の事故が増えることになると。

危険に身をさらしながら新しいことに挑戦することでヒトは発展してきました。「成功した時に得られるリターンが最大になる見込みがあるならば、失敗した時生じる、ある程度のリスクは受け入れるべきだ」という思考が脳の奥深くに擦り込まれているということです。

事故を減らすには、どのレベルまでのリスクなら受け入れるべきで、どのレベルからは受け入れるべきでないのかという、リスクの目標水準を低くすることが必要だと言います。外的要因を変えてもヒトの意識が変わらないと事故率は変わらないのです。


高齢になると転倒しやすくなります。高齢者は転倒すれば大腿骨などの太い骨を骨折する確率が高く、そんな重要な骨を折ってしまうと、場合によっては二度と歩けなくなってしまう可能性もあります。

「こういうことは危険です」「こういう人は転びます」「転ぶとこんなに悲惨です」「転ばないように、こういう運動をしましょう」…

私たちは日々、転倒予防に有効と言われている取り組みを実施しています。環境調整や運動や「教育」で、転倒は防げると信じています。

でも、もしかしたら、転倒予防には他にしなければならないことがあるのかもしれないと、この本を読んで思いました。

「大きな期待を持って将来を楽しみにするようになれば、生命や身体にさらに注意を払うようになり、健康であるために必要な対策をとるように人を動機づけられる」と著者は主張しています。