「疲労」と「疲れた感じ」は厳密には違います。
疲労とは,「身体的あるいは精神的負荷を連続して与えられたときにみられる一時的な身体的および精神的パフォーマンスの低下現象」を言うそうです。
健常者が日常生活を送っている限りでは,疲労と疲労感が一致している場合がほとんどでしょう。
疲れたと感じる時は実際にパフォーマンスは低下していますし,パフォーマンスが正常に発揮されているときは疲れたとは思わないです。
ところが,心身に障害を負った方々は,この「疲労」と「疲労感」が一致しない場合が多いのです。
疲労に達していないのに「疲れた」と感じる場合は,そこで運動や作業を中断すればよいので,特に問題ないと思います。リハビリの効果は上がりにくいですが徐々に負荷を増していくことで確実に疲れにくくなっていきます。
問題なのは,疲労に達しているのに疲れたと感じない場合です。健常者でも,やりがいや達成感があることをしているときは疲労状態になっても疲れを感じないものですが,心身が健康なら「無理がきく」ので,問題ないのです。(行き過ぎると過労死につながる危険性があると指摘されてもいますが)
しかしリハビリテーションが必要な方は「疲労」と「回復」のギリギリのところでバランスを取っているため,疲労状態は症状を悪化させる可能性もあります。
リハビリテーションでは,「とにかくやらせる」とか,「やればやるだけ良くなる」というのはナンセンスです。身体面で言えば,動作の正確さや表情などから疲労の度合いを推測して,本人の訴えがなくても運動を中止することが大切です。
「やらせる」だけでなく「やめさせる」のも,私たちの重要な仕事です。