「意欲を持たせる」こと | masamasaのブログ

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リハビリのこと、庭のこと、コペンのこと

例えば、趣味のことです。

高齢で、心身に障害を負った方が、若い頃から将棋が好きだったのに、退院後は「なかなか根気が続かない」、「将棋が出来るかどうかわからない」と言って、将棋をしなくなったとします。

ケアする側から、原因と対策として、こんな意見が出たとします。

①身体が不自由だから、将棋クラブ等に出向くのが億劫になっているのでは?
→リハビリで身体を鍛えて、また将棋クラブに通えるようにする。
→介護サービスを利用して、将棋クラブに送迎する。
→将棋仲間に自宅に来てもらって、一緒に将棋をする。

②将棋に対する意欲が低下している
→将棋仲間に自宅に来てもらって、彼らが将棋をさすのを見学することで、また将棋がやりたくなる。
→歩行や日常生活の動きが良くなってくれば、趣味に興味を持つ余裕ができる。

これらの対策を、ケアマネージャ・介護職・リハビリ職が協働でおこなっていくことで、また将棋を楽しくできるようになる方もいると思います。

しかし、昔の趣味をやりたくなくなった高齢の方に、何とか再び趣味を楽しめるようになって欲しいと、試行錯誤しても、うまくいかないことがあります。かえってかたくなに拒否される方もいます。

大好きな将棋をやりたくなくなることは、将棋が趣味ではない人が想像する以上に大変なことだと、私は思います。

例えばこの方が勝負にこだわるタイプで、勝つことだけが楽しくて将棋が好きだったとしたら…
障害によって、いろいろできなくなってきていることを実感していて、以前よりも将棋が弱くなっているのではないかと不安に思っているかもしれません。漠然と感じている能力の低下を、大好きな将棋で決定的に明らかにしてしまうのは、辛い事だと思います。

こういった場合、このかたに必要なのは、「将棋ができる」環境ではなくて、「小さな成功体験の積み重ねができる」環境だと思います。確実にできることをやり、それを他人から誉めてもらったり感謝してもらったりすることで、自分の「できる」部分に目を向けていくことが必要です。その延長上に将棋があったとすれば、弱くなっていても笑えるような気がします。

「これができない、あれもできない」という視点を「これならできる、あれもできる」という視点に切り替えていくこと、これがリハビリテーションの基本的な考え方なのです。