日大アメフト問題に関して、メディアの方へのご提案です。

 

連日、この件に関して書いておりますが、

いま、改めて言います。

 

内田前監督、井上前コーチは、ウソをついていません。

 彼らは反則指示をしていません。

 

これは憶測でも推測でもなく、事実です。

 

ですから、そちらの方へシフトして調査すれば、

必ず、しかも、比較的簡単に立証できるはずです。

 

今はまだ、どこのメディアも、その方向では論理展開をしていませんので、

いち早くそちらに切り替え、

世論を軌道修正できたメディアが勝ちだと思います。

 

どうか真実をスッパ抜いて、目の覚めるような記事を書いてください。

 

刺激的な推理小説には、大どんでん返しがありますが、

この件で、最後に大手柄を挙げるメディアとは、

この今の論調をひっくり返したメディアになるはずです。

 

是非御社がそれを担ってください

 

以下、端的に今の方向の誤りを指摘します。

もし先入観が少しでも晴れましたら、できるだけ早く、

「反則指示はなかった」という前提で、

今までの監督やコーチの発言を総ざらいしてみてください。

 

そこにある真実に、きっと驚くと思います。

 

 

もっとも重要なことは、日大コーチ陣が指示したのは、

現実に起きた「あのプレー」なのか?

 

その一点です。

そこだけが、論点なのです。

 

世の中は、「あんな酷いことを学生にやらせた」ということと、

「その責任から逃げている」ということに怒っているわけですよね。

 

けれど、監督、コーチが否定しているのもまた、そこなのです。

指示した結果が「あのプレー」であることは、本意ではない。

 

でも、宮川くんがそこまでに至った責任はあると認めているから、

彼を責めることをしていないのです。

 

 

「あのプレー」とは、

ホイッスルが鳴った後、無防備になったQBに背後から襲いかかる

というプレーのことで、これはアメリカンフットボールのルールを

大幅に逸脱した「破壊行為」です。

 

日大コーチ陣は、それをやれと、具体的に言ったのか?

 

世の中には、

「宮川くんがそう思ったのだから、言ったのと同じだ!」として

そこで思考停止してしまう方々が多いようです。

 

しかし、そこを間違えると、

このプレーが発生した「原因」を間違えることになり、

ひいては再発防止策も間違えるし、処分も間違えることになってしまいます。

 

こだわって申し訳ないですが、

そこが「指示したか・していないか」のポイントであることを

ご理解いただければと思います。

 

 

日大コーチ陣は、「第一プレーで、QBを潰してこい」と言いました。

「それが試合出場の条件だ」と。

 

そう言ったのです。

 

しかし、この言葉は、宮川くんに

「あのプレー」をさせようとした言葉でしょうか?

 

その言葉の目的は、日大コーチ陣が、関学のQBにケガを負わせたい、

という気持ちから発したものなのでしょうか?

 

日大のコーチ陣に、その意思があったかどうかは関係がない

と主張される方もいらっしゃいます。

 

けれど、行動の目的がなんだったのかは、その背後に何があるのか、

という判断の基準になるので、非常に重要です。

 

 

いま、仮にあの関学オフェンスの第一プレーが、

反対方向に展開していたことを想像してみてください。

 

攻撃チームが左(守備から見て右、

つまり宮川くんのサイド)に展開していたら。

 

アラインを広めにとって、リードもせずに

決め打ちでQBに向かった宮川くんは、躊躇せずスピードを緩めなければ、

ランフェイクをしているQBを

かなりの確率でハードヒットできていたでしょう。

 

もちろん、「合法的に」です。

 

その結果、QBがケガをするかどうかはわかりません。

 

しかし、守備のスーパープレーであることは確かです。

 

これ、ご想像いただけるでしょうか。

日大コーチ陣が、その指示から、「何を望んだのか」ということです。

それこそが指示の内容ですね。そこに「反則の要素」はありません。

 

「あのプレー」が猛烈に非難の対象である原因は、

ホイッスルのあと、無防備なQBに背後から」いったという部分です。

その非人道性です。

 

逆に言えば、今回のことが、プレー中のタックルであれば、

こんな問題にはなっていなかった、ということです。

 

望んだことと、実際に起きたことのちがい。

そこにこそ、「乖離」の根拠があります。

 

ここまでで、『無防備になったら背後から行け」という指示はない』と

お分かりいただけるでしょうか?

まだな場合は、ひきつづき、お読みください。

 

 

プレーのフローが右に流れた段階で、逆側のエンドである宮川くんが

合法的にQBをつぶせるチャンスはかなり少なかった。

 

彼はQBがパスを投げ終わった段階でスローダウンし、

パスートを終えなければいけなかったのです。

 

しかしそれでも、彼は行ってしまった。

 

あえて、少しだけ宮川くんを悪者にしますが、

そこにあったのは、「彼の判断」です。

もうプレーが終わっているのに、それでもいく、という。

 

そしてその判断は、「命令の誤解釈」からきたものでした。

 

彼は会見の中で、

「ケガをさせてこい、という命令に従ってしまったのは自分の責任だ」

と発言して、世間の賛同を集めていますが、

その「ケガをさせることが目的だ」ということそのものが思い込みであって、

ケガをさせないと、自分は下げられてしまう、という強迫観念が、

彼をその行動に走らせたわけです。

 

しかし、コーチ陣が試合の何日も前から

宮川くんに言葉をかけてきた目的は

「相手QBをケガさせること」ではなくて、

「宮川くんが思い切りプレーすること」だった。

 

この解釈の違いを「乖離」と言っていて、

コーチたちは宮川くんがただ闘志あふれるプレーをしてくれれば、

それで100点満点だったのです。

 

もちろん、本人にはそう言っていません。

それがなかなか伝わらなかったから、手を変え品を変え、

いろんな言葉を使って伝えようとしていた。

 

そのコミュニケーションの流れの中で、定期戦のこととか、

QBは知り合いか?とか、そんな言葉が出た可能性があり、

いつのまにか、宮川くんの中で解釈のちがいが生まれてしまった。

 

そして、そのことに、コーチが初めて気づいたのは、

あの第一プレー目だった、ということです。

 

ここまでで、『無防備になったら背後から行け」という指示はない』と

お分かりいただけるでしょうか?

まだな場合は、ひきつづき、お読みください。

 

 

日大コーチ陣による「第一プレーで、QBを潰してこい」という指示を、

仮に野球用語に例えます。

 

こんな指示があるかはわかりませんが、

仮に「第一打席でサードまで行け。それが試合出場の条件だ」とします。

 

このとき、コーチの頭の中にあるのは「三塁打を打て」という意味です。

 

サードまで行くには、ファースト、セカンドを経なければいけないのは、

野球の当然のルールだから、わざわざ言いません。

 

ところが、バッターの打った球が右中間に飛んだので、

間に合わないと思った彼は、

いきなり左方向に、つまりサードに直接走った。

 

「え?

 サードに行けとは言ったけど、そういう意味じゃないよ。」

 

そう思いませんか?

 

あまりに荒唐無稽な例えだと思うかも知れませんが、

しかし、実際に起きたのは、こういうことに近いのです。

 

 

「第一プレーで、QBを潰してこい」は、第一プレーで、

QBにハードタックルを決めてこい、という意味です。

 

もちろん「タックル」ですから、ボールを持っている状態のQBに対して、

合法なタックルで仕留めてこい、ということ。

 

わざわざ言いませんが、フットボールの話なのですから、

「合法的なタックル」を要求していることは当たり前だとコーチ陣は思っていた。

(会見での内田前監督の発言にも「ルールを守るのは当たり前」とあります)

 

あえて言うと「第一プレーで、QBを潰してこい」の本当の意味は、

「闘志をむき出しにして行け!」ということなのでしょう。

 

そこが共通認識でさえあれば、たとえ内田前監督が

「やらなきゃ意味ないよ」と本当に言っていたとしても、

何もおかしなことはありません。

 

「定期戦がなくなってもいい」とか、

「相手がケガをしたらトクだ」と思わせるような発言が(もしあったとして)、

宮川くんは、「ケガをさせること」こそが

本当の目的なのだと考えてしまいましたが、

 

コーチは「ハードヒットの結果、相手がケガをしてしまうかどうかなど、

お前が考えなくていい」と言いたかっただけです。

その延長線上で、「両校の関係が悪くなるなんて、考えるな」ということ。

それよりも、「迷いなく、激しく、思い切ってプレーしろ」と。

 

優しい性格の宮川くんに火をつけたかった一心であったことは、

会見での内田・井上両氏の発言と態度が物語っています。

 

井上前コーチは、あくまでもアメフトの常識の中で、

つまり「アメフト語」で話していたつもりでしたが、

宮川くんの中で、いつのまにかそれが「一般語」として解釈されてしまった。

 

「野球語」で「サードまで行け」は三塁打を打つことだとしても、

「一般語」では、「ただサードに行くこと」と解釈されるでしょうから。

 

それこそが、「あのプレー」発生の原因です。

 

ここまでで、『無防備になったら背後から行け」という指示はない』と

お分かりいただけるでしょうか?

まだな場合は、ひきつづき、お読みください。

 

 

さて、今、起きているような形勢、

つまり「真実をいう誠実な学生」と「ウソを言ういい加減なオトナ」

という図式ができてしまったのは、それぞれの記者会見が原因です。

 

これも、端的に言うと、一般語で話した宮川くんと、

アメフト語で話してしまったコーチ陣のちがいだと言えます。

 

アメフト語を一般語と勘違いした宮川くんの会見は、

勘違いしたまま、つまり「思い込んだまま」堂々となされました。

 

だから、彼の中で、ウソはひとつもありません。

(井上コーチの「彼は嘘はついていない」発言もここから)

そしてそれは、アメフトを知らない記者や一般人には、

とてもわかりやすいものでした。

 

「コーチから、1プレー目で潰してこいと言われた」

それは一般語として聞くと、驚愕の「謀略的な」内容です。

 

極端なたとえですが、

仮にアメフト語で「ぶっ殺してこい」という言葉があったとしたら、

一般語では「殺人命令」です。

 

でも、本当に「殺してこい」だと思うかどうか・・・

そんな常識の歪みが、この問題の根底に横たわっています。

 

 

宮川くんが会見で「一般語」で訴えたのに対して、

コーチ陣は会見でも、すべてアメフト語で話してしまいました。

だから、一般人にはとても理解できる内容ではなかった部分があります。

 

例えば、会見冒頭で、井上前コーチは、

「右にロールが行った」と言いましたが、

報道では「右にボールが行った」と伝えられています。

 

QBがいちどディフェンスに背中を向けてから左右のどちらかに
展開することを「ロールアウト」と言います。
(ちなみに背中を向けずに行ったらスプリントアウトと言います)
だから井上コーチは「右にロールが行った」と言いました。

何気ない一言です。大勢に影響のないことです。


しかし、フットボールがわからない人は、

自分がわかるように勝手に聞き取り、わかるように勝手に解釈する、

という一例なのです。

 

井上前コーチはこのときに、「右にロールが行った」ではなく、

「プレーが右に展開した」と伝えるべきでした。

 

相手にはフットボール語が通じないからです。

それと同様のことが、随所に起きてしまったことが、誤解を生みました。

 

 

宮川くんの会見と、コーチ陣の会見を比較する論調の中で、

ひとつ欠落している視点があります。

 

それは、コーチ陣は後攻であった、

つまり、先に宮川くんが会見したあとだった、ということがあります。

 

両者の条件は、初めから平等ではなかった。

 

しかも、先に宮川くんから「コーチからの指示だった」と

言われてしまい、メディアも世間も、それを盲目的に信じている。

 

この状況下で、「指示していない」という意見を伝えることは、

ものすごく困難なことです。

やっていない、ということを証明するのは、そもそも難しいことなのに、

そこに先入観があるわけですから。

 

宮川くんが、我々の意図を近視眼的に捉えてしまった。

メディアも同様に捉えている。(関学選手を負傷させる)

しかし、こちら側の意図はもっと別なところ(宮川くんの成長)に

あったのだから、いちど先入観を捨てて欲しい。

 

しかし、可愛い学生である宮川くんのことは守ってあげたい。

 

そういう狭間で、コーチたちはとても難しい試みをしていた。

それが、あの会見です。

 

彼らの言葉の歯切れの悪さを「ウソをついているから」と

決めつけている人が多いですが、そんな薄っぺらな理由ではないのです。

 

彼らは嘘を暴かれそうになってしどろもどろしていたのではなく、

自らの主張をすると大切な宮川くんを傷つけてしまう、ということと

懸命に戦っていたのです。

 

 

どうしてアメフト経験者である宮川くんが

アメフト語を理解できなくなっていたのか?という

疑問を持たれる方も多いですね。

 

つまりそこが「プレッシャーをかけすぎた」という部分なのであり、

コーチ陣に責任が問われる部分だ、ということです。

 

通常なら、宮川くんもそんな判断はしなかったでしょう。

しかし、執拗にプレッシャーをかけつづけられたことで、

「これはひょっとして、本当にケガをさせろという意味か?」と

思うようになってしまった。

 

宮川くんはそう思っているので、

彼にいくら聞いても「そう命令された」としか言わないのは当たり前です。

彼には、現実にそう聞こえているからです。

 

 

私がここに書いていることは、推測ではありません。

あとは、どこまで世の中が、メディアが、

今の常識を超えて、真実を受け止めることができるか、です。

 

内田監督が日大の常務理事だったことから、

「日大の体質」などという、

今回のこととは関係の無い議論にまで内容が発展してしまいました。

 

日大の対応が後手後手に見えたことが、さらに悪印象を与えました。

日大に比較して、関学が優等生に見えたこともあるのでしょう。

 

しかし、攻める立場の関学と防戦一方の日大では、

突然巻き起こったこの一件への対応の困難さのレベルはまるでちがうし、

おそらくどこの大学で起こっても、同じようなことにはなったでしょう。

 

しかし、どんなときにも

民衆は人を叩きたい、権力者を叩きたいと思うものです。

 

その結果、社会のストレスの捌け口として、

日大が、フェニックスが、コーチ陣が、そのターゲットになってしまった。

 

 

この投稿では、一部、宮川くんを悪く言うかのような部分があったかと思いますが、
私は彼を悪者にしたいのではありません。

 

彼を悪者にしないために、コーチ陣が努力していたことを

知ってほしいので、あえて誤解を恐れず、書かせていただきました。

 

メディアの皆様、どうか。

 

いちど先入観を外して、

いちど「コーチの言うことは嘘ではないのでは?」という前提に立って見て、

もういちど、出来事を最初から見てみていただけないでしょうか。

 

宮川くんも、コーチ陣も、嘘はついていない。

 

人は「思い込み」をする生き物です。

 

不思議なもので、思い込むと、すべてがそう見えてしまうものです。

宮川くんの会見前までにネット上で出回った彼の顔写真が、

とても悪い人相に見えたことでしょう。

 

でも、あの会見の後、その写真はどう見えるようになりましたか?

同じ印象ではなくなったはずです。

 

人は「思い込む」のです。

 

メディアの皆様、どうか、世間の「思い込み」を

その冷静な知性で、正しく導いてください。

 

人々の感情が、誤った裁きを下すことのないよう、導いてください。

 

お願いします。