つづきです。

 

(質問3)

あの反則は、監督の想定内だったのではないか?

監督はあの反則を見ていなかったというが、出回っている動画を見ると、

ボールではなく反則場面の方を見ていると思うが?

想定内ではないのであれば、どんな反則だったのか、すぐに確認するのが普通ではないか?

 

 

まず、監督があの反則を見ていたのか、見ていなかったのか、

という点についてですが、本人は見ていないと言っています。

そして、見ていなかったのだとすれば、話の辻褄が合う、ということが多いです。

 

で、見ていない、ということがどうして必然性があるのか、というと、

別の日にも書きましたが、「監督」の役割というのは、

ゲーム全体の統括なのであって、ゲームの流れを把握するには

ボールを見ていなければいけないのです。

 

これは、関学・鳥内監督も見ていないことからも、特に疑うべきものではないはずです。

けれども、QBが倒れているし、審判がイエローフラッグを出していて、

「アンネセサリーラフネス」というパーソナルファウルをコールしているのですから、

程度は別として、レイトヒットがあったことは理解しているわけです。

 

そして、それが2プレー後にもありました。

それから、最後は乱闘沙汰での退場ですね。

 

一人の選手が3回もパーソナルファウルを犯し、

最後は退場になる、というだけでも、めちゃくちゃに異常なことなのです。

 

しかもそれが、試合の最初の1シリーズの中ですべて起きた。

これだけでも、ものすごく異常なことです。

 

そういうことがあったので、試合後にメディアがファウルについて

質問して来ることは想像がついていたはずです。

 

そこで、内田監督は、自軍の選手を守るために、

「あれは自分がやらせていたことだ」と、

文春が発表した例の発言をしたわけです。

 

正直なところ、宮川くんを守るために、ちょっとリップサービスをしすぎた、

というところはあったように思います。

 

「以前の関学の方が酷かった」とか、

「あれくらいやらないと関学に勝てない」とか。

 

でも、あの発言はあくまでも悪役は自分が引き受けて、

宮川くんを守る、という目的のために言われたもので、

「いじめる」という言葉も、そういう意味で使われているのです。

 

あの第一プレーの反則というのは、

ふつうにフットボールの試合を見にきている人は、ほぼ絶対に見ていません。

よほどライン戦だけが好きな人は見ていたかも知れないですが、

新聞記者なども含めた、あそこにいたほぼすべての人が、

「パーソナルファウルがあった」ということ以外は把握していなかったはずです。

それほど「視界の外」で起きていたことだからです。

 

ですから、関学サイドでも、日大サイドでも、

試合の当日はそれほど大きな問題にはならなかったわけです。

 

 

それと、「内田監督は見ていたはずだ」と周りがいくら言おうと、

それを証明する方法はありません。

 

例えば、誰かが車の事故を起こしてしまったとしますね。

 

運転者は「脇見運転をしてしまった」と証言しているのに、

それが意図的に車をぶつけたものではないか?という疑義が出て、

仮に、その事故の原因が「わき見運転であったか、否か」が争点になったとします。

 

で、目撃情報や写真などで確認すると、

その人はそのとき、前を向いていたとします。

 

周りの人が、「視線が前にあるのだから、わざとだ!」と主張し、

わざと車をぶつけた酷いやつだ!と世論が騒ぎ出したとします。

 

けれども、実際のところは、彼は何か考え事をしていて、

意識が視線の先になかったら、目玉は前を向いているけど、

実際には見ていないわけです。

 

そんなことは、人間には誰にでもままある。

 

その場合、やはりこれは「わき見運転」ですよね。

 

顔が前に向いていても、視線が前方にあっても、

意識的にそれを見ていないのであれば、本人にとって、見ていたことにはならない。

だから、これはわき見運転であって、意図的に車をぶつけたわけではない。

 

けれど、「見ること」はできたはずなのに、その義務を怠った、

ということは事実なはずですね。

 

ですから、意図的だったか、ということについては、そうではないのだけど、

注意を怠ったために事故を起こした責任はある、ということになる。

 

そんな可能性はあるわけですから、

そもそも、証明することのできない「そのとき本人が見ていたか」ということを

他者が証明しようとすることそのものに、意味がないのです。

 

今の例はともかくとしても、あんな場所で、あんなタイミングで起きた反則を、

監督が見ている方がおかしいと、私は思っています。

 

 

想定内の反則ではなかったのなら、なぜすぐに確認したり、

交代したりさせなかったのか?という部分ですが。

 

「ある程度、レイトヒットしてでも思い切りいけ」

とコーチが指示していることを知っていれば、

「そんなことは多少は起こるだろう」的な考えはあったでしょう。

 

しかし、「多少のレイトヒットがあるかも知れない」と思って入ればこそ、

あんなに酷い反則行為だったとは思っていなかったでしょう。

 

なぜ確かめたり、注意したりしなかったか、と言えば、

その理由はひとえに、「そんなに酷いことが起きていたとは、知らなかった」

ということに尽きるのでしょう。

 

「たいした反則ではない」という先入観から、

試合中の監督からの指導の欠如や、試合後の容認の発言があった。

そう考えるのがもっとも自然です。

 

それに、鳥内監督の言う、

「わかった段階で、なぜすぐに謝罪しなかったのか?」は、

単純に日大の初動のミスであって、それは日大も認めていますよね。

 

内田さんは「電話がかかってくるものだと思っていた」と言っているけど、

まぁ、それが正しいか正しくないかは置いておいて、

自分の判断はまちがっていた、と認めて謝罪しているので、

そこはこれ以上議論しても仕方ないでしょう。

 

(質問4)につづきます。