<5/28追記>
このブログの内容は、現在の私の持つ考えとは異なっております。
が、「偏見」というものがどのように克服されるか、ということを
記憶しておくために、あえて、このまま残しております。
お読みいただく場合は、そのことをご承知おきください。
※ ※ ※
とても悲しい気持ちでいっぱいです。
すでに多くのメディアでも取り上げられているので、
先日のアメフトの試合、関学・日大戦の中で起きた出来事について、
ご存知の方もいらっしゃるでしょう。
ことの経緯は、そちらに譲るとして、
なぜこんなにも悲しいのか、ということを自分で分析しました。
そのことだけ、吐露したいと思います。
これから書くことは、あくまでも私見です。
※
まず、今回の試合は、51回目の定期戦でした。
51回目ということは、51年の歴史があるということです。
しかし何よりも、昨年の学生王者決定戦「甲子園ボウル」の再戦なわけですから、
まちがいなく、この春、もっとも注目すべき大一番であり、
両校にとっても、春のシーズンの中でもそれぞれに何かしらのテーマを設けて、
一生懸命、準備してきたことと思います。
関学と日大は、もちろんライバル関係ではあるわけですが、
共に日本のフットボール文化を作り上げてきたということもあり、
OB同士が親しくお付き合いしたりしていて、
世の中で思われているより、関係は深いものと思います。
それに、「学生日本一」を本気で目指すという共通の目標を掲げていますから、
少なくとも関学の中には、相手に対するリスペクトがありますし、
戦友というか、なにか、そういった意識もあったはずなのです。
そこが破壊された、ということが、
この件が持つものすごく大きな意味だと、私は思っています。
※
反則をした当該選手、背番号91のDL(以後#91)ですが、
映像だけを見ると、試合の後半などに劣勢になっていた選手がイライラをつのらせて、
つい熱くなって反則を犯してしまったように見えます。
けれど、これはまったく違うのです。
この、人間として考えられないような愚かな反則は、
驚くべきことに、試合の中の第1プレーで起きているのです。
このことは非常に重要です。
この悪質なタックルは、「目的意識を持って」行われている、ということだからです。
熱くなっているわけでもなんでもない、試合の序盤、開始早々のプレーで、
#91は、すでにボールを投げ終わって脱力している関学QBを
背後から勢いをつけてフルタックルしています。
ボールを投げ終わってから2秒もあとに起きたことで、
観客も、審判さえもがボールの行方を追っていたため、
その様子をリアルタイムで観た人は
ほぼいなかったのではないでしょうか。
QBは負傷退場しました。
当然、反則にはなりましたが、通常のレイトヒット以上の情報が
現場にはなかったのでしょう。
#91は退場などにはなりませんでした。
しかし彼は、このわずか2プレーあとに、交代出場した別のQBに対して、
ボールを持っていない状態にも関わらず、もういちど同じことをやったのです。
なぜでしょうか?
何か、別の目的があったように思えます。
彼はここでも反則となりました。
そして、そのまた2プレーあと、今度はプレー終了後に
関学のラインの選手に殴りかかり、そこで初めて資格没収、
つまり退場となりました。
しかし、ビデオでよく見ると、このプレーの中で彼が相手に殴りかからなければならないような出来事は、何一つ起きていないのです。
ある見方をすると、バランスを失って尻餅をついている#91は、実はここでもQBに向かうことに目的意識を持っており、そうできなくなった流れの中で、まるでむしゃくしゃをぶつけるかのように、相手に殴りかかっているようにも見えます。
「こいつ病気だな」
私が動画を最初に見たときに、つい口から出てしまったのは、
その言葉でした。
ここで退場となった#91ですが、コーチに怒られるわけでもなく、
他の選手から労われるシーンすらありました。
その態度に、ラフプレーをチームが容認しているように見えたことも、事実です。
※
しかし、彼が病気なのではないということが、わかってきました。
これはあくまでも憶測ですが、でも、ほぼまちがいないと思っています。
この愚行は、日大の監督の命令だったと思います。
あくまでもネットの情報ですが、
#91はここのところ試合に出してもらえず、
信じられないことですが、
「試合に出たければ、第1プレーで相手のQBを潰してこい」と言われていたそうです。
日大の、内田監督に、です。
もちろん、ネット上の情報を鵜呑みにするのは馬鹿げているのはわかっています。
しかし、意図的にQBを壊すためとしか思えない#91のあの愚行は、
選手個人の判断、行動で行われるはずがないのです。
そんな勝手なことをしていたら、緻密なチームスポーツである
フットボールゲームは成り立ちませんから、
もし彼の勝手な行動だったのなら、第1プレーのあと、
絶対に交代させられていたはずです。
だって、彼の行動だけで、開始早々日大は30ヤードも反則で失っている。
それなのに、チームからとがめられないなんて、ありえない。
つまり、この問題の本質は、#91の反則そのものではないのです。
なぜ彼がこのような行動をとったのか。
すなわち、日大の内田監督と、そのまわりのコーチたちが、
「関学のQBを潰せ」と命令していた、ということ。そのことなのです。
いくらコンタクトスポーツとはいえ、相手は未来もある学生です。
そういう人間に「怪我をさせろ」と命令していたとしたら、
これはもう、何もかもが成立していません。
しかし、#91のあの行動は、そうでもなければ説明ができないのです。
いや、そういう状況だったのなら、腑に落ちる。
そして、日本のフットボール界にとって、
もっとも失望すべきなのは、
関学が、昨年の学生日本一のチーム相手に、必死に準備をしていたとき、
日大では「QBを潰せ」という準備がなされていた、という事実です。
それぞれが、それぞれの目的意識を持って試合に臨んでいたはずですが、少なくとも日大の#91は、関学のQBを潰す、ということを目的に設定させられていた、ということです。
そんなことを自ら望んで行う選手が、一人でもいるでしょうか?
関学は、次戦の日体大戦に敗れました。
春とはいえ、20数年ぶりの敗戦です。
心が乱れていたのだと思います。
なぜ?
裏切られたからでしょう。
リスペクトしていた相手が、信じていた相手が、
ライバルとして認めていた相手が、
実はそんなにも卑怯なことを画策していた。
その精神的な裏切り行為にこそ、関学は失望し、動揺したのだと思います。
どこかの名の知れないチームではないのです。
昨年の学生王者、日大フェニックスなのです。
長年、互いを意識し、高め合って来た、
ある意味で最高の友だったはずなのです。
尊敬に値する競技に向き合う姿勢。サムライと名乗っていたその姿勢が、嘘であった。
裏切られたのです。
日大の本当の罪は、そこなのです。
※
報道では、#91が退部をしたといいます。
私は、彼に辞めて欲しくない。
それよりも、部にいて、ちゃんとフェニックスを正して欲しい。
一生をかけてでも。
私は、彼が自ら望んであのような愚行をやったとは思えない。
彼は日本代表に選ばれていたのです。
相手チームの選手は、代表チームでチームメイトになる可能性だってある。
それを、個人の行動で、怪我を負わせにいくはずないのです。
それだけは、絶対にそうなはずです。
退部するのは簡単なことです。
それより、部にいつづける事の方が、もっともっとツライことのはず。
この件で、20代そこそこの若者の未来を奪うのではなく、
彼には人生の学びをあたえつつ、
問題の本質をみきわめ、本当に裁くべき人を裁かなければいけません。
私がしかるべき立場であれば、こういう裁定がふさわしいと思います。
○日大の内田監督をフットボール界から永久に追放
○日大のコーチ、首脳陣も総入れ替え
○昨年の学生王者の資格を剥奪
その上で
○日大はこの秋の全試合出場停止
○来年、2部に降格(BIG 8ではなく本当の2部)
これが外側からの制裁措置。
それにあわせて、法政大学が不祥事のときに行ったように、
日大フェニックスはチーム名の変更、
ユニフォームの変更などを行い、
日大フェニックスとしての歴史を終わらせる。
残念ですが、私は、これくらいのことをしなければいけない
日本のフットボール界の未来に関わる大事件だと思っています。
上記のような措置があった場合、ほぼすべての部員がチームを去るでしょう。
そこから本当に這い上がってこれるかどうか。
そういう局面なのだと思います。
それでダメなら、ダメだった、ということです。
私の喪失感は、「裏切られた」という気持ちに他なりません。
あの赤いユニフォームを、二度と見たくありません。
まっとうに頑張ってきた、フェニックスの部員たち。
とくに4年生。
本当にかわいそうで仕方ありません。
日大の指導者たちが、本当にサムライであるのなら、
ここで切腹をするしかないのではないでしょうか。
それは、自ら責任をとって、逃げも隠れもせず、
正々堂々と、フェニックスの歴史を終わらせることのように思います。
罪のない若者たちの未来を、愚かな老人たちに失わせてはいけません。