三笠宮さまがお亡くなりになられて、ネットニュースでは改めて
三笠宮さまが生前に訴えていらっしゃった「平和への願い」に注目が集まっていますね。
中でも三笠宮さまは戦中に軍人として南京に赴任され、
そこで「聖戦」と呼ばれているものの実態をその目でご覧になられた。
ネットニュースから三笠宮さまの言葉を引用します。
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〈わたくしの信念が根底から揺りうごかされたのは、じつにこの一年間であった。いわば「聖戦」というものの実体に驚きはてたのである。罪もない中国の人民にたいして犯したいまわしい暴虐の数かずは、いまさらここにあげるまでもない。かかる事変当初の一部の将兵の残虐行為は、中国人の対日敵愾心をいやがうえにもあおりたて、およそ聖戦とはおもいもつかない結果を招いてしまった〉
〈この失敗は軍および日本政府首脳者に真剣な反省をうながし、新たに対華新政策なるものが決定され、わたくしが南京に在住していた一年間は、司令官以下この新方針の徹底に最大の努力をした〉
〈新政策が発表されるや、軍司令官はただちに「四悪」を禁止するという厳重な命令をくだした。四悪というのは略奪、暴行、放火、強姦のことである。(中略)ある第一線の大隊長のいうことがふるっていた。今までは敵のいた家は焼きはらって進んだので、自分の大隊の第一線がどの辺を前進しているかすぐ分かった。ところがこんど放火を禁ぜられてみると、第一線がどこにいるかさっぱり分からない、と。まったく笑えないナンセンスであった〉
〈聖戦という大義名分が、事実とはおよそかけはなれたものであったこと、そして内実が正義の戦いでなかったからこそ、いっそう表面的には聖戦を強調せざるを得なかったのではないか〉
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右翼、もしくはネトウヨなどと呼ばれる人々がどんなに主張しようとも、
日本人による中国人への残虐行為は確実に存在していたし、
例えば南京大虐殺はあったかどうか、という点に関して、「なかった」と
やった側が主張することについて大いに違和感を感じるとともに、
虐殺とは殺した人の数の問題ではない、ということを三笠宮さまが仰られていることに
私も深く賛同するものです。
ひとつ、私が皆さんと共有したいことは、
「戦争とは精神異常状態である」ということです。
戦争の中で起きたことを、平時のアタマでいくら口弁しようとしても
それは永久に噛み合ない。
日本兵は生きた中国人捕虜に向かって銃剣を刺すという訓練をしていました。
鬼畜の行為です。
しかし、思うのです。どうしてそんなことができてしまったのか、ということを。
彼らは普通の精神状態ではなかったと思うのです。
逆に言えば、人間は誰でも、スイッチが入ってしまえば人殺しができてしまうのです。
残虐な行為ができてしまうんですよ。
戦争は一部のキチガイがやることではなく、普通の人々がやっているのです。
普通の人々が、キチガイになってやっているのですよ。
だから、悪いのは人をキチガイにさせる「戦争」そのものなのです。
どんな大義があろうと、正しい戦争などないのです。
聖戦などと言っても、そこで行われているのはキチガイ行為でしかない。
生きた人を無惨に殺すことができるなど、気が触れなければできないのです。
しかし、人の気を触れさせることはできるのです。
できるから、戦争がなくならないのです。
いま、安倍政権は普通の日本人の気を触れさせて、
戦争ができるように少しずつ、しかし具体的にものごとを進めています。
日本人が戦争をやったり、どこかの戦争に加担したりする必要性は
完全にゼロなんですよ。
どうしてか、といえば、すべての対立軸は、
実は意図的に作られたものに過ぎないからです。
作られた対立軸は、勇気があればなくすことができるのです。
人と人を対立させることで、そこから甘い汁を吸っている連中というのがいて、
その連中の私腹を肥やすためだけに、世界は対立し、戦争しているんです。
怒りの感情、憎悪の感情という、人間にもともと備わった習性を利用されているんです。
そこから抜け出すには、憎悪のメカニズムを理解し、
その呪縛から自らを解放しなければいけません。
「やつらは敵だ!」「やっつけろ!」ということほど、
人間にとって簡単なことはないのです。
戦争をなくすということは、人間の精神との戦いなのです。
みんなが自分に負けているから戦争が起きてしまう。
想像してください。
戦時中、中国に行って、中国人を人とも思わずに惨殺していた人、
変わった人だと思いますか?
中国人の女性を強姦し、家に火をつけていた人、
変わった人だと思いますか?
兵隊になる前から、いかにも人を殺しそうな危険な人間だったと思いますか?
普通の人だったはずです。あなたや私と同じように。
人を変えてしまうのが戦争です。
ひとたびスイッチが入ってしまったら、自分の力では戻せません。
だから、絶対にダメなのです。
日本はいま、転がる石のように堕ちつづけています。
止められるのは、私たち自身であり、
私たちしかいないのです。
日本が戦争なんかするはずない、と今でも思っている人。
わかってください。
戦前のドイツ市民は、まさかナチスが本当にあそこまでやるとは
まったく思わずにヒトラーをリーダーにしてしまったのです。
「これは本当にマズいかも知れない」と思ったときには、
もうどうしようもない状況になっていたのです。
生きるためには反対意見も言えなかったのです。
TPPは日本を経済的な植民地にしてしまう取り決めです。
いま起きていることに、目を見開いてください。
抵抗できるうちに。
そうできる時間は、もうだいぶ少なくなっていると思います。
