「宇宙は膨張していない?」新理論が示す“スケール収縮”仮説
ダークエネルギー問題に挑む最新の宇宙論
■ 宇宙の膨張をどう理解するか
現在の標準的な宇宙モデルでは、宇宙はダークエネルギーによって加速的に膨張していると考えられています。しかし、この説明には大きな問題があります。
理論的に計算される真空エネルギーと、観測から推定されるダークエネルギー密度の間には、約10¹²²倍もの差があるのです。これは物理学最大級の未解決問題の一つです。
最新の理論研究は、この問題に対して大胆な視点を提示しています。
👉 実は宇宙が膨張しているのではなく、私たちの“物質世界のスケール”が収縮しているのではないか?
■ 「スケール収縮モデル」とは何か
この仮説では、時空の“基盤”と物質世界のスケールは別物だと考えます。
短い時間スケールでは、
-
時空そのものが膨張している
-
物質世界(長さ・時間・質量・電荷)が均等に収縮している
この2つは観測上ほぼ区別できません。
もし物質世界が年間約30億年あたり3%の割合(-3%/Gyr)で収縮していると仮定すると、観測されているダークエネルギー密度の時間変化をうまく説明できる可能性があります。
■ DESI観測との関係
2025年にDESI(ダークエネルギー分光観測装置)共同研究チームは、ダークエネルギー密度が時間とともに減少している可能性を示しました。
この新理論では、超新星データ(スケール依存)とCMB・BAO(スケール非依存)の観測結果のズレが、物質スケールの収縮を考慮することで整合すると主張しています。
つまり、ダークエネルギーが変化しているのではなく、
👉 観測する側の“物差し”が縮んでいる
という解釈です。
■ ダークエネルギーは不要になる?
このモデルの最大のインパクトは、ダークエネルギーそのものが不要になる可能性です。
真空エネルギーの巨大な圧力が物質世界を圧縮していると考えれば、
-
なぜ宇宙の膨張が重力で束縛された系の外でだけ観測されるのか
-
なぜダークエネルギー密度が減少して見えるのか
を自然に説明できるとされています。
■ 宇宙論の2つの大きな謎も説明?
現代宇宙論には有名な観測上の矛盾があります。
● ハッブル緊張
後期宇宙のハッブル定数は、初期宇宙より約10%大きい
● S8緊張
宇宙構造の強さを示すS8は、後期宇宙で約10%小さい
多くの修正理論では、この2つを同時に説明するのが難しいのですが、スケール収縮モデルは両方の方向性と規模を自然に予測するとされています。
■ 検証は可能なのか
この仮説は、既存のΛCDM(ラムダCDM)宇宙モデルにスケール収縮の要素を組み込むことでテスト可能です。
もしシミュレーションによってハッブル緊張やS8緊張が定量的に解消されれば、この理論は強い支持を得ることになります。
■ まとめ:私たちの“物差し”が変わっている?
この研究が投げかける問いは非常に根本的です。
👉 宇宙が変わっているのか、それとも私たちの基準が変わっているのか?
もし物質世界そのものがゆっくり収縮しているなら、宇宙の加速膨張という見方は再解釈されることになります。
まだ仮説段階ではありますが、ダークエネルギー問題や宇宙論の緊張関係に新たな視点を与える、非常に挑戦的なアイデアと言えるでしょう。