「簡単な仕事を最後に回す」と疲れにくい?

最新研究が示す“イージー・アデンダム効果”


■ 仕事の順番で「疲れ方」が変わる

夕方、難しいメール対応が山積みの中に、ちょっと楽しい用件のメールが混ざっている――そんな経験はありませんか?

最新の研究によると、難しい仕事のあとに“簡単な仕事”を意図的に配置するだけで、1日の疲労感が軽く感じられることが分かりました。

この現象は学術誌『Journal of Applied Psychology』で発表され、研究チームはこれを**「イージー・アデンダム効果(easy addendum effect)」**と名付けています。


■ なぜ最後の“簡単な仕事”が効くのか

研究によると、人は体験を評価する際、すべてを合計するのではなく、平均的な印象で判断する傾向があります。

例えば心理学の研究では、ハンバーガーとサラダを一緒に食べた場合、ハンバーガー単体よりも「低カロリー」と感じる人が多いことが知られています。人は「不健康」と「健康」を平均化して判断してしまうのです。

これに加えて、

  • 新近効果(recency effect):最後の出来事ほど強く印象に残る

  • ピーク・エンドの法則:体験の“終わり方”が記憶を左右する

といった心理バイアスも影響しています。

つまり、1日の最後を楽な作業で締めると、全体が「それほど大変ではなかった」と感じやすくなるのです。


■ 実験で確かめられた効果

研究チームは参加者に対して、さまざまな課題を行わせました。

● 身体的な課題

ハンドグリップを強く握る難しい課題のあとに、より軽い力で握る簡単な課題を追加。

● 認知的な課題

本のタイトルをアルファベット順に並べる作業で、難しい版と簡単な版を組み合わせる。

● 仕事を想定した課題

カスタマーサービス担当者として、難しいメールと簡単なメールに返信する。

研究者は、簡単な課題を最初・途中・最後のどこに配置するかを変えて比較しました。

その結果、簡単な課題を最後に置いた場合だけ、全体の負担が軽く感じられるという明確な違いが確認されました。


■ ただし万能ではない

この効果には限界もあります。

研究代表者のエドワード・ライ氏(香港理工大学)によると、

  • 課題が極端に複雑な場合

  • 内容がまったく異なる作業を混ぜる場合

  • 非常に長時間かかる仕事

では、効果が弱くなる可能性があります。

また、人によっては難しい課題そのものを楽しむケースもあり、その場合はこの戦略が必ずしも最適とは限りません。


■ 今日から使える実践テクニック

それでも、この研究は日常の仕事術に重要なヒントを与えてくれます。

例えば――

✔ 面倒な事務作業のあとに、軽い整理作業を入れる
✔ 難しい会議のあとに、好きなタスクを配置する
✔ 1日の最後に達成感を得やすい仕事を残しておく

こうした工夫だけで、1日の満足感やモチベーションが高まりやすくなるのです。


■ まとめ:終わり方が1日を決める

イージー・アデンダム効果が示しているのは、

「仕事の量」だけでなく「順番」も重要だ

というシンプルな事実です。

最後に軽い仕事を持ってくるだけで、1日全体が楽に感じられ、達成感も高まります。忙しい毎日の中で、少しだけタスクの並べ方を意識してみる――それだけで、働き方の質が変わるかもしれません。