こんにちは、受験パパ@NAGOYAです。

 

今回は、多くの方が知っていることではありますが、どうしても多くの方が勘違いしやすい点ではある「中学受験における」偏差値について、以前の記事に加筆修正する形(=【新版】)としてお話したいと思います。
「中学受験における」とわざわざ「 」書きとしていることには大変重要な意味がありますので、その点を踏まえて、お読みいただければ幸いです。


偏差値。
今ではすっかり市民権を得ており、おそらく日本国民で知らない人はいないと思いますが、これほど「誤解」されている数値(指数)も珍しいのではないかと思います。
そもそも偏差値とは、統計学上の用語であり、ある事象に対して計測された数値を数値の大きい方から順番に並べ、その数値集団の全体平均と個々の数値の「偏り=偏差」を算出し、個々の数値が数値集団のどのあたりに位置するものかを示した指数だといえるでしょう。
また、偏差値はかように一般的な学術用語なので、「『学力』偏差値」と限定した表現をされる場合もあります。ただし、この記事では煩わしさを避けるために「偏差値」で統一したいと思います。


この「偏差値」を受験界に持ち込んだのは、諸説あるようですが、東京都某区立の某中学校の理科教員が高校受験、特に当時は超難関校であった東京都立日比谷高等学校をターゲットとした合否判定を「客観的に」行うために考案したと言われています。


このように、偏差値導入の目的は、学力を「科学的・合理的=客観的」に測定するために、問題の難易度に大きく左右されないで、その良し悪しを判断する指標が欲しかったためだと考えています。


一方、「誤解」は、偏差値が「指数」であるにも関わらず、個々の試験における「採点(得点)結果=実数」と同列で考える方が実に多いことにより発生します。
偏差値は、測定対象となる「母集団」によっても結果が大きく異なります。

中学受験における偏差値の「誤解」の多くは、この測定される母集団に対する理解不足が原因であることが大半です。

具体的に言えば、中学受験を目指す小学生はそもそも人数が限られているだけでなく、小学校では比較的優秀な生徒、つまり、学校で行うテストでは「高得点を取っている生徒」が多いと思います。

しかしながら、中学入試で出題される問題は、学校のそれよりも格段に難しいため、上記のような優秀な生徒でも「偏差値50」という結果になることは珍しいことではありません。

 

また、受験する模擬試験でも、当然母集団が各々異なりますから、結果が大きく異なります。

つまり、日能研の模試で出た偏差値50は、名進研、浜学園、馬渕教室、四谷大塚各々の模試で出た偏差値50と同一ではありません。

ただし、日能研と四谷大塚の模試は母集団が似ているので、数値としては随分と近いものだそうです。


この誤解を解消するためには、日本全国の統一した尺度が求められるわけですが、現実には存在しないので、「おおよその目安」を利用することになります。

その一例として、高校受験での偏差値を尺度に使うとわかりやすいと思います。


高校受験は同学年の生徒の大多数が受験するため、高校受験を対象とした模擬試験の結果をもとにおおよその位置を考えるというわけです。
具体的には、中学校・高校併設校で高校入試が実施される中学校ならば、その高校がどのくらいの偏差値であるかを他の高校と比較すればよいわけです。

また、高校入試が実施されない中高一貫校は大学受験の合格実績をもとに他の高校と比較すれば、自ずと中学校の、高校受験模試における位置がわかるかと思います。


結果としてよく言われることですが、中学受験でよく使われる偏差値(例:日能研のR4偏差値)に 10~15を足した値が高校受験の偏差値に等しくなることが多いと思います。
このように、「偏差値40」だと平均から大きく下回っているように見えますが、小学生全体で言えば、決して学力が足りないわけではないことがご理解いただけたでしょうか?

おおよその目安について誤解を恐れずに言えば、中学受験での偏差値50は、学校で実施されるテストやプリントが8割くらいを正解できる学力、つまり小学校では「優等生」ではないかなと思います。


逆に言えば、中学受験で偏差値70以上となると、学力という点では同世代の最上位に位置します。

高校野球における甲子園出場常連校のレギュラーになるようなものと言えばわかりやすいでしようか。それくらい厳選された「超絶な」頭脳の持ち主であるといえるでしょう。


あと、偏差値の「怖いところ」は、勉強しても勉強しても、その数値が変化しない場合があることです。

理由は、受験が近づくと、母集団そのものの学力水準が向上していくからです。
ですから、偏差値を上げたいと考える場合は、母集団全体の学力水準以上に学力を向上させなければならないこととなります。それだけ大変な労力を必要とされます。

特に中学受験を行う小学生は「入試当日まで学力が向上する」と言われるくらい母集団全体の学力水準の向上が大きいので、入試当日まで努力することが必須だと思います。

逆に12月の最後の模擬試験の結果が良かったからといって安心していると、思わぬ失敗をすることになります。

この辺が高校受験や大学受験と全く違うところかもしれません。


私たち夫婦もそうでしたが、模擬試験の結果が出るたびに「偏差値」に一喜一憂しました。

これまでお話ししてきたことは、頭では十分に分かっているのですが、良い結果の表情と悪い結果の表情では明らかに大きな差が出ていたように思います。

良かったときは「たまたま運が良かった」、悪かったときは「原因追及の好機到来」と考え、冷静に対応したいものです。とても反省している点の一つです。


あと、実感としては、偏差値は絶対値としてではなく、「数値帯」として理解し、例えば、60 . 0~ 62 . 5のように数値に幅(帯)をもって考えた方がより正確に偏差値の本質を理解できるこように思います。

今中学受験に取り組んでおられる親御さんには、数字に翻弄されることが多いかもしれませんが、「偏差値」の本当の意味を知り、私たち夫婦のように右往左往、一喜一憂されないことを願っております。


最後に一言。

偏差値は入試における「難易度」を示しているもので、その学校の教育そのものの良し悪しを評価しているわけではありません。

ただし、当然のことながら偏差値の高い学校の方が学力の高い生徒が入学する事実は存在します。

ですから、そういった生徒の能力を如何に高め、引き上げていくかに学校に携わる教職員の能力の良し悪し=学校評価があって然るべきかなと思います。

なかなか外部からは見えづらい点ではありますが、学校選びの「視点」として持っておいた方が良いと思います。

中学受験が終わって、改めてそう思います。