「趣味はなに?」と聞かれたら

大抵いつも「無いですね」と答えるが

本当は小学生の頃からずっと

変わらない趣味がある。


それは"お話を書くこと"


人によっては引かれるんじゃないかと思い、

なかなか言えない。


かといって誰にも言えないわけではないので、

心を許した友だちには趣味を教えたことがある。



自慢できることではないけど、

物心ついた時から何故か想像力には長けていた。



想像力…と言うより妄想癖が強めだった。かなり。



だからかは分からないけど、

小学生の時はノートにオリジナルのお話を

書いたり、オリジナルの絵本を描いたりしていた。

(もちろん低クオリティ)



中学生の頃、そんな私に親友が


「ひかちゃん、自分のお話を書いて投稿できる

アプリがあるよ!手書きよりそっちの方が楽だし

いろんな人に読んでもらえるかもよ!」


と、教えてくれたのをキッカケに

スマホアプリで夢小説を書き始めることにした。

(当時ケータイは持っていなかったので母のスマホで)



文章力もないし語彙力もない。

国語の授業は好きだったけど、

得意科目と呼べるほど成績が良かったわけでもない。


自分の中にある少ない知識と膨大な想像力で

考えた物語を、部活が終わったあと母のスマホを

借りて書いては投稿する。



最初は誰の目にも触れなかったけど

徐々に閲覧数が増え、コメントが来るようになり


「続き楽しみにしています!」


と言う声がこの上なく嬉しくて、

更新を続けた。



一つの物語が完結したら、

また別のお話を作っての繰り返し。


家に帰ってすぐお話が書けるよう、

授業中にノートの隅にその日書く予定の文章の

構成をメモったりもした。あまり良い子じゃなかったので



中学3年生の頃、1人の女の子が転校してきた。



クラスは違ったので

私がその子と関わる機会は無かったが、

ある日私が書いてる作品を知っている友だちが、


「ひかちゃんひかちゃん!○○ちゃん、

"彼岸花"読んでるってよ!」


と、ものすごい勢いで私の元へ走ってきた。



"彼岸花"とは私が当時

書いていた作品のタイトルで、

それまで出していた作品の中では

一番ヒットしたお話だった。



「え…ほんとに?」



その友だちが彼岸花を読んでいたのは

あくまで"友だちが書いたお話だから"


でもその転校生の子は、

当然私のことは知らないし

情報がゼロの状態でその作品を見つけ出し

読んでいてくれていたのだった。



私よりも嬉しそうな友だちが

転校生の手を引っ張り私の元へ連れてきた。




「この子が彼岸花書いてるんだよ!」


「えー!ほんとに!?作者に会えるなんて

すごい奇跡!ほんとに私読んでるし、

続きがでるのいつも楽しみにしてたの!」


「え…(感動)ありがとう泣くうさぎ



とても同級生の会話とは思えないけど、

確かにあの時そんな奇跡が起こって

上手く言葉に出来ないほど嬉しかったのを

覚えている。


"いろんな人に読んでもらえるかもよ"

そう言ってあのアプリを教えてくれた

親友には今でも感謝している。



まさかの読者様との出会いをキッカケに、

私の妄想癖には火がつき

それからも欠かすことなくいろんな作品の

更新を続けた。



高校生になっても、いろんなお話を書いた。



朝早くから夜遅くまでのハードな部活をしていたけど、寝る前の時間や、学校から家までの電車の中で

黙々とスマホを睨んで文字を打った。



高校2年生の時に出した新作は、

過去最大のヒット作となった。



それまで読者数は少なくて300人

多くても600人程度の作品ばかりだったが、


その新作は投稿初日からえげつなく数字を伸ばし

完結する頃には読者登録者数が4000人になるほど

人気が出た。



今読み返しても恥ずかしいくらい拙い文章。


とても人様に見せられるような出来栄えでは

無かったが、自分が書いた作品が好評価を得るのは

ものすごい快感だった。



大人になってからは

なかなかお話を書く時間が無く、

不思議なことに考え方が楽観的から現実的に

なったことから、私の想像力や妄想癖は

少しだけ落ちた。(それでも人並み以上)




でもこの趣味だけは生涯ずっと変わらない

と思う。


…て言うどうでもいい話(笑)