昨日(3/3)、もんたよしのりさんの「追悼フィルムコンサート」が神戸で開催されました。
以前にも、もんたさんのライブのために神戸へ一人旅をしたことがあり、今回は二度目でした。
「神戸まで一人で行く」という、私にとっての大冒険を二度も達成できたのも、もんたさんのおかげだなあこれを機に、もしかしたら一人旅が平気になれるかも。そうだとしたらこれも、もんたさんが私に与えてくれたことの一つだなあ……。
会場でコンサートの開演を待つ間、そんなことをしみじみ考えていました。
もんたさんは16歳も年上だから、いつかこんな日が来るとはずっと前から思っていて、なんとなくありきたりの、もんたさんの写真が真ん中に飾られ、その周囲がお花で埋め尽くされた祭壇を思い浮かべていました。
それが、フィルムコンサートとは
そもそも、「フィルムコンサート」という言葉も知らなかったので、どんなものなのかまったく想像がつきませんでした。
そして、それを体験した今は、本当にありがたかったと感じています。
本当なら、もんたさんのコンサートには、二度と参加できないはずでした。
でも、私が参加できなかったライブ映像が流れ、その時のもんたさんの言葉を聞くことができ、一緒に歌うこともできました。
それは言うなれば、絶対に取り戻せないはずのものを、取り戻せたような感覚でした。
コンサートの最初に流れた、2007年のもんた&ブラザーズ復活ライブの映像では、もんたさんの歌の中で一番好きな「ムード オン ムード」が一発目の曲だったというあの日の感動を、再び体験しました。(今回も1曲目だったので)
それに続いて何曲もブラザーズの頃の映像が流れ、喜びと感動とさみしさに包まれながら皆、静かに聴いていました。
でも、そんなしんみりした状態では終わらず、もんたさんが月1でゲスト出演していたというラジオ番組の、DJマーキーさんが司会者として出てきてくれました。
そして、マーキーさんの呼びかけに応え、もんたさんゆかりのミュージシャン仲間たちが客席からステージに上がり、もんたさんの人柄が偲ばれるようなエピソードを披露すると、客席からは共感するような笑い声も。
そしてマーキーさんの更なる呼びかけに応じて、ステージに上がるミュージシャンの数が増え、皆でもんたさんと一緒に歌うコーナーとなりました。
前にライブで一緒に歌った「ジャングルブギー」をまた歌えるとは。
もんたさん、いつも「歌えよー」って言っていたものなあ。「ええ感じかー」とも。
客席との一体感を大切にしていたよなあ。
コンサートの合間に、グッチ雄三さん、三宅裕司さん、赤坂さん(夜もヒッパレがきっかけで、もんたさんと仲良くなったお三方)や、鶴瓶さん、市村正親さんなどがビデオ出演し、もんたさんとのエピソードを語った後、次の曲紹介をしてくれました。
それも粋な演出だなあと思い、もんたさんの人柄は本当にたくさんの人に愛されていたのだなあとも感じました。
そしてマーキーさんやミュージシャンの方々がステージから下りると、もんたスペシャルバンドの皆様だけがステージに残り、ライブ映像に合わせた生演奏が始まりました。
その中に、生歌を聞いたことのなかった「Make over magic」のライブ映像もあり、「この歌は、本当はこういう歌だったんだ やっぱりCDで聴くのとは全然違う」と、感動しました。
この追悼コンサートに参加しなかったら、本当はどんな歌だったのか知らずじまいになるところだったし、本来ならもう知ることはできなかったことですよね。
これも、取り戻せたものの一つです。
前回の記事に、今回発売されたCDでは、「昭和生まれはシブトイデ‼」のアレンジが変わっていたと書きましたが、流れたライブ映像では、既にCDと同じアレンジになっていました。
私が参加できなかったライブではもうスタイルが出来上がっていたのですね。
それも知ることができて良かったです。
そしてラストソングはやはり、「Goodbye Brother」……。
遺言ソングなんて言われていますが、この曲を聴きながら、不思議な感覚にとらわれました。
生演奏はしてくれているけれど、もんたさんは今歌っているわけじゃない。これは昨年の8月に行われた、もんたさんの最後のライブ映像だと頭ではわかっていても、どうしても、今、もんたさんが私たちに向けて、最期のお別れの言葉を伝えてくれているとしか思えなかったのです。
その曲が終わり、映像の中のもんたさんが、いつものようにバンドメンバーを紹介し、実際に演奏していた人がその声に促されておじぎをし……という光景を見ていても、もんたさんが今、メンバーを紹介しているようにしか見えませんでした。
でも、バンドの人たちも、もうもんたさんに紹介してもらえないんだな……これが最後なんだな……と、またしんみりした気持ちになりましたが。
コンサートの間中、ここにはもんたさんのことが大好きな人だけが集まっていて、それぞれが自分ともんたさんとの歴史を振り返っているんだろうなあ……と感じていました。
追悼コンサートなので、たまたま隣り合わせた人とも会話をしたりはしませんでしたが、皆、同じくらい深い思いを抱きながら、もんたさんとの別れを惜しんでいるんだなあ……と思うと、今更ながら、もんたさんがファンに与えた影響の大きさを感じずにはいられませんでした。
きちんとファンに最期のお別れの言葉を伝えてくれたもんたさん、もんたさん亡き後も、ファンが今後の人生を歩んでいく拠り所となる音楽を遺してくれたもんたさん。
もう生歌を聴くことはできないけれど、私の人生に多大なる影響を与え、きっとこれからも与え続けてくれるもんたさんのファンになれたことが、最高に幸せだと感じられた日でした。