昨日は、市民大学で「万葉集講座」の第一回目がありました。
旅行へ行く前は正直、「なんだか万葉集講座、面倒になって来た~行きたくないなぁぁぁ……
」と思っていましたが、旅行でいろいろな物事への興味とやる気が再び沸き起こったので、意欲を持って参加してきました。
すると、本当に興味深く面白いお話が聞けたので、「来て良かったーーー」と思いました。
全4回の講座で、初日である昨日は、「万葉集を読むための基礎知識」でした。
講師は、まだうら若い、可愛らしい女性で、初々しかったです。
この講座のタイトルは『「万葉集」をよむ』というものですが、「よむ」には、読む、訓む等々、いろいろな意味があるので、あえて平仮名の「よむ」というタイトルにしたというお話が最初にあり、さすがに言葉に対するこだわりの強い方なのだなあと、感銘を受けました。
万葉集は、「現存する最古の和歌集」と資料にあり、その「現存する」を特に付け加えたのは、残ってはいないけれど、その前の時代にも私的な和歌集はあったはずだからだそうです。
万葉集にはそれらの和歌も取り込まれていると思われるというお話もありました。
なるほど、「万葉集が一番古いんだ―」と、単純に信じ込まないのが研究者なのですね。
平安時代に書かれた万葉集(五大万葉集)の中の一つである、「金沢万葉集」は、去年国宝になったばかりなので、秋頃から展示公開されるとのことで、講師の先生は、「絶対見に行きます」と言っていました。
資料に載っている万葉集は白黒なのですが、国宝というサイトで、きらびやかな文字も見ることが出来るとのこと。
銀で書かれた文字もあり、紙も藍色に染めたものだったり、模様が入っていたりと、芸術品としての価値も高いとか。
「万葉集=美しいもの」という概念は今まで持っていなかったです。
万葉仮名は、漢字の音だけ借りているので、それ自体に意味はないとのことですが、例外もあり、例えば「孤悲」(こい=恋)は、漢字が恋の意味をよく表しているとのこと。
古典では「恋」=「招き寄せるもの」で、片思いの状態を意味し、ハッピーな恋愛は和歌には詠まれないのだそうです。
判じ物のような表記も多々見られ、「金」を「秋」と読むのは、五行思想から来ているそうです。(木火土金水を、季節、色、方角、獣で表わす)
それだと、「木」=「春」、「火」=「夏」というように決まっていて、すなわち、「金」と書かれているものは「秋」と読むとのこと。
「木」=「春」=「青」=「東」=「青龍」等となり、講師の方の先輩か誰かが、お子さんに「青」という漢字の名前をつけ、「はる」と読ませるとのこと。「はるくん」ですね。(五行思想に詳しい人しか読めないでしょうけど。)
他にも、「二五」と書いて「とお」と読ませたり、「八十一」と書いて「くく」と読ませるように、九九が用いられた表記もあるとか。
えっ九九ってそんな前からあったの
と思ったのは、私だけでしょうか。
「神楽」と書いて「ささ」と読ませるのは、お神楽のはやし言葉から来ているそうです。
ただお話を聞いていると、「へぇ~、面白ーい」で済みますが、最初に解読した人は大変だったことでしょう。
歴史的な面から見ると、和歌は日本の近代化のため、推古天皇の御世に、国を挙げて推進された「新しい文化」とのこと。
「新時代の宮廷文化にふさわしいもの」という位置づけだったようです。
万葉集には雑歌、相聞、挽歌という三つのジャンルがあり、(三大部立)雑歌は「公の場で披露された歌」なのに対し、古今集の雑歌は、「その他の歌」という意味だったとか。
混同しやすいですね。
万葉集の最初の雑歌として載っているのは、天皇が土地の娘に「名前を教えて」と話しかけている歌だそうです。
「籠もよ み籠もち ふくしもよ みぶくし持ち この岡に……」
この歌は私も読んだことがありますが、(習ったこともあったかも)これがプロポーズの歌だとは、初めて聞いたような……
名前というのは、その人そのものを表す大変重要なものと考えられていたそうで、「本名を明かす」というのは結婚を意味するとのこと。
自分の本当の名は、やすやすと人に教えてはいけないものだったのですね。
世界中に同じような思想があり、エジプトの太陽神ラーが、同じくエジプト神のイシスに本名を教えてしまったために、能力を全て奪われたというお話も興味深く聞きました。
その前に、スサノオノミコトが出雲に来た時に詠んだ歌も解説していただいており、先日の旅行と重なりました。
出雲大社でスサノオノミコトが祭られている素鵞社(そがのやしろ)にもお参りしましたし、その前日に訪れた砂の美術館でエジプト神の砂像も見たので、なんか不思議なつながり~と、独りで喜んでいました。
講師の先生は、「資料を盛りだくさんにしてしまったので、時間内に終わらないかも……」と言っていましたが、終了5分前にちゃんと終わり、さすが~と思いました。
旅行前に面倒くさがっていたわりには、とても楽しい時間を過ごせたので、次回も楽しみです。