ロータリースイッチを使うと簡易的な切替え装置を製作できたりします。
ここでは使うためのヒントになるような簡単な解説をしたいと思います。
手元に安価なものでよいのでロータリースイッチがあるとよいと思います。
中身が見えるものにしてくださいね。
1.まずロータリースイッチとは?
文字通りに「ロータリー(回転)させて、スイッチするもの」を言います。
形は以下の写真のように様々なものがあります。
形状は”使える電流量”や後で解説する”切り替え方式”などによって異なりますが、
基本構造は同じですので悩む必要はありません。 (・・・悩んだら負けです)
2.基本構造
以下の図を見てください。
基本構造
簡単に言いますと、「コンタクト」、「接点」、「COM接点」、、、これだけです。
その他は回転時にカチカチとするメカが付いています。これはステップ機構といい、
一定の角度で回転させることと、触れただけでずれないようにするための意味を
もっています。
ロータリースイッチは回転させてステップ機構で決められた角度ずつ
コンタクトを動かします。
COM接点は常にコンタクトと接触しており、
接点のうちのいづれかと、COM接点をつなげるという動作をします。
3.使うときに必要なスペック
接点数・・・「接点」の数が1回路につき何個かという意味です。
いくつのソースを切り換えたいかで買う時に考えるところです。
回路数・・・「コンタクト」、「接点」、「COM接点」のセットが1回路です。
このセットが何個あるかという意味です。
2回路4接点のロータリースイッチの端子配列
段数・・・回路数を増やすために、接点が付いている基板を増やす場合があります。
基板は塔のように重ねていきます。これが段数となります。
「複数の接点」が10数個など多い場合は段数=回路数となります。
数個など少ない場合は1段で2回路も可能ですし、
あえて2段にする場合もあります。
このような指定は配線方向まで想定できるようになると、こだわったりします。
(・・・配線するリード線の方向を一定に出来る手法であります)
切り替え角度(ステップ角度)・・・接点1個切り替わるときに必要な回転角度です。
15度、30度が一般的ですね。
(・・・カスタムでもこの部分はなかなか変えられません)
定格(最大定格)・・・どれだけの電気が扱える接点かという指針です。
金属接点だからとオーバーな電気をかけると
壊れますのでお気をつけください。
携帯音楽プレイヤーの音声信号や数個のLEDを光らせる
程度なら、あまり気にしなくてもよいですが、
定格の低いカーボン接点のロータリースイッチも
ありますので確認は必要です。
4.切り替え方式
切り替え方式には2通りあり、導入する回路により選択します。
選択を間違うと回路を壊す恐れもありますので重要です。 (・・・ここテストに出ます)
継続(ショーティング)
接点を切り換えするときに、現在の接点と次の接点がコンタクトによって
つながる(ショートする)方式です。
断続(ノンショーティング)
接点を切り換えするときに、コンタクトが現在の接点、次の接点両方ともに
つながらない(オープンになる)方式です。
実際には接点の幅は変更できません。
断続の中間状態でコンタクトが脱落してしまう為です。
その為以下のように補助端子を置き、ショート処理を施すかによって仕様を分けます。
(・・・ね、簡単でしょう?)
5.工作 ~LEDを光らせてみよう~
ここでは1回路4接点のロータリースイッチを使用します。
以下のように繋げてみます、回路図もつけますので参考にしてください。
継続切換方式のロータリスイッチを使用した場合
切り替える瞬間、2つ光る状態になるのが確認できると思います。
断続切換方式のロータリースイッチを使用した場合
切り替える瞬間、LEDが光らない状態になるのが確認できると思います。
(・・・必要な抵抗値の計算法はグーグル先生に聞きましょう)
6.工作 ~オーディオセレクター~
セレクターは複数の音楽ソースからどれかを選択する機械のことです。
テレビのチャンネルみたいなものを機械的に行うものだと思ってください。
ここでは2回路4接点のロータリースイッチを使用します。
LとRの信号があるステレオですから、ロータリースイッチは2回路のものが必要で、
LとRそれぞれ別の回路で切り換えることになります。
回路は以下の通りです。図では4入力1出力を紹介していますが、
入力数(接点数)はお好きな数量で構いません。
ここでの注意は、「断続切換方式」のロータリースイッチを使用することです。
継続切換ですと切り替え時に入力どうしがショートしてしまいます。
入力する機器にはよい事ではないので避けたほうが無難です。
GNDも切り替える場合は、ロータリースイッチを3回路(LRのGND共通)や
4回路(LRのGNDを別々)にして製作します。
この回路は逆方向で考えると1つの入力を4方向に振り分ける機械としても使えます。
1台のCDプレイヤーの音をいろいろなアンプで鳴らしてみるなど出来ますね。
(・・・ケースに入れる場合はまとめたGNDをケースの金属部分につなげるとよいでしょう)