おそらく小学校の卒業文集に

将来の夢は?という質問があり

その答えがお金持ちだった



これという夢など

思い浮かばなかったものだから

当たり障りのない答えを

ただ穴埋めに書いただけだ



しかし言葉とは

心の中では

別の意味を含んでいる事など

お構い無しに

夢と言えばお金持ちと

あの時にインプットしてしまったようで

4度目の干支を通り過ぎた今でも

叶えるべき夢があるとすれば

その一択しか浮かばない



夢を追いかけるなんて

一度たりともした事が無い



想像はしても

完結する前に別のジャンルへ移り

忘れた頃にまた同じ想像を繰り返す

その中の世界ですら

お金を手にしたら何がしたいという

明確な目的は無く

ひとまず生活費を稼ぐ為の

仕事を辞めるだけ



しかし

コミュニケーション社会から

アプリケーション社会へと

移行してからというもの

考えもしなかった事態が続き

人口減少も相まって

職場を失っても仕事に有りつけない事は

これから先には起こりそうも無く



それどころか

ベーシックインカムなどが

社会実装されたり

そもそも年齢的に老後の年金生活さえ

現実味を帯びて来たからなのか

あまりお金の心配をしなくなり



あんな夢など叶えなくても

充分豊かな生活が出来ているからと

忘れていたし

思い出した時には

もう叶えているとさえ感じた



二十代の頃なら

来月の一ヶ月間を暮らせる金額が

給料日に振り込まれるのかと

ビクビクしながら

ATMの画面を見ていたのだから

それに比べると

この現実を夢のように思い



それ以上の暮らしなど

要らないとすら思っていた



そして時代はさらに進み

年収300万円に満たなくても

何故かクレカ会社からの

貸付けの上限額は100万円



そんな金額必要無いしと思っても

クレカ払いをするとポイントが貰えて

生活費を支払うだけで

ひと月数千ポイントにはなるからと

使い始めたら



今度は資産運用を勧められ

言われるがままに

貰ったポイントで株を買い

放って置くだけで数万円増えている



こうなるともう疑いの余地は無い

すでにお金持ちにはなってしまった



総資産400万円弱

いやいやいや無いに等しい

たしかにそう思う



けれどもその反面

二十代の頃なら貯金はおろか

生活費が足りない金額しか

振り込まれなかった時すらあったのだから

蓄えがあるというだけで

信じられない程の

安心感を抱いてしまい



馬鹿丸出しで

もうお金は充分だと思っていた



年明けは出勤日数が少なくて

ひと月の生活費に満たない

そんな金額しか振り込まれなくなるのが

事前に分かるのだから対応すれば良い

けれどもしない

それでも何もしかなったのは

年末のボーナスのおかげ



その10万円を使わずに

年明け3ヶ月間の赤字の補填に取って置く

貯金の原型はあそこだったと思う



その数万円を両親に

借りるという選択肢は無かった

時間があるのだから

別のバイトをしても良かった

けれど赤字の補填は出来るからと

正月休みは3ヶ月取ると決めていた



預金口座が三桁になる頃には

不思議と毎年出勤日数が増えて

ひと月暮らせるようになるのだから

そういうものだと慣れてしまい

取って置けば良いものを

夏のボーナスは2、3日で使い果たし

宵越しの銭は持たねぇとばかりに

毎月預金口座は

きっちりと三桁になった



今思えば恐ろしく

なぜあの日々を数年間もの間

乗り越えられたのか分からない



あの頃は本当に

お金を嫌っていたのかもしれない

お金とは

おそらく人の心を映す鏡で

他者の為に何かをするとお金が貰える

けれどそれはやりたい事では無い



生活もままならない頃は

一円でも多く貰う為に残業し

その決断をする度に絶望したけれど

望みが無くても腹は減るし

冬の寒さからも

身を守らなければならないからと

心を捨て続けていた



お金は人の心を写す

馬鹿にして来る人なら足元を見て

金額を安く決められてしまう

友達価格を他の人より安くしろと言う人とは

友達にはなりたくない

友達なら他の人より高く払いたいから



けれどもそんな人はいないし

個人的にもだから友人は作らない



人はお金を持って来るけれど

お金は人の心を余す事なく写しては

いつも嫌な気持ちにさせる



どケチなコミュ症は

いつも孤独に逃げ込み

社会という現象で人を感じるくらいが

ちょうど良くて

それ以上を求めなかった



様々な有名人の

発信する写真や動画を見ると

たくさんの人達に囲まれて

お金を持つとあぁなるのかと思い

だったらこのままが良い



だからこそ幸せなんだけれど

再近不意に気づいてしまった事がある

信じられないくらいの資産を築くと

この目の前の日常から

人を消す事が出来るという事実



公共交通機関から

タクシーや専用車に変える

およそやる気の無い管理会社に

あれこれ頼むと時間が掛かり

面倒なのが高級マンションなら

コンシェルジュに伝えるだけで済む



スポーツクラブだって

自分専用の施設を建てれば

どんな奇声を上げても構いやしないし

サウナも常に一人きりで整えられる

何より人に会わなくて済むのが堪らない



貧乏根性の金銭感覚では

お金は人と面倒を連れて来たけれど

突き抜けたお金持ちになると

人に会わなくて済むのは

それを目指す目的になり得る



あらゆるリスクを

お金で解決出来るという安心感も良い



お金で手に入らない

数少ないものとはおよそ人の心なのだから

それを望まない者からすると

すべてが手に入るという事になる



目的が明確になった今

これまでそれなりに

あらゆる願いを叶えて来たけれど

ここに来て小学生の時に願った

あの夢を叶える時が

とうとう来たのだろうかと思い込み



これまで願えば叶う法則に則ると

このタイミングで自覚出来たという事は

そろそろ叶う頃合いなのかもしれない

そう思うと何だかその内に

大金が転がり込んで来そうに思えて

予め貧乏性を卒業する

宣言をしておこうと思い立ち記す