教室の最後列とは

ある意味ステータス

そこに座る事が格好良いと

本気で思っていたあの頃



清掃員などしていると

一箇所に座っている事自体が窮屈で

今思えばあんなステータスは

何の役にも立たないと知り

無駄な事に拘るのも

幼さの特権なのだと可笑しくなる



酪農家の次男という

環境で育つと

時代背景も相まって

小学校も高学年になる頃には

自宅の私有地で明るい内に

盗む必要も無くバイクを乗り回し



コンバインを改造した

荷車を運転しながら作業をし

親に散々公道には出るなと

口を酸っぱくして言われ続け

飽きるほど自動的走る車を

乗り回した結果



思春期を迎える頃には

もうバイクにも車にも飽きて

むしろ事故を起こすと面倒になる

公道であえて運転したいとは

思わなくなっていた



高校卒業間近

クラスの殆どが

自学に通う姿を横目に

ぽや〜ンと卒業して

流石に車の免許も無ければ

仕事も見つからいからと

両親に半ば強引に自学へと通わされ

3度目でようやく取得したけれど



かもしれない運転の

面倒臭さが鬱陶しいからと

そのままペーパードライバーとなり

両親を裏切り続け



若さを失い

流石に自立を考え始め

仕事で運転を始めてからも

煩わしくて仕方なくて



いつもこの煩わしさから

抜け出すのを目標へ設定してしまい

職場を転々とする始末で

真冬の高速道路で

単独事故を起こしたのがトドメ



自分のドライビング能力を

まったく信用出来なくなって

当時の上司に

運転はもうしないと告げたら

激怒されたけれど



私はあなたに

命を預けられますが

あなたの命は重く尊くて

その責任の重さに耐えきれず

預かれませんと言ったら

なぜかちょっと感動していた



あれからもう十年ほど

運転はしていないから更新は優良講習

免許を取得してから三十年

今でもかもしれない運転をと

講師が言い続けていた



事故の原因は

うっかりとぼんやりが殆どで

前方不注意が多く

シートベルトをしていないのが

原因で死亡事故になるケースが

後を絶たないと嘆いていた



運転していて

前方不注意って

どういう意味なんだろうかと

思いながら心の中で笑った瞬間 

スマホから着信のライカバージンが

大音量で鳴り響き



講習前に

何度もスマホは音の出ないように

設定確認を促されたのに

この私に電話をかけて来る人など

いないけれど一応セットしたと思ったら

うっかり設定ミスをしていたようで



しかも足元に置いた

カバンの中で鳴っていたものだから

しばらくの間

阿呆の電話が鳴っていると

ぽや〜ンとしていたら

聴き慣れたライカバージンで

一番うしろの誰か

電話鳴ってますよと講師に言われ

全員に振り向かれ恥をかき



こういう奴が

事故を起こすのだろうと

妙に納得してしまった



うっかりスマホの設定を間違え

ぼんやりと講師の話しを聞き流し

着信音で周りに迷惑をかける

こんな人間は

絶対にアクセルを踏んじゃいけないと

改めて思い知らされた優良講習