赤ん坊はもちろん

何も知らずに生まれて来る

だから当然

自分の足の存在すら知らない



彼らにとって

日々の成長過程のどこかで

初めて出会う日が来る



おそらくそれは

腹筋が鍛えられて

手や腕だけを動かしている内に

その先の方に現れる



あれはなんだ?

触りたいという好奇心が

より身体を動かす原動力になり

やがては手で足を触り

その感触を確かめる



その偉業に辿り着くまでに

彼らにとってどれだけの努力を要するのか

そしてその先に目標となる足に辿り着き

その達成感に酔いしれながら

手足の存在の有難さを知る



そんな経験があるからなのか

それから半世紀近くが過ぎようとも

あの努力の感触が心の片隅に残り続け

夏になると裸足で過ごす機会が増えるせいか

今でも手の指と足の指を

がっちりと組み合わせる癖が抜けず

手の指を足の指の間に

気づけば入れて遊んでいる



スマホを見ながら

本を読みながら

夏になるとこの感触を

味わいたくなるのか

リクライニングチェアの上で

右手と左足

左手と右足とを組み替えながら

足の親指のタコを

さすりながら何度も繰り返す



その手で顔を触るのだから

汚いのは当たり前

トイレに行った後で

手は洗っても足は洗わないのだから

ホントは顔も触りなさんなと

思いはしても関係ない



ただねたまに

レーズンバターロールを

口へ運ぶ反対の手を

足の指と組みながらパンを頬ばり

一つ食べ終わると

無意識に今度は反対の手で

パンを口へと運んで



飲み込んだ後に気がついて

うわッてなる時に感じる

あの懐かしさといったらもうね

変わらんなぁって思う