制約の無い環境では

自身の本質には決して辿り着けないと

誰かが言っていたのを思い出し

どんな制約が自らの人生を

豊かにするだろうかと考えてみる



これまでの人生に

どんな制約があっだろうか



生きている事は除外出来るのか

それは前提であって制約とは言わないのか



幼さや無力感

全力を振り絞っての敗北



遠い記憶の糸を

何度切っても切れない煩わしさ



こう考えてみると 

生きている事は前提では無く

現実だった事に気づき

思い出す度に思い浮かぶ

数々の出来事や空想が

毛穴の一つ一つから出た糸を伝い

はぐれた凧に

引かれている感覚に陥る



揺れる水面に 

光が当たり乱反射をして

一つ一つの想いを捉えられずに

散り散りになってしまう



すべての体験の集大成が

現実なのだから確実に心身の中に

隠れ潜んでいるはずなのだが

なかなかその一つ一つを

個別に捉える事は難しい



たとえば時限的という

思考への制約を作るとどうだろうか



1歳や2歳と

年毎に起きた事実を書き出してみると

案外と楽しくもあり

物心つく前の出来事などは

親に聞くほうが早いのだけれど

それが気楽に出来ないという

制約をようやく実感した



愛する事が当たり前

それ以外に選択肢を与えられなかった



たとえば家族観

小学校の教師には家族に対して

感謝を強要される

もちろん多くの生徒達は

家族を愛しているのだから

そんな洗脳を拒絶はしないけれど

実は愛せていない場合は辛い



愛を知らない子供に

愛しているのかと問うても

自分の中のどの感覚が

家族に対する愛なのかが分からず

そんなものは無いと言うと

怒られるから仕方なく

愛していると嘘をついた時の

罪悪感は今もこの胸中に眠り続け



一人暮らしにも

働くという事にも慣れて

不意に遠い記憶の中の

その問いに改めて答えてみると

愛しているどころか 

恨みつらみがこみ上げて来て

あの日の嘘の

罪悪感の意味を知った



分からない事を

分かっているフリをした後悔では無く

愛していないどころか嫌いだった

その本音に嘘をついた事への

自身への罪悪感だった



洗脳という制約は

確かに大きいのかもしれない



教育洗脳や常識洗脳

周りの雰囲気を読みながら

答える感覚

あまりにも逸脱すると

笑われたり怒られたりと

あまり良い気持ちにはならないからと

誰かの言った言葉を真似する癖も

自身の感覚を狂わせた制約



一服すると訪れる

すべてを受け容れられる感覚になって

無敵になれると知りながら

禁煙や金銭的な制約に縛られた時は

自ら逃げ出してしまった



煙で肺を満たしてから

一気に吐き出す時の快感が

すべての苦行を齎した



喫煙とは

右に行こうとしているのに 

左に行くようなもの

酒席の口約束のような感覚で

理不尽を受け容れていたものだと

喫煙場所が減る度に訪れる

焦燥感が教えてくれた



百害あって一理も無いからと

一念発起して禁煙を始めてみると

身体が軽くなり

ある朝突然走り出した

思い返すと煙の齎す刺激を

肺が求めていたのかもしれない



喫煙という制約から

解放された肺が代わりを求め

早朝ジョギングに駆り立てられ

運動する気持ち良さを知り 

筋トレを始め

スポーツクラブに通うと

サウナに出会い

運動そっちのけで通い続けて

新たな居場所が出来た



実感を通して

制約というテーマを考えると

たしかに無いよりはあった方が

前進する力をより強く感じ



肯定も否定も実感し易くなり

良くも悪しくも変化へのきっかけには

なるのかもしれない




残り少なくなった

歯磨き粉を絞り出すように

いつかのときめきを再開させ

糸を引いてまだ気持ちの凧糸が

繋がっているのかを確認して

感度を上げてみる



まだ上昇の余地があるなら

とりあえず新しいチューブを買う感じで

新しい歯磨き粉へ変えてみる

それを成長と言うのなら 

買い替えるという

制約のある環境で無ければ

そんな発想には出会えないのだから

たしかにあったほうが良い