誰かを好きになるとは
その相手を喜ばせたいと思う事らしく
そんな事半世紀近く生きても
思った事が無いのだかから
おそらく今後も
好きになれる事は無いだろう
そんな愛の無い存在でも
こうして生きていられるのだから
現実社会とはチョロいもので
愛が無ければ
感謝も出来やしないから
誰かの物語を拝借して
形だけでも
何とか恩を返したい
しかし誰かを思い浮かべると
中身の無い感謝の輪郭すら崩れて
形而上にすら伝えられない
困ったものだと
我ながら人で無し過ぎて笑える
人生を振り返ると
確実に助けられた場面は多々あって
ただその相手の事が好きでは無い
それどころか別の出来事で
恨みつらみが無意識に
感謝の念を打ち消してしまう
人の形をされたら
心が落ち着かなくなる
どうすれば
感謝を形に出来るだろうかと
考えに考えた結果
ヒーロー戦隊の
合体ロボに行き着いた
二十歳の選択が齎した
老後の年金生活の消失を
社会のセーフティネット拡大によって
救われた事を思うと
社会という人の心の集合体を
合体ロボットに見立てると
上手く形を崩さずに
感謝をしているフリが出来た
後はそこへ
恩を返すだけ
しかし何も持たず
何の能力も持ち合わせない者が
社会という大きな器に
何を提供出来るだろうか
そんな事を考えながら
あらゆる動画配信を観ていたら
不意に思いついた
こんななんの役にも立ちそうにもない
くだらない動画を観ながら
クスリと笑っている自分がいるのなら
どんなに役に立ちそうに無い存在の
グダグダな心の内側をさらけ出すという
その個人にしか分からない
その緊張感と毎日向き合い
何かを発信するのはどうか
個では役に立たなくとも
誰かが何かと混ぜ合わせて
何かしら役に立つ何かを
生み出してくれるかもしれない
戦隊ヒーローも
色によって役割が違うように
無色透明な存在にも
何かしらの行動を加えると
限りなく透明に近くても無色ではない
何かしらの色がつくかもしれない
自分自身の体験に
価値などあっても無くても構わないが
どちらにしても
その体験の一つ一つが
今の自分自身を形作っているのだから
なぜそんな人生を送っているのか
その答えなど持たずとも
思うがままに
書き記すだけで
誰かの何かを生むきっかけに
なるかもしれない
白と黒2色の影絵に
色をつけるように言葉を綴る
読み手によって変わる
万華鏡のような色彩が
その人の感覚を刺激して
後の世の中に有意義な何かを
生み出すかもしれない
誰かを好きになる事が
どういう事なのかは分からない
おそらく愛せもしないだろうから
感謝など出来る訳も無い
だからせめて
その真似事を試し続ける事で
恩返し気分を味わいたいという
ただのわがままかもしれない