出勤途中の地下鉄で

いつも一緒の車両に乗り

降りる駅も同じ人が

駅の連絡通路を歩いている

その後ろ姿を

見ながら歩くのが日課



異性だから

ストーカーと間違われないように

少し離れて歩いている



特別な感情などは無く

いつも同じ車両で乗り合わせ

降りる駅とそこから連絡通路を通る

道程も同じだから

何となしに覚えてしまっただけ



ただある時

連絡通路の向こうから来る人と

何やらコンタクトを

取っている事に気づき

その一瞬の出来事が不思議で

興味をそそられてしまった



毎日見ていると

その二人は毎回挨拶をする

おはようと声を掛けるでもなく

お互いが近寄って

ハイタッチする訳でもない



手を振る訳でも

会釈をする訳でもない

ただ一瞬見つめ合い

そのまますれ違うだけ



目が悪いから

二人の表情までは分からない

けれども確かに毎日

お互いを認識し合って

何かしらの合図を

送り合っているように見える



どういった関係なのかも

分かりようがないから楽しくて

友人なのか同僚なのか

はたまた家族や親族なのかと

あれこれ考えるのが

日課になってしまったが



連絡通路を抜けて

その人は反対側へと歩いて行き

視界から消えると自然に

その事を考えるのを忘れてしまう



不意に思い出して

こうして書き出してみると

すべてが夢のようで

記憶なのか妄想なのかもあやふやで

日常とは不思議な出来事で溢れているのか

頭の中がおかしいのか分からなくて

これがまた可笑しくて堪らない



退屈というのは

いつも不意に娯楽を作り出す