自分の将来に

初めて不安を抱いたのは

小学校の卒業間近

卒業文集の将来の夢という

お題の答えに窮した時



学校帰りの道のりで

まともに働いている自分を想像出来ずに

これからどうなってしまうのかと

恐れ慄いた時に見ていた景色は

今でも瞼の裏へと焼き付いたまま



その景色の向こうには

卒業後から通う中学校があった



学校が好きでは無い事を

自覚しないまま高校を卒業して

専門学校は半年も保たずに退学し

それ以来ずっとフリーター

確かにあの日心配した通り

まともな人生は送れていないのだから

我ながら先見の明はあった



いやだったら対応しろよ



まぁそうは言っても

自覚は無いから対応と言われても

あの当時にこれまでの半生が分かっていても

おそらく自分に努力を促す

上手い口説き文句が見つからずに

ズルズル現実に溺れたに違いない



間違って脅したものなら

殺意を向けられてしまうくらいに

人に対して親近感は無く

嫌味や嫌がらせなどされると

途端に攻撃されたと認定し

まず最初に殺意が浮かび

殺してしまえば殺人犯となり  

自由を失うからと

逃げ出すような性格



対人恐怖症とは

他人に親近感を抱けない病だから

たとえ家族とはいえ

軽口を叩くような嫌味だとしても

一生忘れはしないのがこの性格



だからこそ自身とはいえ

扱いを間違えると

一生物の呪となって自分自身を全否定

もう二度と顔も見たくないと

なってしまう可能性もあったのだから

流れに身を委ねただけ



むしろあの時に感じた恐怖からすると

良い方へと転がっているとさえ思えて来る



この心の中の怪物を

上手く手懐けなければ

この社会では

生き残れなかった



当たり前の親近感から

ちょっとした嫌味のつもりでも

罹患者にしてみれば 

殺されるかもしれない攻撃とみなして

純粋に生き残る為に殺意を向ける



殺人のニュースや

それを扱ったストーリーの

映画やドラマがストッパーとなり

殺人犯として追われるくらいなら

嫌いなものから逃げ出した方が

ローリスクで済むからと

自身の異常性からは逃れられないと

悟りを開いた辺りから

逃亡癖が板につき今に至り



不惑のフリーターとしては

案外と上手くやってると自身を高評価



振り返れば幼いあの頃の方が

この惨めったらしい半生よりも

息苦しかったのだから

目の前のアプリ社会では

もうあれほど強烈な出来事には

おそらく巻き込まれやしない



シックスセンス的な

研ぎ澄まされた嫌な事センサーが

これまでのろくでもない人生体験から齎される

嫌な予感を放っては置けずに自覚する前から

いつも逃げ道を探しているのだから

おそらく殺意を実行する前に

ウィンカーを立ててハンドルは切れる



この能力を卒業間近のあの日

無意識の中に感じて不安に陥り

将来に絶望を抱いたけれど

通り過ぎてみると感覚が変わり

不安とは始まりの象徴のように感じて

それを楽しむ方法は無いものかと

考えている自分が面白い