女性のサウナ室の事は

分からないけれど

男性のサウナ室ではなぜかいつも

戦いが繰り広げられている



なんの事は無い

勝手にターゲットを決めて

その人よりも遅く出るという

そんな不毛な戦い



男のとりわけ中高年の

サウナとは整う爽快感とは違う

勝つという達成感を味わう愛好家が

意外と多いから面白いのだ



サウナ室内に

二人きりの状態だと

何となく感じる

早く出ろ馬鹿野郎みたいな

そんな視線を向けられる



いやいや

サウナは一人を楽しむ空間でしょ

なぜ他人に意識が向くのやら

トントこちらには理解出来ない



そういった人を観察すると

一体それは何の苦行なのかと

不思議に思うばかり

なんせ湯船で温めた体を

そのままサウナでまた温めるのだから

そりゃ辛いでしょうよと思う



そんな苦悶の表情で

こちらよりも後にサウナ室を出るという

なんとも不思議な目標を設定して

早く出ろ馬鹿野郎的な視線を向けられても

いやこちらにはこちらの

ペースがありますからと言い訳を

思い浮かべるしかない



確かに昭和世代の

モーレツサラリーマンみたいな

そんな中高年はその負けん気を武器に

世の中の荒波を

超えて来たのだろうけれども

サウナは闘う場所では無く

整う場所ですよと思いながら先に出て

水風呂で体を冷やしていると



すぐ後から出て来て

狭い水風呂の共有を迫られ

しかも今度は

冷たい水風呂を戦場として

またお前より先には出ないぞという

視線というよりも

視界に捉えられ

襲われるように伝わる圧迫感に苛まれ

だ〜か〜ら〜となる始末



さすがに冷たい水風呂には

耐えきれ無いとみえて先に出られると

一つしかない休憩用の椅子を占領されて

邪魔くさくて仕方が無いからまた厄介でね

モーレツ時代の椅子取りゲームに

今更ながら巻き込まれる始末



男のサウナはその世代の

生き方そのものだと思いながら

自分がまともな人間にはなれないと

改めて気づかせてくれる

そんな熱苦しい戦いの場所なのだ