たとえば突然

部屋を出てすぐ雨が降り出したら

どんな想像をするだろう



天気予報では

そんな事言っていなかったのに

まったくツイてない

ホント公務員ってのは

嘘つきの給料泥棒だと文句の一つも

言う前には止んでしまい



久しぶりに学校へ行こうという

身勝手な学生達の中で味わうこの不幸



雨宿りの軒下から

空を見上げると虹が出てきて

アッてなって嬉しくなり

一緒に雨宿りをしていた周りの人達と

なんとなくの一体感に救われて



そこに素敵な異性が

濡れた髪をハンカチで拭きながら

微笑むその姿にうっとり見惚れてしまい

ラブストーリーがチャカちゃーんと

突然に始まるかもしれない



五十年後の君を

今と変わらず愛している

そんなどこかで聞き齧った

素敵な口車に乗せて

プロボーズをしたりして



実際に金婚式を祝う会を

孫達が企画して

盛大とは言えないまでも

ひ孫の顔を覗き込みながら

その雨の日を思い返し



あの日あの時あの場所で

君に出逢っていなかったら

この満ち足りた

幸福には辿り着けなかったと

思うかもしれない



そんなラブコメ妄想をした

思春期の思い出も今は遠いむかし

それでも諦めず

いつか出逢うその時を夢に見て

遠い街のどこかで

迷いながらの雨宿り


How’re you doing guys?

なんて口ずさみながら

今日もぶちかましてやろうと

雨上がりの街へと

それぞれの行先へと走り出す