鬼は滅せても
人が滅んでは誰も居なくなってしまう
そう考えると少子化問題に
解決策を練らなければならない
しかし氷河期世代は
身も心も凍らせて
自決の刃を自らの喉元に突きつける
そうかと思いきや
ゆとり世代くらいになると
案外と賃上げの勢いで
若い女性と結婚して
子供を授かっていたりする
そんな中年男性も居たりして
やはり環境が整えば
結婚をして子供を育てたいと
願う人達は一定数存在し
女性なら出産を諦める瀬戸際で
どうしても諦め切れない
そんな人もいるのかもしれない
極端に言えば子種さえ貰えれば
結婚すら必要としないかもしれない
子育てのイメージと言えば
若い夫婦が交代で育児を担当しながら
共に仕事も抱えて
けれどもそこに田舎で暮らす
両親の助けは
おそらく期待は出来ないから
出産後の数週間なら
協力してくれるかもしれないが
それ以上となると
慣れない都会暮らしに嫌気が差して
帰りたくなってしまうだろう
この人手不足の世の中
子供を生み育てられるほどの
有能な人達なら
職場でも片手間では仕事が出来ない
そんな立場に取り立てられる
職場とは常に
職務を押し付けられる人を求めているから
子育てで培われた面倒見の良さに付け込まれ
頼まれると断れなさそうな人に
残業代という割増賃金を餌にして
何でも押し付けて来る
家では家族に頼られ
職場でも同僚に頼られる
そこを上手く調整出来る程の
切れ者ならおそらく
子育てをする環境を整えているはずで
家族の協力や自治体の補助など
調べる事はいくらでも出来るのだから
有能なら当たり前に
あらゆるリスクヘッジを施して
出産後の子育てに向き合う準備を
抜かりなく行うに違いない
しかしそれほどの有能な人は
この世の中にどれくらいいるのだろうか
高偏差値の大学のように
選抜された有能人等ではなく
ただ子供を生み育てたいだけの
その人達にどれくらいの能力があるだろう
失われた数十年後の現在
一般家庭と呼ばれる家庭はどれほどだろうか
共働きの家庭は一般的なのだろうか
パートのまま何かしらの
役職を与えられた主婦へ求められる
その責任はどれくらいで
その責任を果たしながら子育てを
充実させる能力を持ち合わせている人は
どれくらいいるのだろうか
賃上げの勢いで
暮らしにゆとりが持てた中年男性が
経営者などならまだ良いけれど
非正規が正規になって
賞与などが支給されるようになったくらいの
中年男性が子種を貰えるならと
妥協を重ねた瀬戸際女性と結婚して
幸せになれるのだろうか
若い女性と結婚して
その家庭を維持し続けて行けるだろうか
社内恋愛からの
結婚をして子供を授かり
精神的に不安定な
奥さんに寄り添い過ぎて
仕事が手につかなくなった同僚が
知らない内に退職していた
元から仕事が出来た訳じゃない
それでも非正規から正規社員になれたのは
上司に従順だったからだ
社内の懇親会で知り合った
同僚女性と付き合い始め
結婚を考えていると上司に話し
さらにその上の役職者へと
実力以上の人事評価を報告し
見事に正社員となりはした
けれども職務に見合う
経験も実績もないままに
結婚をするならと
役職付きで正規社員に抜擢され
あちこちからクレームの嵐
あながちその本人だけが
悪い訳でも無くて
無変動時代の成功者たる
中小企業の重役とは
実務能力よりもコミュ力で
その地位についた強者だから
およそルールなど
端から守るつもりなど無く
前例踏襲を貫き通して来ただけの
人達だから
年齢の割に幼いゆとり世代には
常識の過渡期を乗り越える事が出来ずに
退職に追い込まれてしまった
要するに失態の責任を押し付けられて
自ら退職するように促され
素直に受け容れて辞めたらしい
数カ月前に
子供が生まれたばかりだったのに
そんな上司や同僚を
嫌という程見て来て思うのは
出来ない事を出来る風に見せるという
そのテクニックというのか
ただ単にハッタリで乗り切れと
重役達に言われるのだ
会議の席で
ただノートパソコンを開いているだけの
人などは要注意
見た目を彩るアイテムとしてしか
そのデジタルブックを
活用していないのだから
事の始まりは
懇親会と言われる社内の飲み会
そこで纏まりそうなカップルを作り
付き合うように促し
結婚でもするなら正社員登用するなどと
重役達に二人揃って言われ
本人達が付き合うと決めるよりも
周りが付き合わなければならない雰囲気を
常に職場で作り続けると
適齢期を過ぎた非正規同士なら
その流れに乗ってしまう
そして大々的に
オメデタを社内に広めて
同時に正規雇用にするなどと
社長が発表しようものなら
その場も盛り上がり
その噂を聞きつけた他の非正規達も
色めき立って忘年会などに参加し
また同じ道を辿る
そんなネズミの嫁入りを
何度と無く見ては
挙句の果てに
生まれたての赤ん坊を抱えて
退職して行く人達は
その後どうなったのだろう
積み重ねて来たものが無いまま
半ば詐欺行為のような指示に従い
何も考える事も無く
役職を与えられたのだから
苦労するのは目に見えている
重役達もそれは分かった上で
繰り返しているのだが
結婚して子供が生まれたら
簡単には辞められないだろうと
高を括っていると
案外と呆気なく辞めて行く
どっちもどっちだけれど
誰も幸せにはならない
その自滅の刃を
いつになったらこの末端社会は
手放せるだろうか