自転車を漕ぎながら

向かい風に立ち向かう

そんな時に見る

すれ違う自転車乗りの

笑顔には腹が立つ



追い風に背中を押されて

気持ち良さそうに

走るその姿が羨ましくて

嫉妬してしまう



ただその後ろを歩く

女性のスカートをふわりと煽る

そんな悪戯なつむじ風には

ありがとうってなる始末



それに比べて

街中の気まぐれなビル風は

行き交う人々に平等だ



交差点ごとに

風向きは変わり



赤青黄色の信号のように

行き急ぐ気持ちを止められたり

背中を押されたり

どっちつかずの点滅みたいに

秋の風はいつも忙しない