欲求が抑えられないから

何かを強制されたくもないし

された人は忘れない


誰かと一緒にいて

嫌な気持ちにされるくらいなら

一人で過ごしたほうが

気持ちよく過ごせるから

好きなんだろうと思う


親という環境の影響も強くて

たとえば何かで怒られると

母親などは数日

口も聞いてくれなかった


話し掛けて

無視されると嫌な気持ちになるから

機嫌が悪い時とか

こちらが何かをしでかして

怒られてしまった時は

自然と話し掛けるのを止めた


その習慣に慣れた頃

向こうから話し掛けて来るから

待てば良いと気づいてからは

そもそも話しかけなければ

嫌な思いはしなくて良いと思い

用事もなければ

こちらから話しかけないように

心掛けていたら

それに慣れてしまって

今に至っている


まだ幼かったため

自分の特徴すら自覚が無かったけれど

家の中で黙って過ごすと

揉め事が起きないという現象が続いたから

そうすれば落ち着いて過ごせると思って

極力家族達とは話をしなかった


兄が中学生だった3年間

父親と母親と三人でよく喧嘩していた


まるでドラマのような

取っ組み合いをあの狭い居間で繰り広げ

きっかけは何だったのかは

覚えていないけれど

喧嘩の始まる予兆の雰囲気を感じると

とりあえずトイレに避難していた


しばらくすると

怒鳴り声と共にドタバタと

激しい攻撃の応酬が聞こえ始め

どんな感じなのか

ちょっと様子を伺いながら 

そんなに嫌いなら

別々に暮らせば良いものをと思いながら

とばっちりがこちらに来ないように

気をつけながら観戦していた


人間関係が面倒なものであると

思い込んだのはこの時だろう


とにかく家族の仲が悪かった

祖父母と両親が仲違いして別居して

これで落ち着くかと思いきや

今度は兄が暴れ出し

両親と喧嘩を繰り返す


あんなに殴り合うなら

祖父母と暮らしていた家の方が

よっぽど広い家なのだから

闘いやすかっただろうに

わざわざ狭い公営住宅へ引っ越して

取っ組み合うのだから

他人の気持ちは分からない


小学校五年生になるまでは

家族の中でいつも揉めていた

そして彼らは手を出してしまうから

余計にいがみ合う事になって

取り返しが効かなくなる


祖父母と両親は

結局仲良くなること無く

上の世代は死んだ

しかしあれだけ罵り合っても

葬式はするのだから

その心理もよく分からない


兄と両親は

孫が生まれてからは

毎年帰って来ては

それなりに仲良くやっていた

あんなに殺してやると

叫び合っていてもこうなるのは

どういう心理なのか分からず

今に至っている


案外と殴り合うと

仲良くなるのか 

その家族から距離を置いているのは

自分一人で他の家族は

それなりに繋がりはあるようだが

あの光景を見て

彼らと普通に触れ合う度量は

私には無かった


おそらくあの体験が無くても

1人が好きなんだろう

そもそもの性格に拍車が掛かって

余計に一人で過ごす事が

心地良く感じるようになってしまった


あの環境で暮らせたから

自分の気持ちを抱きしめるという

習慣が生まれ

誰かに頼らずに心を暖める術を

身につけてしまった


幼い子供が

両手を挙げて抱っこをせがむ

あの意志の表明ほど

愛らしい仕草は無いが

そんな気持ちは

物心がつく前に捨ててしまい

未だに探し続けている

そんな気もするがどうなんだろう