紛争の絶えない国に暮らす人々を

どう思うだろうか

目の前に現れた異性と共に暮らし

子を授かり

育てる過程で争いに巻き込まれ

それでも家族の時間は止まりはしない


人生は止まる事を許さない


どんな気持ちなのか

どんな環境なのか状況なのか

悲しみ苦しい毎日を繰り返しても

決して終わらせてはくれない


生まれてしまえば

オートマチックに始まるが

自我が芽生えるまでは

誰かに育てられなければ

今日という奇跡的な日常には

辿り着けない


赤ん坊を育てる行為に

休日はなどありはしない

赤ん坊とは古今東西

何もかも全てを他力に委ねた

無力な存在なのだから

24時間365日

あらゆる環境や状況に置かれた人の

都合などお構い無しに

ただ求め続けて来るのだ


自分はなんと愚かで

何の才能も持ち合わせていないのだと

自身を責められるくらいに

育てられたのなら

それもう奇跡なのだ


なんの変哲もない日常を繰り返し

つまらないだとか

何かと比べて卑屈になり

閉じ籠もっていられるのも

奇跡なのだ

もしもこの場所が紛争地域なら

銃声が響き

誰かが叫び死んで行く


そんな日常の中で生きている人間も

確実にこの世界には存在している事は

学校でも習うし

ニュースを見ても明らかなのに

このつまらない毎日に絶望し

または何者からの攻撃を受けて

自ら死を選ぶ人達も後を絶たない


どんな環境でも状況でも

幸福感を持つ事も出来るし

不幸感に苦しむ事も出来る

どちらを選ぶのかは

それぞれの自由なのだ


苦しみとは日常的で

いつも影のように付き纏い

その重さは紛争地域に暮らす人々も

平和な社会で暮らす人々にも

平等に与えられている


互いの苦しみなど

体験してみなければ判りようも無いのだから

他人の言葉などは信用に値しない

それはその人の意見であり推測に過ぎないのだから

無条件に受け容れる必要などはない


ただ覚悟を決める前に

たとえば街へ出て

赤ん坊を連れた誰かを見て欲しい

そして観察して欲しい


赤ん坊とは無力で無能で傲慢な

か弱き存在なのだと知って欲しい


あなたもそんな存在だったのだ

人間は誰しもその過程を過ごし

そして今ここに立っている

誰の助けも受けずに

今というこの瞬間は訪れない


たとえ今は孤独で苦しくて

耐え難い日々を過ごしていたとしても

あなたも赤ん坊の頃

すでに誰かに助けらるという奇跡を

体験しているのだと思いだして欲しい


これまでの軌跡が奇跡なのだから

覚悟を決める事が出来たのなら

その方向性を間違えないで欲しい

救いは必ずあるんだ

たとえ終わりまで訪れなくとも

その奇跡を自ら諦めないで