向こうの方から

外国人が歩いて来る

何やら急いでいるらしい

チラッと右腕の時計に目をやり

「Oh my god」と呟いた

ホントに言うんだと嬉しくなり

その走り去る背中を

ずっと目で追ってしまう


中年小太りの外国人が

慌ててどこかへ走り去る

そんな姿がまるでいつか観た  

映画のワンシーンのように思えて

ちょっと感動してしまう


幼い頃から

たくさんの外国ドラマや映画に触れて

すり込まれたせいなのか

未だに街なかを歩く外国人を見ると

それだけでカッコ良いと思ってしまう


目の前を外国の人が通り過ぎる

そんな当たり前の光景が物語の中へ

迷い込んだかのように感じられて

ゴーグルもしていないのに

ヴァーチャル空間と

見間違ってしまう始末


外国人というのはカッコ良いと

幼い頃にインプットしてしまったから

長髪だろうがツルッとしていようが

マッチョだろうが小太りだろうが

お洒落だろうがちょっとくらい不潔だろうが

男だろうが女だろうが関係なく

みんなカッコ良い


黒人や白人も関係ない

黄色人だってサモ・ハン・キンポーとか

ジャッキーチェンをみて育ったから

それだけでかっこいい

唯一嫌いなのはスイカ頭

来来キョンシーズの彼だけは

似てると馬鹿にされてから

嫌いになってしまった


そもそも初めて好きになった

二次元アイドルだって

リン・ミンメイという外国人だったくらい

私の彼はパイロット以上の

キラキラなアイドル曲はないかもしれないと

今でも思うくらい


テレビでも外国ドラマが

当たり前に放送されていた

アーノルド坊やは人気者

ファミリータイズ

エアーウルフあたりは

幼い頃よく家の手伝いをサボって

怒られる覚悟を決めて

命がけで見るくらい好きだった


映画もよく放送されていた

コナン

コマンドー

プレデター

この戦闘スタイルを真似して遊んでいた


摩天楼はバラ色に

再会の街

などにはただただ憧れた


摩天楼のビルを見上げた場面が

今では現実の目の前に広がり

毎日その光景を見ながら

そのシーンを思い出しながら

「これがニューヨークか」と

主人公の台詞を真似るのが

習慣になってしまった(札幌だけれど)


最近は妄想と現実と

ヴァーチャルと思い出がごちゃ混ぜになって

いつも夢見心地で

仕事の掃除機掛けをするから

楽しくて仕方ない


子供の頃は北国の

田舎暮らしだったから

吹雪になると

ネバーエンディングストーリーを真似る為に

一人で近くの雪山で遭難ごっこをしていた


今思えばなんて不謹慎な

遊びだったのだろうと思うけれど

今も同じ事をして遊んでいる


作業をしながら映る景色に

妄想を重ねてファンタジーな空想に耽る

時に笑いまたある時は泣きながら

ひたすら掃除機を掛けている

そしてふと我に返って恥ずかしくなる


マスクと眼鏡で顔を隠さなければ

変な奴だと通行人に思われるに違いない