世界平和なんてものの原点は

約束を守るということなんだろうけれど

それがなかなか難しい


明日一緒に遊ぼうと約束しても

次の日になるとそんな気分じゃなかったりして

「ごめんなさいそんな気分じゃない」と言うと

相手はどう思うだろうと考えて

仕方なく遊びに出かけるのか

正直に話して運を天に任せるのかは

人それぞれの価値観だろう


その価値観は一人ひとり違うから

常にすり合わせなければならないけれど

そもそも対面という状態が苦手だから

会話すらままならず困り果てていた


そんな罪深い存在に

テクノロジーの先導をもとに

スマホという光の神器を与えられ

文字会話という新しい手法を

手にした事によって対面せずに

相手と会話が出来るようになった

そのおかげで世の中で行われている

価値観のすり合わせという作業に

参加しやすい環境が整った


つまりコミュ障人種にも

社会で羽ばたくチャンスが訪れたのである


思い出して欲しい

教室でイヤホンで耳を塞ぎ

本や漫画を読みながら

誰とも話をせずに

教室の中で与えられた自席の

およそ60センチ四方から

はみ出すことも無く1日を過ごしていた

あのクラスメイト達が

いよいよ声を上げる時が来たのだ


何を言ってもリアクションが薄くて

イマイチ何を考えているのか

分からなかった彼らの思いが

テクノロジーを通して

ついに社会へと放出され始める


それを真似て罵詈雑言を発信し

注目を浴び承認欲求を満たそうという

副作用を齎す者もいるかもしれない

しかし参加者が増える事で

新たな視点からの意見も聞けるという

メリットも大いにあるだろう


対面恐怖症というだけで

何も感じない訳でもなければ

まして人間だもの何かしらの

意見だって持っているに違いない


コミュ障人種だからと言っても

優秀な人材から

アホな馬鹿野郎までいる

それは陽気なリア充民族と

何ら変わりはないから

SNSなどに登場する

コミュ症人種の言葉のすべてが

正しい訳では無い


けれども授業中に

「この問題分かる人手を挙げて」と教師に問われ

なんでわざわざ答えを言うのに

人前で立ち上がり大きな声ではっきりと

みんなに伝わるように答えなければならんのだと

その難問を超えるハードルよりも

はるかに難易度の高い人前で話すという

壁を越えられずに心の中で涙を流すような人材が

その中にいてもおかしくはない 


ましてや人前で黒板に答えを書くなど

精神的拷問など受け容れられる訳がない者の

意見を聞く機会などこれまでにはない

画期的な出来事ではないか


これまでは人前で話せなければ

政治家にもなれなかった

だからコミュ症人達は泣く泣く

程度の低いやる気と愛嬌だけはある

代理人を支援するという方法を

取らざるを得なかった


その代理人が権力を持ち

代議士と持ち上げられるようになると

支援者達の意に背くようになり

いちいち別の代理人を立て直して

国会の議席を取り戻さなければならず

なかなか国の舵取りを

上手く操作させられなかった


しかしとうとう

やって来たのだ我らが時代

直接自分の考えを

テクノロジーという風に乗せて

社会へ拡散できる便利な世の中が

とうとう訪れたのである


これほど画期的な革命が

これまでの歴史であっただろうか

群衆の中に立ち声を上げる

ただそれだけでも命を奪われる


そんな時代もあった過去の教訓から

コミュ障じゃなくても声を上げるなんて

そんな危ないことはお止しなさいと

きっと家族や友人知人にも

止められ続けたに違いないだろう

そんな時代がいよいよ終焉を迎える


日が昇りすべてが白日の下に晒された時

鬼が出るのか蛇が出るか

そんな事分かりはしないが

パンドラの箱のように前向きな何かが

片隅に残る事を願うばかりだ


リア充民族とコミュ障人種が

同じ土俵に上がるという

世紀のコラボレーションが実現すると

その先にどんな未来があるのだろう

AIに管理された社会なのか共存しているのか

それとも人類がさらなる高みへと

進化を遂げる切っ掛けを手にするのか


そんな未来を築く為に

あらゆる有能な人材達が

一つのテーブルを囲みながら

話し合い意見交換をする

本来それは国連の場なのだろうけれど

現実はそう上手くは行かず

軍事力や経済力またはその両方を

持ち合わせた大国に振り回されている


リア充民とコミュ障人種

民主主義と権威主義

民族意識や宗教や言語も違う

暮らしている気候も環境も

もちろん見た目も違えば

気持ちの伝え方も違う


そんな数多の価値観を

共有なんて出来る訳がないのだから

ルールを決めてそれを守るという

統一意識の下に集うしかないはずだから

それぞれが何かしらの

妥協を受け入れる準備をして

話し合いで一つの約束を共有する

それがルールであり妥協点


そのキャンブファイヤーのような

炎の周りを世界中の人達が

それぞれ受け入れられる人達と

手をつなぎダンスを踊る

平和とはそんなイメージだろうか


嫌いな人とは

手を繋がなくても良い

隣近所の知り合いでも良いし

テクノロジーで繋がる顔も知らない

誰かとでも良い


もしくは空にぽっかりと

浮かぶ月を目印にして

人差し指を突き上げるポーズをする

そんな些細なシンクロから

始めてみても良いだろう

そんな画像を共有するだけでも

ある種の一体感が

世界を覆うかもしれない


この惑星には

およそ80億もの価値観があり

顔も見たくないどころか

思い浮かべるだけで嫌な気持ちになる

そんな価値観の違いすら存在するのだから

近しい人達と手を繋ぎ

価値観を数珠のように繋ぎ合わせて

フォークダンスのように

輪になり踊り明かせば

きっと上手く回れるはずなんだ


その為のはじめの一歩は

守れる約束しかしないという事

嘘は疑心暗鬼を生み

噂がそれを大きく育てるあげてしまうと

手に負えなくなるから

みんな笑顔でナイトフィーバーすれば

すべて解決しないだろうか