違和感とか疑問という
ちょっとしたストレスも
常に感じ続けていると
疲れてしまう
それはまるで
喉の奥につかえた
小骨のように
いつも確実に嫌な感触を
与え続ける
子供の頃に
夢や希望や憧れを抱かなかった
それはそういったものが
一般的なものではなくて
もっと現実的で
切実な願いだったからだ
あぁなりないではなくて
元いた場所へ帰りたかった
目の前の現実の
受け容れられない部分は
元の場所へ戻れさえすれば
解決すると思っていた
幼い日々を過ごした
住宅街の中の商店街が
幼な心に愛着があったし
それが失われるなんて
考えもしなかった
人間は付き合う相手が変わると
話す言葉も変わるから
田舎に移住してからの母親は
まるで別人のように感じられた
知っている人は母親だけ
その母親も人が変ってしまったから
知らない場所で知らない人に囲まれ
今日から家族と言われ
一つ屋根の下で暮らしても
なんでここに居なければならないのかという
疑問が常に付きまとっている中で
風邪をひいて苦しかったり
公園で遊べなかったり
思い通りにならない事がすべて
ここにいるからだと思い悩んだ
大人になってからも
5歳の時に養子になったと誰かに言うと
それほど幼ければ感覚的には
ホントの家族と一緒だろうと
決めつけられたけれど
本物を知らないから
その違いにも気づけずに
ただ違和感だけが残ったまま
親世代は高齢になり
そのうちに亡くなるのだろう
その存在が自分にとって
どういった意味があるのか分からないまま
やがて別れの時が来る
会うと嫌悪感があるから
ずっと会わずに逃げている
両親の何気ない会話の一言に
感情が逆なでられて
その激情を抑えるストレスに
耐えきれなくなりそうで
怖くなる
何も恨み言を言いたい訳じゃない
ただ何事もなかったかのように
家族を終わらせたいだけ
子供の頃には見えなかった
家族というトンネルの出口の光が見え始めて
どんどん大きくなっている
両親が亡くなれば
少しは気持ちが軽くなるのだろうか
あの重苦しい家族圧が
消えてなくなるのだろうか