何も無い毎日
そんな振り返りもしない日々が
意外と幸せなのかもしれない
記憶にも残らないのは
嬉しくもなく楽しくもないし
悲しくも悔しくもないから
現実に空白は無いからは
確実にその期間も毎日を過ごしていた
あえてそんな日々を振り返っても
面白くないから振り返らない
今が楽しければ
過去なんて振り返らないし
逆に辛ければ
対策を練るのに忙しくて
振り返れない
そう考えると
思い出を振り返るという時間は
とても贅沢に思えて来る
あの時は楽しかった
あの時は悲しかったとか
始めに出て来るのは
両極端な思い出ばかりで
年齢を重ねるたびに
思い出は増えて行くから
余計に何もなかった日々の記憶には
触れる機会がなくなってしまう
例えば何だろう
パソコンの練習をしようと
決めた時の思い出を振り返ると
パソコンを買うところから
始め無ければならないけれど
決めたその日からパソコンを買うまでに
おそらく一年か二年くらい掛かった
何故ってお金が無かったから
練習をするというスタートラインに
たどり着く前の期間が長い
今考えれば
ネットカフェとかに行くとかでも
全然良かったのに
当時の自分は買う事しか考えなかった
どうしてもやりたくて
仕方ない訳でもない
仕事をするのに必要だから
やらなければならないと
仕方なく決心しただけだから
自分の中のやりたくないという思いが
その遠回りを選択させたのかもしれない
必要な金額が貯まってからも
今度はどのメーカーにしようかとか
どの機種にしようかと
ひたすら時間を掛けていた
とうとう手に入れだ時は
嬉しかった
何年か越しの目標を達成して
やっとスタートラインに立てたという
喜びが確かにあったから
振り返るのはだいたいこのあたりからだ
でも実際に充実感があったのは
それまでの時間だったのかもしれないと
最近は思うようになっている
自分で目標を決めて
その為の道のりを迷いながら進んだ日々
一人だから誰かにアドバイスなんて貰えないし
そもそも言われても受け入れないから
思い込んだら一直線
パソコンを練習する為には
自分で買わなければならないと
思ったからお金を貯めた日々
そんな日々を振り返っても何もない
給料日のたびに残高にいくら残ったかを見て
前進確認するだけ
目標金額は15万円位だったけれど
一ヶ月に使える自由な金額なんて数万円
当時は他にも定期預金にハマって
そちらにも毎月貯金して
普通預金にも貯金して
それとは別枠でパソコン貯金をしていたから
一月5000円くらいしか残らなかったりして
ゴールは遥か遠くだった
そもそも率先して練習がしたい訳でも無く
将来の自分の為に仕方なく決断した事だから
スタートラインが遥か彼方にある方が
自分自身にも言い訳出来てちょうど良かった
ただ今月は赤字で
目標に近づけていない時は
悔しかった
おそらく目的意識がパソコン練習から
残高の数字を増やすことの方に
移ってしまって
その月にお金を使いすぎた自分を
攻め立ててしまったり
来月はもっと節約して残そうと
思ったりして
その頃はパソコンのことなんて忘れていた
節約の為に弁当を作ったり
でも料理をするのは面倒だから
おかずは冷凍食品にしようとか
だったらこの時間にスーパーに行けば
割引が受けられるとか
もうまったくパソコンは関係なく
ただ節約生活に邁進していた始末
おむすびは愛情の塊なんだと
思うようになったのもこの頃だ
いつも弁当では飽きるからと
おむすびを作ってみたけれど
これがまた面倒くさい
ただ米を炊いて詰めるだけのほうが
遥かに楽で時間も掛からない
そう思ってからというもの
手作りおむすびを食べている人を見るたびに
「あぁこの人は誰かに愛されているんだなぁ」と
勝手に思うようになった
振り返りもしない日々には
安心感が溢れている
何かしらの目標の為に
今日も成果を挙げられたと思える事で
安心出来るから
目標は何でも良い
だってその目標を忘れてしまうくらい
毎日が充実してしまうから
何かの為にと自分が思えてしまえば
なんだって良い
そしていつの間にか
スタートラインというゴールが
目の前にあったりして
始めるのが嫌だから
ゴールしたのにスタートしない自分と
話し合うという訳の分からない葛藤があり
これまでの努力を無駄にするのかと
自問して無理矢理スタートさせる
無意識とはいえ
確実に努力はして来たから
それを無駄にはしたくない
そんな思いが
新しい挑戦をする時には
役に立つ
パソコンが使えないと
仕事にならない
そう思い込んで始めたと貯金
やりたくないけれど
やらなければならない
誰かに借りても良いのに
あえて買うのは
ギリギリの妥協点だった
少ない収入をやりくりして
目標の金額にたどり着くのには
長い時間が必要だと思ったからこそ
遠回りを選んだ
だって練習したくなかったから
自問自答の中で
どうにかこうにか妥協点を見つけて
これなら達成出来ないだろうと
思ったから始めたら
意外と数年で出来てしまった
振り返る事のないあの日々は
諦める自分と諦めら切れない自分が
出会う結び目になった
自分の心の変化には
あの日々こそが必要だった
安心感や充実感は
意外とそんなありふれた毎日に
あったりするのかもしれないと思う
今日この頃