諦めたら終わりだと

よく言われているけれど

どうやら私には

その法則は適用されないらしい 


二十歳を迎えた頃

メディアで年金問題が

大きく取り上げられていた

つまるところ

年金システムが崩壊して

受給年齢に達しても

受け取れる金額がなくなる

というような話だった


今の生活費が足りないのに

貰えないかもしれない年金なんて

払う意味がないからと

ずっと未納にしていた

国民健康保険は

病院へいけなくなるからと

仕方なく払っていたけれど

健康な身体だけが取り柄だったから

まったくお世話になることは

無かったけれど

万が一怪我をした時の為だと

自分に言い聞かせて払っていた


数年後に

フルタイムのアルバイトでも

社会保険の加入が義務になり

給料から天引きされるようになり

時給は上がらないのに

引かれる金額が増えて

ますます生活費が減ってしまった


その頃は

ただ生きているだけだった

朝起きて

バイトへ行って

終われば帰って寝る


生活費以外に使える

お金が無かったから

何もしなかった


そんな暮らしから

抜け出そうとさえしなかった

そういうものだと

思って諦めていた

他の場所へ行っても

何も変わらないと

周りの人が言うので

そうなんだと納得していた


その当時の自分からすれば

今のこの暮らしは

想像すら出来ない理想の生活で

これ以上何があるのか

分からないくらい幸福な環境


自分で何かを考えて

目標を定めて何かをした訳でもない

ただ時代に流されたら

意外と良い方へ流れ着いただけ

諦めても

何となく生きているだけでも

幸福になれている