清掃員の求人募集に

応募をする前に

テレビドラマの登場人物が

清掃員をしているのを見て

楽そうだと思ったから

掃除の仕事をしようと思いついた


取り立てて

夢や希望がある訳でなく

何となく生きていければ良い

嫌なことはやらずに

気楽に過ごしたい

掃除はそんな感覚に

ぴったりだと思った


例えやらなくても

誰も困らないけれど

作業をすれば給料が貰えて

暮らしていける

自分の部屋の掃除と

同じようにすれば良いなら

こんな気楽な仕事はない


始めてみると

作業の内容が

全く想像していなかった事を

やらされたものだから

驚きはしたけれど

世の中にはこんなにいろんな

掃除道具があるのかと

感心してしまった


その当時は毎日が新鮮で

楽しいという実感はなかったけれど

振り返ると楽しいとは

あの感覚なのかもしれない


何が楽しのかと言えば

単純に変化が楽しい

汚いものが

ちょっと手を加えるだけで

きれいになる

埃っぽい床を掃除機を掛けるだけでも

清潔感が生まれると

何となくの達成感が気持ち良い


大した作業じゃない

誰にでも出来る簡単な作業だから

気軽に始められるのがまた良かった


失われた時代と言われたタイミングで

給料は恐ろしく少なくて

まともな生活をするためには

毎日のように残業をしなければ

ならなかったのが辛かったけれど

この職業を離れようとは

思わなかった


それは他にできる事も無かったし

出来るようになろうとも

思っていなかったから

仕方がないと自分でも諦めていた

振り返っても

刑務所のほうがまだ良い生活が

出来るのではないかと思うような

毎日だったけれど

一人で暮らせるという

その自由が大きな支えだった


掃除と言っても

いろんな場所の掃除があって

テレビドラマをみた時に

イメージしたい職場に

ようやく辿り着けた

ここ数日その場所で

作業をしてみて

やっぱりここだと確信した


あの日イメージした場所に

今ようやくたどり着いて

いろんな面倒事に見舞われて

アタフタしているけれど

ここがその場所だと感じている

こんな感覚は始めたかもしれない