世界から自分を切り離した時
唯一の存在になった
姿形が似ていて
言葉が通じてしまうから
つい自分でも
勘違いしてしまうけれど
そもそも自分を人間とは
思っていない
喜怒哀楽は
いつも内側からやって来る
誰かに馬鹿にされなくても
されていると思い込んで
落ち込んだり怒ったりする
周りの人は
協力してくれているかもしれないけれど
多分それには気づけないし
気づいても受け容れられない
犬や猫なら
気まぐれに遊べるけれど
熊や狼には近づけない
そんな感覚
馴れ馴れしく
話しかけてくる人達が
一番苦手で
好きも嫌いもなく
すぐに逃げ出したくなる
会話が苦手だから
世間話というどうでも良い
話をしたくないし
されるだけで腹が立つ
その話が1分も続けば
もう聞かずに別の事を考えているし
それ以上続けるようなら
なるべく理由をつけて離れる
例え興味のある事を
教えて欲しくても
教えて欲しいとは言わない
知りたいだけで
その人と一緒には
いたくないから言わない
だから情報過多な
時代に生まれた割に
知らないことが多い
頭が悪いのはもちろんだけれど
それに加えて
興味がなければ知りたくもない
独りよがりでわがまま
子供がそのまま大きくなった
そんな感じの性格
一人で過ごすのは
自分と過ごしている時が
しっくりくるから
話したければ大きな声で
一人で喋る
いわゆる独り言
基本的に会話形式で
自分自身と喋る
言葉が足りなくても
分かるから
聞き返されることもない
これが便利でやめられない
昔はよく一人で
寂しくはないかと聞かれたけれど
狼の群れの中に放り込まれたら
怖いのと同じ感覚だから
一人にならないと落ち着けない
これはもはや病気だし
だからこそ自分を
世界から切り離した
あくまでも感覚的な話しだけれど
家族
友人
知人
同僚
テレビ
ラジオ
雑誌や新聞
などの情報源を
三十年掛けて手離して来た
コレも感覚で
実際には家族とも
あまり連絡は取らないけれど
住所は伝えている
それ以外の人間関係は
無いに等しい
職場を転々とするとはいえ
同僚や上司はいるけれど
できるだけ関わらない
嫌いなってしまうと
会いたくなくなってしまうから
関わらない
それでも転々としているけれど
仕方ない
テレビが友達だった
情報源であり娯楽であり
慰めだった
それもう疎遠になった
スマホの登場で
劇的に生活が変わった
知りたいことは
だいたい教えてくれるし
最近は双子のように
会話までできる
まるで独り言を喋るように
知りたいことを
何でも聞けるから
便利で仕方ない
相談相手がいるとは
こういう感覚なのかと
感動したものだ
年齢を重ねるたびに
思い出が増えていく
語り合える自分が増える感覚
どうにもならないと諦めた
次の日も普通に過ぎていった
あれだけ悩んだ昨日は
何だったんだと
笑い合える自分が増えていく
幼い頃の寂しさは
年を負うごとに消えていく
だからますます一人が良くなる
もう一人でしか
過ごせないなんて思っている始末
思い通りにならないと
すぐにスネて
投げ出すから
何モノにもなれない
そんな存在を許せるのは
自分しかいない
ずっと自分で自分を
嫌っていた
それは自分のこの性格が
いつも邪魔をして上手くいかない
責任をなすりつけるのも
自分だから世話がない
ここ数年せめて自分とは
仲良くしようと決めた
唯一の存在の内部がごたごたすると
気持ち悪いから
そうすることにした
改めて自問すると
意外な言葉が返ってくる
ずっと一人で会話をしていたの
はじめて聞く言葉
そんな新鮮な驚きが
自分を探求するエネルギーになった
比較的幼い頃の
自分の本音を聞くのが難しい
記憶がないから
感覚に頼るしかない
でもそこで役立つのが現実で
昔こんな人いたなとか
こんな場所にいったとか
そういったデジャヴ的な事があると
妙に納得したり
しっくり来たりする
それが本音のサインだと思うようにした
そうしていくうちに
自分をどんどん好きなった
こんなに救いのない現実にいても
なぜか大丈夫な気がした
成功なんてした試しがないし
諦らめて続けても
今もこうして笑ってる
そんな性格なら将来苦労すると
たくさんの人に言われ続けたけれど
その将来が現実なってしまうと
こんな感じなのかと
ちょっとホッとしてしまっている
結局その人達の感覚では
家族もいない
定職もない
貯金もない
夢も希望もない
価値がない人生を送るなんて
みっともないかもしれない
それは自分でもそう思うけれど
それらが欲しいと思ってはいない
欲しいのは
安らぎ
緊張しないで過ごしたいだけ
何となく毎日を送るなんて
馬鹿な事を本気で願っている
誰かに愛されたいわけじゃない
ただ愛してみたいだけ
それが自分をどう変えるのかを
知りたい
結局好きにならないと
始まらないのが自分なんだと
やっとこさ気がついた
今日このごろ
幼い頃に
心の奥底に隠していた
宝箱を開けたら
煙が出てきて
四十代になった気分