赤ん坊の頃

何かを食べている時に

口や手を拭かれる事が

嫌いだった


泥んこあそびの感覚で

食べながら遊んでいるのに

邪魔をしないでってと

思っていた


行きたくもない

喫茶店で大人たちが

話をしているの待つのが嫌で

でも食べ物や飲み物で

つられてしまう自分も嫌いで

いらない時は

よく親戚の家に預かられていた

とは言っても

一人で近所で遊んで

お腹が空いた時だけしか

家にはいなかった


思い返せば

子供もの頃は不便で仕方なかった

赤ん坊みたいに

何も出来ない頃は

とにかく一人になれないし

少し大きくなっても

暗いところが怖かったから

毎日夜が来なければ良いと

願ったけれど

夜は律儀に

毎日暗くなるから嫌だった


箸が使えるようになったら

便利になった

お金を払えるようになったら

好きなおやつを選べて嬉しかった


何かが出来るようになる度に

一人の時間が増えて

落ち着けるようになった

そういうものだと思って

出来るだけ一人で

出来るようように頑張った

その結果

一人暮らしを手に入れた


一人の空間で過ごす

その時間が好きだ

何モノにも傷つけられない

その安心感を得るために

一人になる


災害も人間も関係ない

自分を傷つける存在は

そこら中に溢れている


一人だから

生活費は稼がなければならない

だから仕方なく

職場へは行くけれど

嫌な時間だ

まるで水に潜る時のように

息を止める感覚で

自我を抑え込む

他人に合わせて

楽しくもないのに笑い

生活費を貰う


その苦しみは

一人の時間を過ごすための行為


だから職場には

なんの目的もない

苦しい環境で知り合う人の事は

大抵嫌いになる

特に職場は

自分がやりたくもない事を

しなければならないから

同僚や上司は

常に面倒事を持ってくる

厄介者にしか見えない


一人で過ごす事を

目的としているから

仕事以外で人とは

関わりたくない


友達が欲しいなんて

思ったことがない

学校も職場と同じだから

嫌いだった

同じクラスというだけでは

親近感なんてない


とにかく近づいてくる人は

基本的に警戒してしまう

今まで人と関わって

良かった経験がないから

一人に逃げ込んてしまう


おそらくこの感覚の

外側へ行かなければ

これまで以上の喜びはないだろう

そう思うから厄介で

満足しない自分が

また次の苦しみを連れてくる


生活費を賄える収入さえあれば

それで良いから

負担にならない職場さえ

見つけられれば全て揃うけれど

なかなか見つからない

だから転々としてしまう

それ自体もちょっと楽しいから

余計に繰り返してしまう

ずっとこれが続けば

それはそれで良いけれど

その遊びにも飽きてきた