五歳になる前に

雪国へと移住した

住宅街から畑に囲まれた

農村への移住は

子供心に大きな出来事として

記憶に残っている


中でも

初めて雪が積もった

朝の感動は今も続いている


冬枯れの季節

木々は生気を失くして

すべてが色褪せる

そこまでは一緒だけれど

雪が積もると景色は一変


いつものように

朝起きて窓の外を見ると

そこは一面の銀世界

見慣れた景色が雪で彩られ

まるでクリスマス映画のような

光景に心から感動した


その影響は

今でも残っていて

もう四十年以上

雪の季節を繰り返しているのに

毎年

積雪の初日には

驚きと感動を覚える


好きな事の相乗効果なのか

あの日の感動が

毎年同じように感じられて

今でも一番好きな季節は

冬のまま


もともと

冬枯れの少し寒い時期が

好きだった

子供が外で遊ぶには

丁度よい気温だったからか

今でも

あの頃の冬の公園を

思い出す


雪国では冬枯れの景色は

そう長くは続かない

氷点下の気温になれば

すぐに雪に覆われてしまうから

春の桜のように

すぐに消えてしまう


子供心に好きだった

季節の光景が

すぐに消えてしまう

その寂しさを

消してくれるのが雪景色