あの日の自分も
別の人
思い出と対話すると
なんだかそんな感覚になる
おそらく生まれた時から
ひとりで過ごすことが
得意だったのだろう
目が覚めて
天井でぐるぐる回る物体を
見ているだけで楽しく
ただ黙って見ていた
泣きさえしなければ
母親の顔も見えはしない
おむつが気持ち悪くなった時だけ
泣けば取り替えて貰える
いつも眠いし
身体は動かない
話しかけられた言葉を
思い出しながら
その感覚を確かめる
眠ると夢を見る
昨日
親子三人で行った公園
父親に抱かれながら
ブランコに乗った光景が
ありありと浮かぶ
きっと楽しい夢しか
見なかったから
眠りながら泣くことも無かった
泣かなければ誰も来ない
だから
そういうものだと思い込み
そしてそれが気にいった
知らない人が顔を近づけて
覗き込んでくる
見たことのない顔を
見るのは好きだから
笑いもせずにまじまじと見つめた
大人は赤ん坊の
そんな表情すら可笑しいらしく
笑いながら見つめてくる
それに飽きると眠くなり落ちた
過去の記憶なのか
何かで読んだ物語なのか
それすら解らず言葉が浮かぶ
それが自分との対話
言葉を話し始めてからは
会話形式になって今に至る