夜の街に繰り出し

朝を迎えて

家路に就く人たちを

勝手に夜の戦士たちと

心のなかで呼んでいる


子供の頃

夜になるのが怖かった

暗闇で目を覚ますと

体が震えて

どうしょうもなく怖かった


普段なら

絶対にに近づかない

父親にだって

暗闇の恐怖から

逃れるためにすがりついた


もしあの感覚を

克服出来ていなかったら

もっと他人と

関わらざるを得なかったに

違いない


一人暮らしを

始めた当初は

夜に一人で部屋で過ごすのが

不安だった

安アパートの薄い壁越しに聞こえる

隣近所の話し声や生活音を聞くと

少し気持ちが落ち着いた


朝型人間の自分には

夜には出掛けるという

選択肢は無い

誰かと過ごす習慣も無いし

求めていないから

夜を一人で過ごせるようになってからは

ますます他人を求める理由が

無くなって自由になった


そんな経験から

わざわざ夜の街を

彷徨う人達は

暗闇恐怖症なんだと

決めつけて

一人にならないために

誰かれ構わず

すがりつきながら

あの恐怖と戦っていると

勝手に妄想し

朝帰りをする姿を

見送りながら

「よくぞ耐え抜いた」

「エライ!」と心のなかで

労ってしまう


そうでも考えないと

あのテンションにはならないだろう