一人で叫んだこと

 初めてバンジージャンプを体験した

地上から二十メートルくらいの

所からのダイブ


階段を自分で登るっていう所から

ちょっと緊張しているのに

一番上に到着すると

「手摺をくぐってこちらへお願いします」って

普通なら立入禁止区域に招かれた


安全器具の装着が済むと

飛び降りる台の縁から

「爪先を外に出してください」って

これが怖い


カウントダウンを始めます

ってもう飛ぶの?

心の準備もそうそうに

3 2 1 どうぞ!

そう言われて

はい飛びまーすとはならず


2回目のカウントダウンが始まる

意外とスタッフさんは

笑顔で淡々と進行していくから

「前を向いた方が良いのか、後ろを向いたほうが良いのか」なんてどうでも良いことを聞いて

時間を稼ごうにも

スタッフさんは笑顔で受け付けない


そのうち

飛び降りる台の周りに

修学旅行の学生達が

集まりだしたから

さあ大変


ただバンジージャンプを

体験したいが為だけに

一人で来てしまったから

恥ずかしいやら怖いやら


自分でも感情を理解出来ないまま

たくさんの修学旅行生が見守る中

ダイブ

「ウォーォォォォォォォ」

と腹の底からの雄叫びは

学生の「おっいった」とか

「オオオ」という歓声にかき消され

一人

宙づりの状態から静かに

マットに降ろされた










 

 

 

 

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